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作品の題名「前のお前はどこいった、?」
記憶喪失パロです。一応blかもです。
登場人物
・優希(ゆうき)=高校2年生
・柚希(ゆずき)=高校2年生
・瑠衣(るい)=優希の親友(高校2年生)
・颯斗(はやと)=柚希の親友(高校2年生)
・・・
〈優希目線〉
柚希が事故にあったと聞き病院に急いで駆けつけるが柚希の様子がいつもと違う。
いつもなら優希の顔を見るだけで笑顔になり抱きついてくる柚希だったが、
眉間に皺を寄せ、
柚希「…君、誰?」
優希「え、?俺だよ、?ゆうきだよ」
柚希がしばらく俺をじっと見つめる。その瞳には何の感情も浮かんでいない。
優希「ゆうき…?」
その名前を口の中で転がすように呟いてから、ふっと視線を逸らした。
柚希「悪いけど、聞いたことない。」
柚希が点滴の管が繋がれた腕を、無意識にさすりながら窓の外に目を向ける。まるで、そこにいるはずの人間を探すかのように、
柚希「先生から聞いてるよ。付き合ってたとかなんとか」
ゆっくりと優希に向き直り、
柚希「でも俺には関係ない話だろ。男同士で付き合うとか、正気じゃない。」
優希「本当に忘れたのかよ、俺ら付き合ってたんだって、」
涙が出そうになる。
柚希は苛立ちを隠そうともせず、ベッドの上で半身を起こしたまま手を振った。
柚希「**しつこい。**何回言われても同じだよ。」
柚希の包帯の巻かれた手がシーツを掴む。
柚希 「前の俺がやってたか知らないけど、今の俺はお前のこと “ 好きじゃない”。 男が好きとか有り得ないんだよ。 」
柚希の声は冷たく、しかしどこか必死さを滲ませていた。
涙目になり、走って立ち去る。病室の外で親友の瑠衣に会う。
壁にもたれてスマホをいじっていたるいが顔を上げた。
瑠衣 「おー、優希。柚希どうだった?」
瑠衣は、駆け込んできた俺の表情を見て、一瞬固まる。
瑠衣 「……え、ちょ、泣いてんの?」
瑠衣は慌ててスマホをポケットにしまい、近くのベンチに俺の背中を押して座らせた。病院特有の消毒液の匂いが鼻につく。午後の日差しが天窓から差し込む。
瑠衣「あいつ、なんか言ったのか。」
瑠衣の目が真剣な目に変わる。
優希「いや、柚希は悪くない、記憶喪失なのはしょうがないし、」
瑠衣は少し黙ってから俺の隣に腰を下ろし、自販機で買ったらしい缶のお茶を優希の頬にぴたりと当てる。
瑠衣 「しょうがなくても、きついもんはきついだろ 」
しばらくして、瑠衣がぽつりと。
瑠衣 「あいつさ、事故の時お前のこと庇ったらしいぞ。信号無視の車からお前を突き飛ばして代わりに轢かれたって救急隊員が言ってた。体が覚えてるもんってのは、あるのかもな。」
優希「え、?柚希がああなったの、俺のせいじゃん、」
瑠衣が首を横に振る。
瑠衣 「お前のせいじゃねぇよ。悪いのは信号無視した車だろ。」
しかし俺の中で、その事実は重くのしかかる。俺を好きだと言ってくれた人間が、自分の代わりに_。
瑠衣が頭をガリガリと掻いて、少し間を置
いてから、
瑠衣 「なあ、お前どうしたい?あいつに会い続けるのか、それとも──」
言いかけて口を閉じた。「距離を置け」とは言えなかった。優希がどれだけ柚希のことを想っているか、親友の瑠衣は誰よりも知っていたからだ。
その時、病室のドアが開く音がした。松葉杖をつく不慣れな音。退屈を持て余した柚希がリハビリがてら廊下に出てきたらしい。 まだ足元がおぼつかず、ゆっくりとした足取りで自販機の方へ向かってくる。
優希「今会っても柚希が混乱するだけだから、付き合ってないことにする、柚希には颯斗もいるし、俺なんかより全然いいと思うし、」
一瞬目を見開いた。
瑠衣「颯斗って……あいつ?」
颯斗__隣のクラスの男子で、柚希と同じサッカー部に所属している親友だ。事故の知らせを聞くなり真っ先に駆けつけ、それから毎日見舞いに来ているらしい。廊下ですれ違うたびに親しげに話しかけている姿を、入院患者たちが微笑ましそうに見ていた。
瑠衣が複雑な顔して、
瑠衣「お前がそれでいいなら、俺は何も言わないけどさ。」
瑠衣が缶コーヒーのプルタブを開けながら、横目で優希を見た。
瑠衣「無理すんなよ。」
ちょうどそのとき、自販機の前に柚希と颯斗が並んで立っていた。「どれにする?」と颯斗がボタンを指さしながら笑いかけているのが見える。柚希もさっき俺といた時とは違う、穏やかな顔をしていた。何も覚えていなくても、隣にいる人間の温度は感じ取れるのだろう。その光景が、数メートル先の俺と瑠衣の位置から
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