【ルウ】「ふぅ…スッキリしたぁ…。」
【リベル】「あっ…ルウちゃん!よかったぁ…パジャマのサイズ…思ったよりピッタリだね!」
【ルウ】「リベルさん…。パジャマとかお風呂とか…いろいろありがとうございます…。いつかお礼しないと…。」
【リベル】「お礼なんていいのいいの〜♪」
私はシャルルさんたちのシェアハウスにお泊まりすることになった。リベルさんはパジャマも貸してくれたり、シェアハウスのこともいろいろ教えてくれた。まるでお姉ちゃんができたみたいで、なんか安心した…。
【ルウ】「そういえば…シャルルさんたちは?」
【リベル】「あー…シャルルたちは…今一緒にお風呂に入ってるらしいよ〜。」
【ルウ】「えっ?そうなんですか?なんでシャルルさんたちを先に?」
【リベル】「シャルルくんたち…最近めちゃくちゃ疲れてるっぽくてね…。だから私は後にして…3人を先に入れてるの。」
【ルウ】「なるほど…。」
リベルさんは優しいな…。そうしてリベルさんと会話を続けていると、私はとあるものを見つけた。
【ルウ】「ん?これ…なんですか?何かのカードゲームとか…?」
【リベル】「あっ!それ!この前…アルスくんが無くしたって言ってたやつだ!こんなとこにあったなんて…。」
【ルウ】「えっ…これ…アルスさんのものなんですか…?」
【リベル】「そうそう…!実はあの3人…英雄っていう…いわゆるヒーローなの…!」
【ルウ】「えっ!?英雄…!?もしかしてサンダーくんと一緒!?」
【リベル】「え?サンダーくんって?ていうか知ってるの?」
【ルウ】「あっ…。」
私は『英雄』という言葉を聞いた瞬間、『サンダー』という名前を口にしてしまった。
サンダーは私の憧れの人と同僚のような関係の人で、もちろんその人にも憧れていた。しかもその人たちも自分たちのことを『英雄』と名乗っていた。もしかして、この人たちも同じような存在なのだろうか。
【ルウ】「えっと…私の憧れの人も英雄と名乗っていたのを思い出して…つい…。」
【リベル】「えっ!?アナタの世界にもいるの!?その…英雄って…。」
【ルウ】「はい…。超能力みたいな感じで…悪い人たちを退治したりしてるんです…。まさにみんなから好かれているヒーローみたいな…。」
【リベル】「そうなんだ…!私たちの世界とは…違うんだ…。」
【ルウ】「えっ…?」
私が英雄について説明をした瞬間、リベルさんは少し落ち込んだような表情になった。どこか悲しそうで、ちょっと寂しそうな雰囲気をまとった感じだった。
私がその表情に気づき、心配そうに静かに見つめていると、リベルさんが再び口を開いた。
【リベル】「私たちの世界では…英雄は悪役みたいな感じで…人類の敵だとされているの…。」
【ルウ】「えっ!?」
どうやらリベルさんたちが住むこの世界は、英雄は危険視されているらしく、正体がバレると大変なことになるらしい。最悪の場合、正体がバレただけで命を奪われてしまう人も多いんだとか…。
【リベル】「私のお姉ちゃんも英雄だったんだけど…突然いなくなっちゃって…数年前からずっと会えてないの…。」
【ルウ】「そうだったんですね…。」
【リベル】「シャルルも…アルスくんも…ブルーノくんも…みんないなくならないでほしい…。いなくなるかもって考えると…怖くて…ずっと不安で…。」
初めて会ったときは明るくて優しそうな人だなと思っていたけど、リベルさんみたいな人でもこんな大きな不安を抱えてるんだ。自分の無力さにイライラするほど、やるせない気持ちが自分の中で駆け巡った。
【ルウ】「私…じゃ…どうにかできないのかな…。」
【リベル】「えっ…?」
【ルウ】「私も…英雄になったら…そのリベルさんのお姉さんも…。」
【シャルル】「やめとけ。英雄はそんなすぐに簡単になれるもんじゃない。」
【ルウ】「シャルルさん!」
【シャルル】「確かに…他人を救いたい気持ちは分かる…。だが他の職業と同じように…英雄にもその人の向き不向きもある難しい職業だ。」
【ルウ】「そ…そうなんですね…。すみません…。」
【リベル】「い…いいんだよ!ルウちゃんは悪くないから…!ごめんね…私がこんな話しちゃったから…。」
【シャルル】「…。」
【ルウ】「シャルルさん…?」
【シャルル】「なんでもない…気にするな。」
リベルさんが私に向かって謝り始めたとき、その瞬間シャルルさんの表情が一瞬曇った気がした。
シャルルさんは普段はクールで、人によっては冷たく見られがちな気がするが、本当はこの人も優しい人なんだろうな…。
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