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ひめひめ
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水
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1件
**第33話「知らない君を、知りたい」読んだよ。** 玲くんの過去が明らかになって、星羅ちゃんが「救った」って気づく流れ、めっちゃ良かった。特に「私がずっと支える」からの「離れないように」の重さ、星羅ちゃんらしさが出てて笑ったし納得したわ。あと最後の玲くんの隠し事、まだあるのかよ…!続きが気になる展開、ありがとうございます🔥
翌日。
放課後。
星羅は一人で学校を出た。
玲には。
何も言っていない。
「……」
スマホに送られてきた住所。
向かった先は。
駅から少し離れた、小さな公園だった。
「ここ……?」
辺りを見回す。
人はいない。
夕暮れの公園。
風に揺れる木々。
「……」
星羅はベンチに座る。
数分後。
「来たんだ」
「……!」
昨日の男子生徒。
「あなた……」
「黒瀬くんのこと、知りたいんだろ?」
「……うん」
「じゃあ、教えてあげる」
男子生徒はスマホを取り出した。
「一年前」
画面には。
当時の玲のSNSアカウント。
「黒瀬くんは、かなり落ち込んでた」
「……」
「学校にもほとんど喋らなくなって」
「……」
「周りから見れば、ただの無口な奴」
「でも」
男子生徒は続ける。
「本人は、もっと酷い状態だった」
星羅の胸が痛む。
「どうして?」
「それは本人に聞いて」
「……」
「ただ」
男子生徒は動画を見せる。
一年前。
玲が一人で歩いている映像。
「これ……」
「偶然撮った」
「……」
星羅は画面から目を離せない。
いつもの玲とは違う。
表情がない。
何も感じていないような顔。
「この頃の玲くん……」
声が震える。
「こんな顔してたんだ」
「そう」
男子生徒はスマホをしまう。
「そして、その数日後」
星羅を見る。
「君の配信があった」
「……」
「黒瀬くんは、その配信を見た」
「……うん」
「そして翌日から」
男子生徒は言う。
「少しずつ変わった」
「……」
「学校に来るようになった」
「……」
「人と話すようになった」
「……」
「そして」
男子生徒は笑う。
「君を好きになった」
星羅の顔が赤くなる。
「……」
「だから」
「?」
「君が思っている以上に」
男子生徒は静かに言う。
「君は黒瀬くんにとって特別なんだよ」
星羅は胸に手を当てる。
「……嬉しい」
「でも」
「……?」
「まだ終わりじゃない」
「え?」
男子生徒は。
一枚の画像を見せた。
「これ」
そこには。
玲が書いたメモ。
『セラに会いたい』
「……」
星羅は目を見開く。
「これ……」
「一年前のもの」
「……」
「黒瀬くんは」
男子生徒が言う。
「君に会おうとしてた」
「……!」
「もちろん、直接会えるとは思ってなかった」
星羅は画像を見つめる。
『いつか直接、お礼を言いたい』
そこに書かれていた。
「……玲くん」
胸がいっぱいになる。
自分は知らなかった。
玲が。
こんなにも自分を想っていたこと。
「……」
星羅の目から涙が落ちる。
「嬉しい……」
その声は。
少し震えていた。
「私……」
涙を拭う。
「玲くんを救ったんだ」
「そう」
「……」
そして。
星羅の表情が変わる。
「じゃあ」
「?」
「これからは」
男子生徒を見る。
「私がずっと玲くんを支える」
「……」
「玲くんが辛くならないように」
「……」
「玲くんが寂しくならないように」
そして。
「玲くんが私から離れないように」
「……」
男子生徒は苦笑する。
「やっぱり、君は面白いね」
「何が?」
「愛が重い」
「……」
星羅は笑う。
「そうかも」
そして。
「でも」
目を細める。
「それくらい好きなの」
男子生徒は黙った。
「……一つだけ」
「何?」
「この話」
男子生徒は星羅を見る。
「黒瀬くんには、まだ言わない方がいい」
「……どうして?」
「彼自身が話すべきことだから」
「……」
「君が知ったことを、俺から伝えるのは違う」
星羅は少し考える。
「……分かった」
「約束できる?」
「うん」
公園を出る。
帰り道。
星羅は玲へメッセージを送る。
『今どこ?』
すぐに返信。
『家』
『そっか』
『どうした?』
星羅は画面を見つめる。
本当のことを言うなら。
「今日、玲くんの過去を聞いた」
そう言うべきだった。
でも。
打った文字を消す。
『会いたい』
送信。
数秒後。
『俺も』
「……」
星羅は笑う。
『じゃあ、明日ね』
『ああ』
スマホを胸に抱く。
「……」
そして。
小さく呟く。
「玲くん」
「私、もっとあなたのこと知りたい」
過去も。
今も。
未来も。
「全部」
星羅の瞳が輝く。
「私だけが知ってる玲くんにしたい」
その夜。
星羅が眠りについた後。
玲は一人、自室にいた。
「……」
机の引き出しを開ける。
そこには。
一枚の古い紙。
そして。
スマホには保存された。
一年前の配信。
星乃セラの声。
『大丈夫だよ』
玲は画面を見つめる。
「……」
そして。
誰にも見せていない。
一枚の写真を取り出す。
「……あの日」
玲は呟く。
「あの配信だけじゃない」
写真には。
一年前の玲と。
まだ今とは違う星羅の姿。
「……俺は」
何かを思い出す。
しかし。
その記憶を。
玲は再び引き出しの奥へ戻した。
「……まだ言えない」
――二人の間には。
まだ。
お互いに知らない秘密が残っていた。