テラーノベル
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「ひッ……あ、あぁッ……!」
体が強ばるのがわかった。抵抗したいのに、手も足も震えて動かない。首にかかる吐息から逃げたくて首を振る。
「だめだよ、動いちゃ……何しちゃうかわかんない」
耳元でねっとりとした気持ちの悪い声がする。服の上から全身を撫でられる。嫌でも力が抜けていく。刷り込まれた恐怖心は簡単には無くならない。また、暗闇に吸い込まれていく。
「いい子だねぇ……でも…」
「っあ゛……!」
床に押し倒されて、首を絞められる。脅しじゃない。体重もかけられてる。息が浅くなる。
「俺の人生潰しといて、無事でいられると思った?お前だろ、リークしたの」
「う゛……あ、っく゛…ぅ……」
「お前のせいで、俺は……!」
体が跳ねる。いやだ、やだ!しにたくない……!若井と涼ちゃんとまだ一緒にいたい。
魚のように口を動かす。涙で男の顔も見えない。意識がおちそうになって、やっと手が離された。
「わかるよなぁ……お前が、どうすればいいか」
「や、だ……ゆるし、て…」
突然乾いた音がした。遅れて頬が熱くなる。俺、今叩かれたんだ。そう理解するまでに時間がかかった。
「許さないよ。俺の人生パァにしといて、お前だけ日の目を浴びれると思うなよ」
「あぁ、そうだ。お前がどうしても無理なら、こいつらを使おうか……」
そう言って男は、写真を取り出した。俺が若井と涼ちゃんと手を繋いでいる写真。ゾッと血の気が引く。皆でオフの日に出掛けた写真だ。若井も涼ちゃんも幸せそうに笑っている。この笑顔を壊したくない。そのために、俺がするべきこと。分かっていても、脳が拒む。それでも、やるしかない。逃げ場は、ない。
「や、だ……なんでもするから、2人には手を出さないで……」
男の腕をそっと握る。目の前が暗くなる。そのまま、男の手に擦り寄る。大丈夫。ちょっと我慢すれば、2人のところに戻れるから。着ている服をはだけさせる。汚れた俺を、2人は抱きしめてくれるかな。男の口に、自身の唇を重ねる。嫌がられるかもな……
「おれと、楽しいことしましょう……?」
これでいいんだ。2人を守れるなら。
ニヤリと男が笑う。胸や太ももを触られる。触られてるだけじゃ、だめ。男の首に腕を回して、ぎゅっと抱きしめる。これ、若井が好きだって言ってた。心が凍っていく。
「っん、…もっと…」
思ってもいないことが、口から零れる。
嫌でも上がる口角に自嘲する。俺、こっちの才能あるのかも。柔く唇を食んで、男の口に舌をいれる。男の舌が絡む。上顎を擽られるだけで、腰が震えた。涼ちゃんが、よくしてくれてたやつだ。ポタポタと顎に涙が伝う。
「元貴くんの、触るね?」
ぐちゅ、といやな音がして男の指がはいってきた。
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