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──────ルカ視点──────

俺は思い出す。ひなを眷属にした時のことを。

俺は、傷つけないように優しく噛んだ。しかし、そのあとの記憶はない。ひなが眷属になりかけの姿も。眷属になった時の記憶が無い。

…噛んだあとの記憶が無い。おかしい。言われるまではっきりとわかっていた。──────ような気がする。頭に強い痛みを感じる。誰かに全力で殴られたかのような、はたまた脳に直線電流を流されたかのような。この世にある単語では言い表せないほどの激痛が俺の脳を襲う。

脳はショートしたかのようにバチバチとした音を立て、痛みを増す。


「う”あ”あ…*ッッ*あぐゥ…ッッ!!」


俺は思わず頭を抑える。吐き気や目眩、頭痛、心臓をえぐるような耐え難い痛みが全身を襲う。ガンマスさんは無言で、ピクリとも動かない。…いや、俺がどんなに目をそらそうが先程の光景しか見ることが出来ない。まるで時を止められたこのように俺の見える光景はひたすらに同じで、音ひとつ聞こえない。


しかし、そんな激痛も突然消える。正確には段々と痛みや吐き気、視界が戻る。ガンマスさんは必死に俺に呼びかけていたようで段々と声がはっきりと聞こえる。


「──────!!────ん!!──────

ルカさんッッ!!!」


焦ったかのような声で俺の名前を叫んでいるのはガンマスさんだったようで、痛みを引いてすぐにその大声で耳が痛くなる。俺がガンマスさんを見れば俺が起きたことに気づいたらしく、安堵したような笑みを浮かべる。


「あ、起きたんですね。安心しました。」


先程まで焦っていたのか疑うほど冷静なその声に俺は1周回って呆れる。

それと同時に今までの記憶がどっと溢れてくる。今までの記憶が更新するかのように、過ちを訂正するかのように俺の思い出の記憶が新たな情報とともに脳に溢れる。俺は目を瞑り一旦脳内の情報処理に集中する。突然今まで生きてきた記憶が蘇ったのだ。脳のキャパを超える前に整理しなければならない。

当時の記憶が鮮明に呼び起こされる。


俺がひなを噛んだ。そう思った瞬間、ひなが俺の脳めがけて何かを打つ仕草をする。そうすれば俺は一瞬のうちにそのまま横に倒れる。何が起きたか理解できない俺。ひなは先程俺が噛んだところを自身で治癒を施す。…眷属化、と言っても相手が抵抗すればなる確率は100ぱーでは無い。つまり受け入れられていなかったのだ。

「ごめんなさい。」

そう、ひなが俺につぶやくのと同時に俺は意識を失う。


違う記憶も蘇る。俺が…何歳かは忘れたが幼少期の日、二体の天使が吸血鬼の館に舞い降りた。1人はひなともう1人はメテヲさんだった。

一体の天使が目の前で姿を幼くし、もう1人の天使が館の中心に経ち、一瞬強い光が起きた時にはメテヲさんはいなく、ひなを妹だと思い込んだ。


今までの記憶が塗り替えられていく。ひなは本当に血が繋がっていなかったのだ。あぁ、そうか。なるほど。つまり、誰も信用してはいけないということだ。今までの俺はお人好しすぎたのだ。他人と慣れ親しみすぎた。いくら恩人のめめさんの仲間だろうとそれ以外は信じちゃいけなかったのだ。

そう思って烏天狗であるガンマスさんを見る。

ガンマスさんは何かを察したかのように寂しげな表情を浮かべていた。いつもバカ騒ぎをし、明るい表情を浮かべていたのが嘘のようにも見えた。


「思い出しました。今までのこと、全てです。」

「…ルカさん。それが全てだと言うのなら──────いや、いいです。どうせいってもあなたはもう信じないのでしょう?」


ガンマスさんはばかりと翼を広げる。天使の純白な翼とは対称的に夜よりも暗く、闇よりも深い黒色の翼はガンマスさんが天狗だということを物語る。数枚の黒い羽が辺りを舞う。俺の手に握られた1枚の羽と見比べ、どれほどの差があるのかを知る。


「本当は使いたくもないし、見せたくもなかった。だけど、だけど使わないとルカさんは私達めめ村を裏切る。だって、まだ、未練があるんでしょう?ひなさんに」


…さすがに冴えていると言わざるを得ない。確かに俺はこのまま行けばめめ村を裏切るだろう。裏切る、と言うよりも脱退に近い。俺だって先程のアナウンスは聞いていた。1種族しか生きられない。そういうのならば俺は吸血鬼として勝つ。…否、全種族を潰す。全員死ねばハッピーエンドだからだ。ひなにも会える。訳では無いし、今更善行を積んだとしても天国に行ける訳がない。ならば1人でも多くの人を絶望へと、苦しみへと導く。それが、俺の使命だ。

…ひなを理由とするのは少々心苦しいが致し方ないだろう。


「…その通りですが、わかったとしてもあなたにどうこう出来ません。どいてください。この村を脱退させてもらいますから。」

「──────最悪だ。どうして、都合が良く行かないかな。」


ガンマスさんが何かをしようとする動作を見せかけた時、そこに一筋の光が差し込み、誰かが舞い降りる。

そう、その姿は何度見ても神々しく、何度見ても神秘的な姿。しかし、それに、俺は怒りや、もはや殺意までもが湧く。

ガンマスさんも先程の悲しそうな表情から無表情へと変わる。


「余計なことをするな。ガンマス。」


そう言ってわざわざここに舞い降りた機嫌の悪いもの──────メテヲさんが地上へと舞い降りる。

























ここで切ります!ルカさん、記憶を取り戻しおめでとうございます!!いや〜まあ、ここで記憶操作の能力の弱点があかされましたね。わかりましたかね?

記憶操作の弱点⋯とある条件を満たすと記憶を取り戻す。

ま、と言っても取り戻すとき激痛が伴う…場合もありますね。これは記憶の量です。改変されている記憶が多ければ多いほど痛みが増します。まあ、ルカさんの場合幼少期の頃からひなさんのことを妹だと思い続けているのでその分の痛みがって感じです。まあ、吸血鬼なのである程度そういう耐性があると勝手に思ってます。はい()ルカさんの過去編の時に不自然に切ったのはこのためですね。正直ここは番外編で明かそうか、本編で明かすかだいぶ迷ったところです…。結果的にはこっちでよかったと思ってます。色んなキャラの過去を本編で明かすと話の数が異常なほど膨れ上がりそうですよね(他人事)。まあ、頑張ります💪

それでは!おつはる〜

一明日を見るためにー

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