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#青春恋愛
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夏希(なつき)
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奇蹟あい
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翌朝。
教室。
「おはよう、玲くん」
「おはよう」
いつもと変わらない朝。
けれど。
星羅は玲を見つめる。
「……」
「何?」
「ううん」
昨日。
玲の過去を知った。
自分の配信が。
玲を救った。
それだけでも十分だった。
なのに。
頭から離れない。
――『俺は、まだ言えない』
昨日、玲が一人で呟いていたことを。
星羅は知らない。
だからこそ。
気になる。
「玲くん」
「ん?」
「一年前のこと」
「……」
玲の表情が一瞬だけ変わった。
「何か覚えてる?」
「……まあ」
「私の配信以外で」
玲は黙る。
「……ある」
「やっぱり」
星羅の胸が高鳴る。
「教えてくれる?」
「まだ」
「……」
「ごめん」
「ううん」
星羅は笑う。
「待つよ」
「……」
「玲くんが話したくなるまで」
その言葉に。
玲は少し驚いた。
「ありがとう」
「でも」
「?」
星羅は少しだけ顔を近づける。
「いつか絶対、教えてね?」
「ああ」
「約束」
「ああ」
星羅は嬉しそうに笑った。
昼休み。
屋上。
二人で並んで座る。
「ねえ、玲くん」
「ん?」
「私たちってさ」
「?」
「もしかして、もっと前から会ってたのかな」
「……」
玲は空を見る。
「俺も、最近それを考える」
「本当に?」
「ああ」
「どこで?」
「分からない」
「……」
星羅は少し考える。
「じゃあ、探してみようよ」
「何を?」
「私たちの過去」
「……」
「もしかしたら」
星羅は笑う。
「ずっと前から繋がってたかもしれないよ?」
「……そうかもな」
二人は笑った。
放課後。
玲は一人で教室に残っていた。
机の中を整理していると。
一枚の紙が落ちる。
「……」
拾う。
古いメモ。
『今日も配信を見よう』
一年前。
玲が書いたもの。
その裏側には。
別の文字があった。
『セラに直接会えたら、ちゃんとありがとうって言いたい』
「……」
玲は紙を見つめる。
「……あの頃は」
まだ。
星羅がクラスメイトになるなんて知らなかった。
まして。
恋人になるなんて。
想像もしていなかった。
そのとき。
「玲くん?」
「……!」
振り返る。
星羅が立っていた。
「まだ帰ってなかったんだ」
「ああ」
「何してるの?」
「……昔のもの見つけて」
星羅が近づく。
「見せて?」
「……」
一瞬。
玲は迷う。
そして。
紙を渡す。
「……」
星羅が読む。
『セラに直接会えたら、ちゃんとありがとうって言いたい』
「……」
星羅の目が潤む。
「玲くん……」
「……」
「こんなこと書いてたんだ」
「ああ」
「本当に会いたかったんだね」
「……」
「私に」
玲は少し照れながら。
「ああ」
星羅は紙を胸に抱く。
「……嬉しい」
「そんなに?」
「うん」
そして。
星羅は玲を見る。
「ねえ」
「ん?」
「今なら」
少し恥ずかしそうに。
「言えるよ?」
「何を?」
「ありがとうって」
玲が目を見開く。
「私がセラだから」
「……」
「ずっと言いたかったんでしょ?」
玲は黙る。
そして。
「……ありがとう」
星羅の胸がいっぱいになる。
「……うん」
「本当に」
「うん」
「ありがとう」
星羅は笑う。
「どういたしまして」
その瞬間。
玲の中で。
何かが繋がった。
一年前。
配信。
救われた夜。
そして。
この少女。
「……待て」
「?」
玲は星羅を見る。
「俺たち……」
「うん?」
「一年前に、会ってないか?」
「……え?」
星羅の表情が止まる。
「俺、昔」
玲は記憶を探る。
「あるイベントに行ったことがある」
「イベント?」
「ああ」
「何の?」
「VTuberのイベント」
星羅の心臓が跳ねる。
「……!」
「そこで」
玲は目を閉じる。
「一人の女の子と、少しだけ話した」
「……」
「顔はよく覚えてない」
「……」
「でも」
玲は星羅を見る。
「声だけは覚えてる」
「……」
「星羅の声と」
「……」
「すごく似てた」
沈黙。
星羅は息を呑む。
「……玲くん」
「ん?」
「その女の子」
「……」
「どんな子だった?」
「白いリボンをつけてた」
「……!」
星羅の記憶が。
一気に蘇る。
――一年前。
自分がまだ無名だった頃。
小さなイベント。
そこで。
一人の男の子に声をかけられた。
『……配信、いつも見てます』
あのときの。
少年。
「……まさか」
星羅の手が震える。
「玲くん……?」
「ああ」
「もしかして……」
二人の視線が重なる。
そして。
同時に。
「……あのときの?」
言葉が重なった。
沈黙。
次の瞬間。
「……嘘」
星羅の目から涙が落ちる。
「私たち……」
玲も驚いていた。
「一年前に……」
「会ってた?」
星羅は震える声で笑う。
「……ずっと前から」
自分たちは。
知らないうちに。
互いの人生に触れていた。
配信者と視聴者として。
そして。
今は。
恋人として。
星羅は玲の手を握る。
「……運命みたい」
「そうだな」
「ねえ、玲くん」
「ん?」
「私たち」
星羅は涙を拭う。
「もっと前から出会ってたんだね」
「ああ」
「……嬉しい」
そして。
星羅は玲の手を強く握る。
「じゃあ」
微笑む。
「これから先も、ずっと一緒だね」
「……ああ」
しかし。
その夜。
玲のスマホに。
知らない番号から一件のメッセージが届いた。
『思い出したんだね』
「……」
続いて。
『でも、まだ一つだけ』
『二人が知らないことがある』
玲の表情が変わる。
最後の一文。
『あの日、イベントで君に声をかけたのは――』
『本当に偶然だったと思う?』
「……!」
玲はスマホを握りしめる。
その頃。
星羅もまた。
別のメッセージを受け取っていた。
『あなたが彼に近づいた理由も、まだ彼は知らない』
「……」
星羅の笑顔が消える。
「……私が?」
――二人の過去には。
まだ。
誰にも語られていない秘密があった。
コメント
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第34話、読み終わりました。一気に運命の再会が明らかになって、胸が熱くなりました。でも最後のメッセージで一気に不穏な空気に…「偶然じゃない」って、これって伏線の回収というより、むしろ新しい謎の提示ですよね。二人の過去にまだ誰も知らない秘密があるって、その構造がすごく気になります。設定の緻密さに引き込まれました。次話が待ち遠しいです!