彼への気持ちを自覚したものの、どうしたらいいか分からなかった。
今の関係性的に失敗したら後がない…。荷物がある度に顔を合わせて気まずい思いをすることになるし、万が一同じコースの人に話されたらと思うと…。
それに5個も上に好かれて気持ち悪がられないだろうか。
そんな目で自分は見ていなかったのにと幻滅されないだろうか。
気まずい思いをするくらいならこのまんま推しのまんまでも…と思った。
そもそも連絡先を聞いてもいいのだろうか…。
配達員さんは仕事柄個人情報を扱っているから交換などしてはいけないと何かで聞いた覚えもある…。
でも誰かのものに彼がなってしまうのが嫌だった。
…彼もバツ一ということはちらっと聞いたが思えば今彼女が居ないと言うわけではない。
やだな。彼女いたら。
手を握った時彼はどう思ったんだろ…。
すごい真顔だった。
やっぱり困らせたかな…。
色々考えてるとインターホンがなった。
荷物が届いた。
手越さんだ!
久しぶりに会った気がする!
「こんちは!荷物持ってきました!」
『こんにちは、久しぶりですね!ありがとうございます』
「荷物3つ来てますよ!」
『ああ、今日私誕生日で♪多分友達がプレゼント送ってくれたんです♪』
「え!!そうなんですか?!おめでとうございます!」
『ありがとうございます!』
「…なんもないな〜」とポッケを触りながら手塚さんが言った。
「あ、うちの会社のカレンダーいります?卓上のやつ!」
そんなに要らないな(笑)
と思ったけど、せっかくなにか渡ろうとしてくれたのでありがたくもらうことにした。
『ほしいー!ありがとうございます!大事にしますね〜!』
「すみませんこんなもんしかなくて。…あ、そういや寺田から預かってるもんあって!料金表渡し忘れたから渡しといてくれって。これ。配送料金変更になるんですよ。杉田さん集荷とかもあるから渡したかったみたいです」
『あ、そうなんですね〜!わかりました、ありがとうございます。カレンダーもありがとうございます!』
カレンダーと、あきらくんから預かったという折り畳まれた紙を受け取った。
家に入ってさっそくカレンダーを置いて折り畳まれた料金表を開いた。
下の方になにか書いてある。
“新しいコース入るので2週間くらいそっちのコース入れません!”
手書きでこう書かれていた。
小学生の男の子が書いたみたいなお世辞でもきれいとは言えない字だった。
だけど嬉しかった。
…真面目だなぁ。
前も連休前に休みを知らせてくれてたなぁ。
しばらくあきらくんに会えなかったけど、久しぶりに荷物を持ってきてくれた。
「お久しぶりです!!!」
久しぶりに見るあきらくんは余計にキラキラして見えた。
『久しぶりだね〜!あ、料金表ありがとー!あとメモもみたよ。わざわざありがとうね。』
「ほんとは料金表、会社さんにしか渡してないんですけど…。お菓子もらったあとに感想も言えないで全然会えないのヤダなって思って!!コースしばらく入れないし手塚さんに頼みました…!」
『気にしなくて良かったのに!(笑)でもありがとう!』
「他に方法なくて…」
ちょっとした沈黙が続いた。
『…ぁー…。配達員さんってお客さんと連絡先とか交換すんの問題なんだよね?なんかで見た気が…。』
断わるならこれを理由に断ってくるだろうと思った。それなら自分も傷付かなくて済むから保険をかけた言い方をした。
「いや!!!自分から連絡先聞くのはだめなんですけど、聞かれて教えるのは全然!!大丈夫です!!交換がだめなんじゃなくて、こっち側から聞くのが問題なだけで!!!!」
食い気味に、しかもすごい大っきい声で言われてびっくりした…!
『あ、そうなんだねっ。えっと…
連絡先とか…いる…?』
なんか上から目線の言い方をしてしまった…!
失敗したと思った矢先目の前からあきらくんがいなくなった!
え!
なんも言わずに?!
トラックに走ってまたすぐ戻ってきた。
「これ俺の携帯です!!!」
携帯を持ってきてくれた。
なんも言わずに居なくなるから逃亡したのかと思ったがそうではなかった(笑)
『QRコード出すから読み取ってもらっていい??』
「はい!!」
連絡先を交換してバイバイをした。
携帯の中に彼の連絡先があるのがすごく嬉しかった。
何か送ったほうがいいかな?とも思ったのだが、またコース入れないときや連休の時に知らせるための連絡手段として私の連絡先を欲しかったのだろうから、他の私用で送らないほうがいいかと思ってそのまんまにした。
3日後。
何か送ってみようかどうしようかとトーク画面を開くと“メッセージを取消しました”と出ていた。
あれ?!
なんか送ってくれてたんだ!
なんて送ってくれてたんだろう。
すごく気になった。
でも取消しをしたということは見られたく無かったということだろうし、ここで連絡するのは…。とも思った。
どうしようかなぁと思ったが、意を決して送ってみた。
『なになに〜?!なんか送ってくれた〜?!(^^)』と
軽い感じで送ってみた。
すぐに返事が来た。
「明後日そっちのコースまわります!って送りました!(笑)」
『あ、そうなんだね!でも荷物あるかなぁ〜』
「送って、1時間既読付かなかったんで消しちゃいました…!」
『そんな経ってた?!あれ〜全然気づかなかったなぁ』
「メールとかして大丈夫ですか??」
『うん、もちろん!』
こんな感じで連絡を取るようになった。






