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この世の全てを輝かせるほど明るい太陽。
透き通っている澄んだ空気。
大きな校舎。
私、古日多羽。高校1年。私の高校生活は豊かな環境に恵まれ、完璧で素敵なJKライフが送れる。そう思っていたのに・・・
全てを覆したのは、今、私の隣の席に座る、三浦凌人。
凌人は幼馴染で、高校で再会した。まぁ、いわゆる腐れ縁というやつなのだ。
「ねぇねぇ。多羽ちゃん。移動教室だって。一緒に行こうよ。」
と声をかけてきたのは凌人。私の腕を引っ張り教室の扉まで連れて行く。こんなの日常茶飯事だ。
そう、私はなぜかこの男に溺愛されているだ・・・・・・・・・・・
「わ、私美久と行くからっ!」と腕を払いのける。
美久とは入学初日真っ先に仲良くなった。栗色でくるんとした髪のほんわかとした、女の子だ。
私が断ると、
「あぁ。野村には許可取ってるから。」
野村とは美久の苗字だ・・・・美久ぅう!
私は腕を掴めれ、教室の外に出る。そして、凌人の2歩後ろを歩く。凌人もそれに慣れたようで、何も言ってこない。
「多羽〜!今日の多羽のお弁当なぁに?」「からぁげ・・・」
別にモジモジしている訳じゃないが、意外にも凌人は・・・
イケメンなのだ。(そんなこと本人に言ったら調子に乗るから言わないけど!)イケメンに溺愛されたら照れるでしょ!
授業中、誰かの(凌人)の視線を感じたのは気のせいだろうか。
お昼は美久と2人で食べる。
美久が「ねぇ。三浦くんとどうだった?」と聞くので
「どうもしないけど・・・」と答える。
美久は恋バナ好きなのだ・・・
「ああああああああああああ!」
美久が急に叫ぶ。「わ、私委員会忘れてた!ごめん!」
とお弁当を畳んで急いで屋上からの階段を降りて行く。
あまりにも急なことだった為、返事は「あっうん。」としかできなかった。
しばらくして私もお弁当を食べ終わったので屋上からの景色を眺める今日は、昨日雨が降ったので校庭がぬかるんでいる。
ぼーっとしていると、足を滑らせて1メートルほどしかない柵から落ちる・・・と思ったら、後ろから強い力で引っ張られる。
振り向くと、世界一、嫌になる程見た顔、凌人がいる。
「な、なんで?」と尋ねると
「野村が1人だから行ってあげてって言ってたから。」
あ、美久・・・あの子は何て気遣いの出来る子なんだろう・・・
「てか、危ないじゃん!俺いなかったら死んじゃうとこだよ!」
『死』
この言葉はおばあちゃんを亡くしてからとても辛い言葉なのだ。私にとって。
急に怖くなって咄嗟に凌人に抱きつく。そして私の目から雨が溢れる。
嗚咽と共に吐き出た「怖かった。」
それを受け止めるように私の背中をさすってくれる。
あぁ。落ち着く。こういうとこだ。優しくて、かっこよくて、落ち着く。
私は凌人に沼っているのかもしれない。
「大丈夫。大丈夫。」
今までうざいと思っていた声が妙に落ち着くのは私がこの気持ちを認めたからかもしれない。
あぁ。好きだ。私は凌人が小さい頃から好きだったんだ。
さっきよりも強く抱きしめて、この思いが伝わってしまえばいいのにと心の奥底から思った。