私はシャルルさんたちのシェアハウスに居候している間、喫茶店のほうも手伝うことになった。今日は初日で、終わったときは疲れすぎて、思わず近くにあったイスに座り込んでしまった。
【ルウ】「ふぅ…疲れた…。」
【アルス】「お疲れ様です。お茶どうぞ。」
【ルウ】「あっ…ありがとうございます…。」
【アルス】「昨日の夜…シャルルさんに少しだけ怒られてましたよね?ルウさん。」
【ルウ】「えっ?見てたんですか…?」
【アルス】「はい。」
【ルウ】「………私じゃ…ダメなんですかね…。なれないのかな…英雄みたいに…。」
【アルス】「ルウさんはどんな人になりたいと思ってるの?あと昨日の夜に言ってた悩みってなんなの?」
【ルウ】「あっ…そういえば言ってなかったっけ…。ボク…みんなの支えになりたくて…みんなを救う歌を作りたいって思ってたんです…。」
【ルウ】「だけど…歌を作っても伸びなくて…苦しくて…もう作曲はやめようかなって…。」
【アルス】「なるほど…。」
【ルウ】「本気で好きでやってたものが…嫌いになっちゃった…。」
【アルス】「その気持ち…僕も分かります…。」
【ルウ】「えっ…?」
【アルス】「僕も元々ここに来る前は…ルウさんと同じような境遇だったんです。僕の場合は好きで絵を描いてたんだけど…ツラくなっちゃって…。」
【ルウ】「そうなんだ…。」
どうやらアルスくんの話を聞いたところ、元々アルスくんも人間で英雄として戦っていたわけではなかったそうだ。昔はイラストレーターを目指していて、専門学校にも行っていたそうだが、授業や課題に耐えられなくて、シャルルさんたちのお店に勝手に来たらしい。
【アルス】「勝手に逃げてきたので…今はまだ両親にも話せてないし…むしろ直接会うことも今はしてません。」
【ルウ】「そうなんだ…。」
アルスくんはいつも目にハイライトが入ってないというか、何を考えているのか分からないほど表情が変わらなくて、初めて会ったときはちょっと怖いと思っていた。でも実際に話してみると、意外と優しそうだし、元々は明るい性格でもあったのかなって感じもする。個人的に私と性格も経験も似ている気がしていて、今では怖いとは思わなくなっていた。
そんなことをずっと考えていると、急にシャルルさんの声が聞こえてきた。
【シャルル】「オマエ…誰だ?」
私とは声に気づき、アルスくんと同じタイミングでシャルルさんの方向を向いた。シャルルさんは入口に立っている人を睨みつけていた。私はその人を見た時、あることに気づいた。
【ルウ】「あ…れ…?」
サラサラな黄色い髪、綺麗な黄色い目と赤い目、それを見ただけで間違いないと思った。
【ルウ】「サンダー…さん…?」
【サンダー】「あれ?キミ…俺のこと知ってんの?」
なんでこんなところにサンダーさんが…。普段なら会えただけで嬉しいのだか、今は心配や不安のほうが勝っていた。なぜならシャルルさんがめちゃくちゃ警戒していたからである。
【シャルル】「オマエ…能力者だろ?しかも別世界の…。」
【サンダー】「だったら?俺が本当に能力者だったらどうするつもりなの?」
【シャルル】「俺と同じ力を感じるんだが…何者だ?解答次第では追い出す。」
【サンダー】「やだなぁ…追い出すなんてやめてよ〜!それはさすがに酷いとは思わないの〜?シャルルくん…?」
【シャルル】「はぁ?なんで俺の名前を!?」
【サンダー】「僕とキミは似た者同士…僕が目ぇつけてないとでも思ってた?」
【シャルル】「オマエ…。」
シャルルさんとサンダーさんの間にピリピリとした緊張感が走る。
【サンダー】「まぁ…キミ達を傷つけるつもりはないから…安心して?ちょっと交渉をしたくてね。」
【シャルル】「交渉だと…?」
【サンダー】「キミ達の力を貸してほしいんだよね〜。もし貸してくれたら…僕は全身全霊でキミ達のことを守ろう。これは絶対に約束する。」
【シャルル】「はぁ…オマエは何を目的にしているんだ?なぜ俺らの力を欲しがっているんだ?それをまず答えろ。」
【サンダー】「ただ倒したい人がいるだけさ…。とりあえずここで一旦休ませてくれないかな?俺…こう見えてめちゃくちゃ疲れてるんだよぉ…。ねぇ…おねが〜い!」
【リベル】「ど…どうする…?シャルルくん…。」
【シャルル】「はぁ…分かった…。何もしないならいい…とりあえず休んでけ。」
【サンダー】「やったぁ♪シャルルくんやっさすぃ〜♪」
【シャルル】(はぁ…面倒なやつが来た…。)
こうしてサンダーさんは、私たちの仲間になっ…た…?えっ…これいいのかな…?仲間扱いで…。
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