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「……意味わかんない」
私は類から目を逸らした。
こんなの、図星だって言ってるようなものなのに。
「ふふ、ごめんごめん。からかいすぎたかな」
類は軽く肩をすくめる。
その声色はいつも通りなのに、妙に見透かされている気がして落ち着かない。
「寧々ちゃーん!」
奥からえむが手を振る。
「次の衣装さ、みんなで合わせてみよー!」
「今行く」
立ち上がろうとすると、類が小さく呟いた。
「無理はしないことだよ」
「……してない」
「そうかな」
返事をする気にもなれなくて、そのままえむの方へ向かった。
「見て見て!新しいリボン!」
えむが嬉しそうにくるりと回る。
ふわっと広がる衣装に、司が目を輝かせた。
「おお!とても似合っているぞ、えむ!」
「ほんと!?やったー!」
えむは照れたように笑う。
その笑顔を見た司も、少しだけ優しく笑った。
……ああ、やっぱり。
司って、えむのこと好きなんだ。
分かりやすすぎる。
「寧々ちゃん?」
「え」
「どうしたの?ぼーっとしてる!」
えむが顔を覗き込んでくる。
近い。
心臓がうるさい。
「……なんでもない」
「ほんとー?」
えむは少し不満そうに頬を膨らませたあと、また司の方へ駆けていった。
「司くん司くん!次あれやろー!」
「任せろ!」
その背中を見ているだけで、胸が苦しくなる。
叶わないって、分かってるのに。
「……切ないねぇ」
後ろから聞こえた声に、私は肩を跳ねさせた。
「類、急に話しかけないで」
「失礼。けれど、あまり見ているこちらが苦しくなる顔をするから」
「……そんな顔してた?」
「していたとも」
類は困ったように笑う。
「寧々くんは優しいからね」
「……は?」
「自分が我慢すればいいと思っている」
図星だった。
私は何も言えなくなる。
だって、本当にその通りだから。
えむが幸せなら、それでいい。
司と一緒に笑っていられるなら。
私は——
その隣じゃなくてもいい。
「……なんて」
小さく漏れた声は、
誰にも聞こえなかった。