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アカツキがそう言ったあと、
のちに 次々と 選出者が決まった。
選出者じゃない私
シアタールームへ再度パカに案内され
選出者は、教室に残されていった。
パカ「こちらが
シアタールームで ございます」
そう言うと、パカは扉を開け
人を通していく。
中へ入ると シアタールームは、
まるで 映画館のようで
不謹慎ながら
そわそわしてしまっている 私がいた。
ユズ「お~い
そこの君 座らないのかい?」
ユズは声をあげる。
…誰のことかな?
まめは、周りを見回すが
そこに突っ立っている人物は
自身のみだった。
イズミ「…あぁ…」
「すみません座ります」
ユズ「おお そうかそうか」
私は、空いているちょうどよい席に
腰をかける。するとパカは
全員座ったことを確認し
教室と繋がった映像を流し始める。
映った映像には、ちょうど
アカツキが カリン、アンヤに
ツッコミをいれられている最中だった。
カリン「 ねぇ 」
「あんた絶対 バカでしょ」
アンヤ「ちげェ」
「こいつはアホだ」
目をつり上げ、つっこむ二人に
正座して 反省している一人。
アカツキ「少し興味がわきまして…」
カリン「入出バカツキ」
アンヤ「改名しろ アホツキ」
と、さらにツッコまれる アカツキ。
…
アカツキ「カリンさんは
また ご一緒ですね」
カリン「うるさいわね」
「どうせ クジ運悪いわよ…」
『第二ステージ 取り換えこっくりさん
こっくりさんのみっつの願いを叶え
アイテム「01染色体」を手に入れよ』
と書かれた黒板に視線が集まり
再び会話を続ける。
アカツキ「ナカノヒトゲノムでも
「染色体」を集めましたよね
あ フリーゲームのほうです」
カリン「あっちは 22本集めたら
クリアだったわ
ということは あと21回
こんなことやらされるわけ…?」
カリンはいかにも嫌そうな顔で言った。
そんなカリンたちにザクロはこう言う。
ザクロ「…いや あの男は
一億ビュー達成までと言っていた」
「カウンタもこうして動いている」
カリン「…ねえ…」
「これ…本当に 見られてるの…?」
そんな不安感が溢れる空気の中
忍霧さんは口を動かす。
ザクロ「……とにかく
今は やるしかない」
アカツキ「そうですね」
そう言いながら三人は
十円玉の上に指を置いた。
しかし、もう一人の指の姿が見えない。
そこで選出者のひとり——アンヤに
三名は、目が自然といく。
ザクロ「おい なにをしている」
ガムの音と共に私たちから
背を向けながら
後頭部をポリポリと掻くアンヤ。
こちらに振り向き目線が合う。
アンヤ「やってられっか」
「てめーらもバカか」
「あんなふざけた野郎の
いいなりになりやがって」
アンヤ「だいたいなにがこっくりさんだ
小学生のガキじゃねーんだよ」
ザクロ「……言動はガキ
そのものだがな」
冷静に言葉を返したザクロとは裏腹に
アンヤは、ザクロに距離を詰める。
アンヤ「あァ…?」
その時。
入出さんは、 忍霧さんと
駆堂さんの間を 割って入っていった。
アカツキ「駆堂さん」
「どうしても 嫌ですか」
アンヤ「は」
「あ…?」
アカツキ「ちょこっと」
「第一関節ちょんって
するだけでいいんで」
それに、そっぽを向いて
アンヤは否定した。
アンヤ「ぜってーヤダ!!!」
アカツキ「お願いします」
アカツキは手を合わせながら
おかまいなしに 距離を詰めていく。
アンヤ「しつけーぞ テメ…」
アカツキ「ピーマン」
「これから俺が全部食べますんで」
アンヤ「……」
…
…
パカ「フフ」
「ようやく開幕ですね」
ユズ「「たたり姫」が向こう側で
よかったじゃないか」
カイコク「なんでえ たたり姫って」
ユズ「あのお嬢さんの通り名さ
彼女 オカルトものは
かなり精通しているはずだよ」
まめ「(なるほど)」
カイコク「……半ベソ
かいてねェか?」
パカ「確かに」
「得意ジャンルに当たったほうが
クリア確率はあがります」
「ただ 閲覧者様が望むのは
必ずしも堅実で安全なプレイだけでは
ございません」
パカ「ときには 予想もつかない」
「エキセントリックな行動が
人の心をつかむこともあるかと」
…
…
アカツキ「動きましたよ!!」
「すっげー!!」
と無邪気な入出さん
ザクロ「ど
どういう原理なんだこれは…」
アンヤ「オイ誰だ 力いれてんの」
カリン「静かにして
こっくりさんが
取り換えの条件を言うわ」
一方更屋敷さんたちは真剣だった
なんか各反応みるの楽しい…。
「み」
「す」
「濁点」
アカツキ「…水?」
ザクロ「水がほしいってことか?」
カリン「…たぶん」
ザクロ「水なら近くの廊下に
蛇口があった」
そう言いながら ザクロは
廊下へ 向かおうとする瞬間———
「まだ指を離さないで!」
ザクロ「!?」
更屋敷さんが止めに入った。
…あぶなかった…。
カリン「正しい順序で終わらせないと
こっくりさんが帰ってくれずに
とり憑かれるわ」
「一般常識でしょ!」
アンヤ「ねーよ んな常識」
「オカルト女」
アカツキ「あ」
「そこの花瓶どうですか?」
アカツキのアドバイスを基に
近くにあった あの花瓶から 水を流す。
…
…
アカツキ「…お」
「合ってたみたいですね」
カリン「な…なんだ
思ってたより簡単ね」
ザクロ「また動くぞ」
「トモダチ」
カリン「…いきなり
人生相談っぽくなったわ」
アカツキ「友達いない
んですかね…」
ザクロ「友人は作るものではない
できるものだ」
アンヤ「なに語ってんだこいつ…」
…
アカツキ「じゃあ 俺と
友達になりませんか」
「俺 入出アカツキといいます」
カリン「ばっ…また あんたは」
そうしてまた十円玉が動いた
たどり着いた場所は…
「はい」
アカツキ「OKもらいました!」
カリン「バカ あんたアホ…」
…
…
ザクロ「…次で最後だ」
「あ」
アンヤ「か」
カリン「つ…」
アカツキ「……き」
十円玉は
ちょうどそこで止まっていた。
カリン「……」
「ど」
「どうすんのよ これ…」
そう誰もが困惑しているとき、
なにかが倒れるような音がした。
その視線に恐る恐る目をやると———
入出さんが 床に尻もちをついていた。
カリン「ちょ…なにしてるのよ!
なんで指を…」
アカツキ「え ええと」
「今」
「なにかに引っ張られて
っ…」
「わっ」
アカツキは
何者かに 引っ張られるかのように
机からどんどん遠のいてゆく。
ザクロ「おい」
「なにふざけて…」
アカツキ「わ」
気がつけばアカツキは…
教室のバルコニーのフェンスに
体重をかけていた。
駆堂さんは、入出さんの表情に
異変を感じ取り、すみやかに
入出さんのもとへ突っ走っていた。
それを見かねた忍霧さんたちも
動き出した…が、 入出さんは
もう落ちる寸前。
アカツキ「……しろ」
その時、入出さんは
駆堂さんの背後を見て
なにかを伝えようとしていた。
「うしろ」
「誰かいます」
アンヤ
バルコニーに 着いた駆堂さんは
入出さんの名前を呼ぶ。
しかし、手を差し伸べるのに
間に合うはずもなく、 入出さんは
そのまま 落ちていってしまった。
駆堂さんは、入出さんの飛び降りを
阻止できればとフェンスに
悔しさをぶつけた。
アンヤ「くそ…」ハッ
≪うしろ≫
≪誰かいます≫
入出さんが落ちる寸前に
言っていたことをすぐに 思い出したのか
駆堂さんたちはゆっくりと
首を振り返らせた。
忍霧さんはポケットから
ナイフを取り出して
「俺が調べる」
と駆堂さんに伝え教室内へ
再び入っていった。
カリン「ねえ」
そこにカリンはアンヤに呼びかけた。
カリン「あいつどうなったの?」
「…下…」
アンヤ「……」
「見たかねーよ」
「何階あると思ってんだ」
カリンは 落ちていたマスクを一目見て
座り込み、目をしかめながら
涙をポロポロと 静かに 溢した。
アンヤ「テメーも見んな」
そう駆堂さんは
更屋敷さんに 言いながら
教室の中へと入り、駆堂さんも
教室の探索に取りかかった。
カリン「ひっく ひっく」
更屋敷さんは続けて泣いていると
徐々にバルコニーのフェンスの隙間から
先ほど教室のバルコニーから
落とされたはずの入出さんが
ケロッと顔を出していた。
更屋敷さんの叫び声が響く。
「「!?」」
ザクロ「なっなんだ!どうした!?」
カリンさんの叫び声を聞きつけた
忍霧さんたちは、
すぐバルコニーに 戻ってきた。
アカツキ「あ すみません」
カリン「なんまんだぶ なんまんだぶ
かみさま ほとけさま おかあさん」
アカツキ「まだ 生きてます」
ど———ん と、そこには
「第1ゲーム アニマル合戦」 にいた
パンダまたはパン太郎の頭上に
入出さんが正座で
乗っているではありませんか…。
アカツキ「ありがとう パン太郎…」
「君は命の恩パンダです」
「ひょ ひょっとして 俺のこと
覚えててくれたんですか…?」
パン太郎「フ…」
アカツキ「それでも好きです」
パン太郎のくしゃみの勢いがすごすぎて
バルコニーの フェンスをつかみ、
ぶら下がっている アカツキの
一部始終を みていた アンヤたちは
冷めた目をしながら
黙りこくって 見ていた。
アカツキ「いやーまいったまいった」
「久しぶりに
たまひゅんってしました」
入出さんは
満面の笑みを浮かべていた。
一方 二人はブチギレ。
「鼻水王子!」
そうふたりは言いながら
アカツキを蹴る。
アカツキ「あー」
ザクロ「」カリ カリ
…
ザクロ「これでクリアなのか…?」
カリン「でもクリア後の
アイテムが出てないわよ」
ザクロ「「01染色体」だったか」
「…それに なんだこの臭い…」
「焦げ臭いような…」
ザクロ「さっきまでこんな臭い
しなかったぞ」
カリン「火事じゃないわよね…」
そうして話し合ってる中。
落下する際に
なにかを見ていた入出さんは
ロッカーを開けては調べていた。
アンヤ「んだよ」
アカツキ「…いえ」
「もう一度こっくりさんに
呼びかけてみましょう」
その時、突然 シアターで流れていた
映像が暗くなり音声すらも
聞こえなくなった。 …故障だろうか?
カイコク「おい」
「これどうなってんでェ」
パカ「はて」
「回線の故障でしょうか」
「じき 予備モニターに
切り替わると思いますが…」
パッ
パカ「ああ 映りました」
映った時 鬼ヶ崎さんたちは
目を見開いていた。
…一体モニターにはなにが
映っているんだろうか。
カイコク「……オイ」
「あの黒い奴」
「誰でぇ…?」
…
…
カリン「…ダメだわ」
「何度やっても「アカツキ」…」
「やっぱり3つ目の条件は
クリアしてない」
アンヤ「こいつ 生きてるしな」
アカツキ「俺 生きてます!」
カリン「…途中で指 離したから」
「まだいるのよ」
「この部屋に」
「「「「……」」」」
アンヤ「で?」
「これどーすんだよ」
ザクロ「条件を変更することは
できないのか?」
…
アンヤ「おい オカルト女」
カリン「」ビク
アンヤ「ビビッてんじゃねェ!!」
カリン「び…びびってない!」
「これは 武者震いよ」
アカツキ「顎関節症ですか」
カリン「誰のせいだと…」
そうカリンが言いかけたとき。
ふと、アンヤの舌打ちが
カリンの耳に入ってくる。
アンヤ「使えねェ…」
そう言えば、カリンは
アンヤの頬を片手 で
ガシッと掴みアンヤに歩み寄る。
アンヤ「!?」
「な」
カリン「あのね」
「ホラー好きの誰しもが
お化け屋敷が得意なわけじゃないの
自分の身に降りかかる苦手な
ホラー好きだっているの!」
「私は余裕だけどね!」
カリン「でも私が好きなのは
ホラー「ゲーム」! 」
「ノーリスクハイリターンがいいの!」
「アカの他人が無様に
逃げ回るのを上から
目線で見ていたいの!!
なんか文句ある!?」
…
アンヤ「なに に
切れてんだテメーは!!!」
ザクロ「か…彼女 壊れたのか…?」
アカツキ「や あの人の実況
いつもあんな感じでしたよ
「虚勢のたたり姫」…」
アカツキの話し声は自然と消え
視線がザクロの後ろで
ふいに止まった。
ザクロ「?」
「どうした」
アカツキ「や あの」
「やっぱり」
「後ろにいました」
アカツキはザクロの斜め後ろを指さす。
すると、そこには 長髪の白髪で
シンプルな白いワンピースが際立つ
全身真っ黒焦げの女の子が座っていた。
アンヤがそう言うと同時に周りは
机から離れていってしまう。
しかし、アカツキは恐れる暇もなく
一歩一歩とその女の子の元へと
足を運んだ。
ザクロ「…おい」
忍霧さんは呼び止めようとしたが
入出さんは止まらず歩み寄っていった。
アカツキ「君がこっくりさんですか?」
女の子は、その質問に対して
首を横に振った。
アカツキ「じゃあどなたですか…?」
「お名前 教えていただけますか」
アカツキがそう言うと、女の子は
アカツキの 腕を掴み 喋りだした。
謎の女の子「…オ水」
「アリガトウ」
アカツキ「どういたしまして」
謎の女の子「友達ニ ナッテクレル?」
アカツキ「いいですよ」
その言葉に、アカツキは
笑顔で迎え入れる。
謎の女の子「ウレシイ」
「…ジャア」
謎の女の子「一緒ニ来テ?」
「一緒ニ焼カレマショ」
「一緒ニ死ンデ」
女の子は、
アカツキの頬を触れながら 話す。
謎の女の子「……ホラ」
「ソウヤッテ スグ忘レル」
「嘘ツキ」
そう女の子は言うと、
女の子がポロポロと 涙をこぼしていた。
その瞬間。 その女の子が
突然炎に包まれた。
という叫び声と共に。
アンヤ「勝手に燃えてんぞ…」
ザクロ「離れろ 入出!!」
アカツキはザクロの呼ぶ声が
聞こえていないのか 動きが止まっていた。
が、しばらくすると動き出した。
アカツキ「友達には」
「なれますよ」
「まだ一緒には
行けないですけど」
アカツキ「約束
俺破ったことないんです」
アカツキは、女の子の手を
両手で握りかえし
そのまま言葉を発する。
アカツキ「全部終わったら」
「必ず」
その時の入出さんはまるで
別人のようだった。