「はぁっ、はぁっ、」
「っまってよ、」
そう言うと”彼女”は笑って振り返る
「ごめんね、意地悪しちゃった」
貴方は乗っていた自転車を軽く叩く
「後ろ、乗んなよ」
そしてまた、優しく笑った。
「っわ、速!!」
涼しい風が頬を撫でる
暑くて流れる汗が乾いて心地よい
ばっ、と制服の前ボタンを開けると
後ろに勢いよく翻った
「涼し〜っっ!!」
僕は笑った
「せやろ〜?」
君も笑った。
君は海沿いに自転車を止めた
「ここ好きなんだぁ」
目を細めて、笑った。
「落ち着くとこやねぇ」
僕は相槌を打つ
浜辺に足を乗せると
靴が少し砂に埋まって
(生きてるなぁ、僕)
なんて。
なんとなく、君のだらりと下がった手が
寂しそうに見えて
ギュッ
「っえ、?」
「どっかに、行っちゃいそうだったから、」
その儚い表情が和らぐと思って
そう言葉に出すと、
「そうかもな、」
また透明な笑顔を見せた。
戻ろうかと、自転車を止めた場所まで歩く
降ろされた踏切の前で君は止まった。
「もう忘れちゃったかな、」
振り返って、また笑った。
「忘れないよ、覚えてるよ」
涙でアスファルトが滲む
繰り返す夏
脳に焼き付いて離れない景色が今もまた
フラッシュバックする
踏切の音と蝉の声
「そっかぁ」
笑った白い肌の君は
もうずっと、記憶の中から出てきてくれない。
何度君に恋して、
何度君を恨んで
何度君を愛して。
彼、でいることを否定され続けた彼女、は
僕だけを見ててくれた
そんな夢を見ていた。
鞄に付けられたキーホルダー
僕が足を通したズボン。
君は全て無くしたっけ
ニコイチだって笑ったあの昼の出来事は
泡になって消えたみたい
✕にたくて、✕にたくて、
手首につけた傷だって
君の笑顔で溶けて 今は茶色く汚れていた
最後の日に
君はまた笑った。
「透き通った世界で」
_愛し合えたら。_
同性愛が許されなかった世界で
男なのに女である事を強制された君を
愛した僕の物語。
「君は友達。」
コメント
30件
おお…すげぇ、少女レイだ…!! こんな風にお話にできるの本当 凄いよね……表現が闇に落として きてて好きだなぁ。 同性愛がもっともっと認められる 世界になったら良いね。
少女レイか… これは青黒なのか水白なのか白黒なのかはたまた別の誰かのお話なのか… 考察しがいがある!!!!!!好き!!!!!!!
わ、凄い✨ 少女レイ、、? 水白のやつかな、、? 終盤にアレンジのやつは言ってるから、、 やっぱり凄い✨