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epilogue #6 start
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道枝駿佑side
正直に言うと、
あの日からずっと、苦しかった。
「ウザい」
長尾にそう言われた瞬間、
頭が真っ白になった。
怒ったわけでも、
嫌いになったわけでもない。
ただ、
これ以上踏み込んだら、長尾が壊れる気がした。
付き合ってから、
俺は明らかに変わった。
触りすぎてた。
近づきすぎてた。
「可愛い」って、言いすぎてた。
長尾の余裕を、
知らんうちに奪ってたんやと思う。
せやから決めた。
触らへん。
キスも、ハグも、
自分からは一切せえへん。
長尾が嫌がることは、
二度としない。
……でも。
我慢って、
こんなにしんどいとは思わんかった。
同じ家におって、
同じベッドで寝て、
息遣いも分かる距離で。
それでも、触れられへん。
手、伸ばしかけて、止める。
名前、呼びかけて、飲み込む。
長尾が近づいてきた時も、
期待してる自分が嫌で、
一歩引いた。
あれは、優しさやなくて、
多分、俺の臆病さやった。
せやから、
長尾が泣きそうな顔で聞いてきた時、
「なんでしてくれへんの?」
その一言で、
全部崩れた。
我慢してたの、
俺だけちゃうって気づいた。
触らへんことが、
長尾を守る方法やと思ってたけど。
触れへんことで、
一番不安にさせてたのは、
俺やった。
抱きしめた時、
長尾が震えてた。
その温度が、
「離したらあかん」って教えてくれた。
俺は多分、
これからも甘い。
多分、また距離近い。
でも次は、
ちゃんと聞く。
「今、いい?」って。
長尾が欲しい形で、
一緒におるために。
——触れへん選択より、
一緒に悩む選択をする。
それだけは、
もう手放さんって決めた。
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epilogue #6 finish
コメント
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道長尊い ~ っ ✨️🫶