ものものです!
今回も世一くんと冴くんの過去回を書いていきたいと思います!凛潔の方はもうちょっとお待ちを。
地雷の方は注意⚠️
では、どうぞ!!
冴side
今日は一日中オフで監督からはドイツ観光でもしてこいと言われたが、正直言って俺はサッカー以外興味はない。そんなことに時間を使うくらいなら、少しでもサッカーのことを考えなければ…
レ・アールの下部組織に入ったとき、俺は自分が井の中の蛙であることを知った。日本では負けなしだったが、世界ではFWの俺は通用しないのではないか…とも思い始めていた。だが、凛と約束した世界一になる夢を諦めるわけにはいかない。…そう、もがいている途中であった。
宿泊しているホテルに戻ろうと歩いている時だった。
ふと、公園に目をやると誰かがサッカーをしていた。
俺はすぐにサッカーをしている奴がわかった。
正直に言おう。俺は世一のサッカーに惚れた。細かいテクニック、ダイレクトシュート、何よりあの空間認識能力の高さ。間違いなく俺は今のアイツに勝てないと思った。それと同時に俺は自分の弱さに打ちのめされそうになった。半ば自分に言い聞かせるように一歩一歩世一に近づいていった。
「おい。」
「…ブツブツ」
「おい。」
「…今のシュートの角度あと2・3度ずらせばもっと正確に…ブツブツ」
なんだ、この集中力は。何も聞こえてないのか?
俺は肩を叩いて呼んだ
「おい「うわっ!冴!?いつのまに!」やっと気づいたか。」
「どうしたの?」
「お前、サッカーできるのか?」
「っああ、できるよ。1on1する?」
さっきまで穏やかな青空のようだった瞳は燃え上がってギラギラと俺を見つめてきた。
コイツが欲しい。
「いいぜ。やろう。」
俺のエゴが叫んだ。コイツと戦え、と。
結果から言おう。俺は惨敗だった。
向こうにボールを取られたらもう終わり。すぐにシュートを打たれてしまう。自分のターンのときも、すぐに自分の動きを予測してカットされた。
俺は今、ひざまずいて、世一を見上げている。世一の目はギラギラとして、まだ足りないと叫んでいるように見えた。
「おい。これだけかよ。日本の至宝様も堕ちたものだな。」
ん?日本の至宝?
「おい。日本の至宝って俺のことか?そんな呼ばれ方されたことないが…」
疑問に思って聞いてみると、世一はハッとした顔をして、青ざめた。瞳は元の穏やかな青空に戻っていた。
「あっ…いや、そんな感じがしたから〜…なんて…。」
まったく、コイツには敵わないな。
俺は何故だか自分のことを今、コイツに話してみたいと思った。
「おい、世一…。俺のこと、聞いてくれるか。」
世一は驚いた顔をして、それから母のような優しさを含んだ目をして
「話してごらん。」
と言った。
「……というわけだ。どうだ、失望したか?俺はたった1人の弟の約束すら守ってやれない最低な奴なんだ…。」
誰にも話したことのない、俺の弱い部分。少し言ってしまえば、後はスルスルと出てきた。
世一は俺の話を最後まで何も言わずに聞いた。俺が話終わると世一は俺の頭を撫でた。
「ヾ(´・ω・`๑)ヨシヨシ、冴はずっと頑張ってきたんだね。えらいえらい。これからはいつでも俺が冴のこと聞いてあげる。辛くなったらいつでもいうんだよ。それと、俺は冴がどんなポジションになったとしても、俺は冴の味方だよ。」
そう言われた瞬間、俺の中で何かがストンとおちた。体がフッと軽くなった。そして、無意識に言葉が出てきていた。
「お前は俺を裏切らないか…」
世一は一瞬目を見開き、それから目を細めていった。
「俺はどんな冴でも、裏切らないから」
それから俺は自分の夢を世界一のFWから世界一のMFに描き換えた。
世一は俺のFWであり、俺のモノだ。誰にも渡さない。
たとえ、最愛の弟だとしても…
今回で世一くんと冴くんの過去回は終わりです。次回からはまた凛くんも出していきたいと思います。
それでは、マタネ( 。・ω・。)ノシ
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続きが楽しみに待ってます!