ギャング達は今日も血眼で彼を追う
「青井らだおを絶対に手に入れる」
「彼をこちら側へ引き摺り込む」
「僕たちに」
「俺たちに」
「私たちに」
『堕ちさせる』
慌ただしく動いていた無線も今は鳴き止んでいる
らだお ふぅー
警察署前のベンチに座ると空を見上げて溜息をついた
成瀬 どうしたんだよため息なんかついて
らだお んー?
声のする方へ顔だけを向けるとそこには缶コーヒー片手の話す成瀬が居た
らだお 今日今までずっとヘリ乗ってたなって
成瀬 ふーん?
らだお ふーんってなんだよ
成瀬 別にぃー
マンゴー ラだおー‼︎
警察署から元気よくマンゴーが飛び出してきた
それと同時に成瀬が俺から離れどこかへ歩いていく
そしてマンゴーは流れるように俺にスライディングをかまそうと動いてくる
だが今の俺はベンチに腰をかけているので避けるもなにも無かった
マンゴー 座ってる…
らだお 今日は無理だよ〜
マンゴー じゃあ……オレラだおの横座る‼︎‼︎‼︎
マンゴーは走って俺の横まで来るとベンチに腰をかけた
マンゴー お疲れラだお‼︎
俺の方を見てにっこり笑いながら言うマンゴー
らだお マンゴーもお疲れ
マンゴー ん〜
目を閉じて俺に頭を擦り付けてくるこの姿はとても愛らしく猫のようだ
さすが猫マンゴー
俺は戸惑うことなくマンゴーの頭を撫でた
マンゴーは嬉しそうに声を上げる
成瀬が両手に缶コーヒーを持って歩いてきた
成瀬 はいこれ飲め
俺はそう言われ成瀬から缶コーヒーを受け取った
マンゴーはココアだ
缶コーヒーの蓋を開けコーヒーを口に運ぶ
疲れが溜まった体にコーヒーの苦味が解けて疲れをとってくれる
こういうchill Timeは大切だ
らだお 成瀬ありがと
成瀬 もっと感謝したっていいんだからな?
らだお はいはいw
そんな束の間の休憩もすぐに終わった
ピピッと無機質な通知音が鳴りオイルリグ開始の合図が来る
らだお“らだおヘリ出します”
成瀬“マンゴー、成瀬らだおのヘリ乗ります”
ネル“了解”
キャップ“赤ちゃんキャップとつぼつぼはライオット出すぞ”
馬ウアー”ライオットは2台までしか出せないから無駄のしないよう十分注意して使ってくれ“
つぼ浦”特殊刑事課つぼ浦匠theライオットON DUTY‼︎“
まるん”まるんパトカー出します“
オルカ”オルカもまるんに同じく“
ドリー“ドリーと皇帝海沿いに置いてある船で乗り込むね“
ヘリは俺1人
パトカー2人(まるん、オルカ)
ライオット特殊刑事課部隊(キャップ、つぼ浦)
銃撃部隊2人(成瀬、マンゴー)
船勢2人(ドリさん、皇帝)
合計9人
俺は署内を走り屋上に向かう
屋上でヘリを出しエンジンをかける
成瀬とマンゴーが乗り込みヘリは空へ飛び立つ
空を駆ける青の光
空の支配者である白色の正義
-空の悪魔-
が戦場に舞い降りた
リグ到着から俺はマンゴー、成瀬を船の上に降ろしIGLを始め早30分現状硬直状態であり金持ちが回収できていない
なんとかして金持ちは回収したい所だがもうじき闇医者が到着しそうな状態だ
さてどうする?
俺のサーマルで確認できるのは心無きは全員殺れている
最強3人、中2人、カバーのボートが1人
ダウン中が外に3人、中に1人
外の3人ダウンは回収できているが中は篭られたらどうしようもない
最悪つぼ浦&キャップにロケランの使用を許可するしかなくなる……
らだお はぁ…どうすんだこれ………
空で1人呟いていると自分の物ではないヘリのプロペラ音と誰かの声が聞こえた
? おやおやらだおさんじゃないですか
らだお その声…
らだお ヴァンさん…?
ヴァン えぇそうですよ
らだお 今回ってMOZUですよね?
ヴァン はて?なんのことだか?
らだお はぁ…そうっすか
ヴァン 問い詰めないんですか?
らだお どうせ言う事は一緒でしょ?
ヴァン まぁ…そうですね…
らだお で?本題は?
らだお まぁどうせ俺を落としに来たんでしょ?
ヴァン 知っているなら聞かなくても良いじゃないですか
そう言いながら俺にヘリアタックをかましてくるヴァンさん
全く油断ならない男だ
らだお“らだおアタックされてるからワンチャン落ちるかも”
皇帝”そう言う時らだおは絶対落ちないだろ?“
らだお なんだそれ…w
ドリー“大丈夫だよらだおなら”
ふっ
自然と笑みが溢れた
無線から手を離した瞬間ヴァンさんが急降下して俺にアタックをして来た
らだお 急にアタックしてこないでくださいよっ‼︎
すぐに操縦桿を傾ける
だがすぐには機体は思うように動かない
やばい…これ避けらんない……
俺はギリギリの所で直撃を避けた
だがプロペラが2枚逝かれた
らだお”ごめんプロペラ2枚逝かれた“
らだお”本署待機の人居たらヘル応援欲しいかも……あっ待ってこれ…やばッ“
マンゴー“らだお⁉︎”
無線からみんなの心配する声が聞こえてくる
俺の目の前にヴァンさんのブレードがあった
俺の機体に直撃しフロントが割れる
そのまま残り2枚のプロペラを切り裂いた
落下する機体の中で俺は無線を手に持ち叫ぶ
らだお”俺落ちッ”
激しく地面と衝突し機体は爆発した
俺はヘリから放り投げ出され地面に転がった
いつも付けている鬼のヘルメットが割れ近くに落ちている
俺は呼吸を荒げ空を見上げていた
らだお クソっ…ミスったぁ……
普段しない失敗をしたためモチベがガタ落ちだ
無線からは署員の報告する声が次々と聞こえてくる
俺が落ちた事でMOZUが動きやすくなったのだろう
30分間硬直していたリグは一気に活性化し終盤へ向けて動いていた
プロペラ音が聞こえヴァンさんが降りてくる
ヴァン らだおさんがこんなに早く落ちるなんて珍しいですね
らだお いやぁー30分間硬直しててゆっくり飛んでたから腕鈍ってたか
ヴァン 違うでしょう?
らだお ?
ヴァン 疲れていたんでしょう?
らだお えっ?
何を言い出すと思ったら疲れていたから俺が落ちた?
何を言っているんだこの人は?
らだお 疲れてないっすよw
ヴァン ではなんですか?
そう言いながら俺に近づいてくる
俺はダウンしていて抵抗できないので仕方なく身構える
ヴァン この目元の隈は?
俺の目元を触りながらそう笑いかけて来た
らだお ……
ヴァン ちゃんと休めていないんでしょう?
らだお 休めてますよ
ヴァン なぜ?そう言い切れるんですか?
そんなに百舌鳥のように獲物を捕らえるような鋭い目付きで見ないで欲しい
息が詰まりそうだ
らだお ま…毎日……最低でも30分は睡眠……が取れているからです……
ヴァン えっ?
ヴァンさんから驚きの表情と共にいつもとは違った腑抜けた声が漏れた
らだお ?
ヴァンさんは顔を青ざめさせて言った
ヴァン さ…30分……だけ…?
らだお えっ?はい…
俺は顔を傾げ答える
ヴァンさんが俺の無線を取り離れたそして少し遠くでなにやら喋っている
話終わったのか無線を俺に返した
らだお なんて言ったんです…?
ヴァン らだおさんをもらっていく…と
らだお じゃあ誘拐拉致監禁罪もプラスαか
ヴァン ははっ3億で見逃してくれませんかね
らだお 犯罪者とは取引しませーん
そう言う俺を置いてヴァンさんは俺を護送しヘリに乗り込み空へ飛んだ
山の上を飛ぶヘリに少しの焦りを感じ運転席のヴァンさんに話しかける
らだお これどこ向かってるんすか?
ヴァン MOZUのアジトですよ
らだお なんで急に誘拐?
素朴な疑問が浮かんだ俺は即座に質問したが答えは意外な物だった
ヴァン 看病しようかと
看病?
らだお 誰の?
ヴァン えっ?w
急に戸惑った様子で声を出すヴァンさんを見て俺は驚く
らだお え?
ヴァン 嘘ですよね?
らだお いやだから誰の?
ヴァン らだおさん貴方の看病ですよ
らだお え???
今俺の頭上には大量のクエスチョンマークが浮かんでいることだろう
そうこうして俺があっけらかんとしている間にMOZUのアジトへ着いてしまった
俺はアジト内に入れられた
MOZUのアジトはすっきりとしていて中央のソファに構成員達が雑談していた
ヴァンさんがアジトに帰って来たことに気がついたのか急に視線を向けられる
誤送されている俺にも…だ
ナタル 青井⁉︎
らだお ナタル〜おたくのボスどうにかしてよぉ…
ナタル ボ…ボスも何してんすか…
ヴァン らだおさんの看病をしようと思ったから連れて来た
ナタル 看病?
ヴァン どうやら睡眠不足なようでしたから
らだお うっ…それはぁ………
ナタル はぁ…後でどう警察に言い訳しようか………
ナタルは頭を抱えて考え始めた
ナタル 取り敢えず俺は警察に話して来ます…
ヴァン あぁ頼む
ヴァンさんはにっこにこで俺を抱えて一つの部屋に入って行った
ベッドに優しく落とされふかふかの毛布に埋もれる
らだお ちょっとヴァンさん‼︎
ヴァン らだおさんは少しそこで大人しくしていてくださいね
そういうや否やヴァンさんは部屋を後にした
俺はベッドから降りようと体を動かそうとするがダウン中なので何も出来ない
闇医者が部屋に入って来て俺を回復させてくれた
俺は感謝をしてベッドから降りようとするが眠気が急に襲って来てベッドに逆戻り
らだお ねむ……
俺はベッドに身を任せ強力な睡魔に負け眠りについた
そして俺が眠った数秒後すぐにヴァンさんが部屋に入って来てスマホを構えている
その時Twixにこんな投稿がされた
ー青井らだお熟睡写真ー
俺がヘルメットを外した状態で横顔を晒しており布団に埋もれるその姿は眠れる天使だった
青色のさらさらの髪は照明の光を優しく包み反射し肌は白く美しい
男女問わず惚れ込むようなその姿にロスサントスは歓喜に包まれた
だがその数時間後多くの死亡者が出たのは別のお話…
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睡眠時間30分はえぐち