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パパどうしよう?子供が問題を起こしたら…?パパたちこうやって躾けます。えっへん!
第1話 - パパどうしよう!子供が問題を起こしたら…?パパたちこうやって躾けます。えっへん!
37
13,523文字
2026年06月07日
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520
緑茶は飲めないが紅茶は飲める
緑茶は飲めないが紅茶は飲める
赤井ガレージから入ってくると、すでにあなた立っていた。
物凄く泣きそうな顔をするあなたに、思わず赤井抱き締めて頭にキスする。
「…何か喋ったか?」
あなた首を振る。
「何も言ってくれない…でも…担任の小林先生が言うには…その子に馬乗りになって叩いてたって言うのよ…」
「そいつはなんて言ってる」
あなたついに涙をこぼす。
「アレクにいきなり殴られたって…」
赤井しー…と言いながらあなたをまた引き寄せて落ち着かせる。
「せ、先生もそこしか見てないからって…でもアレクが誰かを傷つけるなんてわたし…」
「わかった」
赤井静かに頷くと、静かに2階に上がっていく。
Do Not Enter!(立ち入り禁止)
と紙に貼られていて赤井ため息をつき、それをびっと剥がして捨てた。
「アレク」
ノックしてみる。返事はない。赤井またふう、と息をするとあなたに言う。
「…ふたりきりにしてくれ」
「…」
「大丈夫だ」
あなた頷いて階段をおりた。
「アレク。俺しかいない。父さんに何があったか話してくれないか」
するとしばらくしてドアが開いた。目元が少し痣で色が変わっている。不安そうな目があがってきて目が合うと、赤井は部屋に入りしゃがみこむ。
「…何があった?」
アレク首を振り続ける。
「…自分が悪いと認める態度を取り続けるのか?黙っている、というのはそういう意味だぞ」
アレクは唇をへの字にして頷いた。
「…本当に何も言うことはないか?」
アレク涙を拭いながら激しく頷いた。
赤井静かに立ち上がり、アレクに告げる。
「…わかった。なら、反省しろ」
赤井部屋を出る。中からすすり泣く声がして、背中越しにそれを見てから赤井はリビングへ行く。
「あなた…」
手元にあるモニターから見て聞いていたあなたも泣いていた。
「…どうしよう…明日謝りに相手のところに行かなくちゃ…あなた休めないわよね…」
「…落ち着け」
赤井またあなたを抱き締める。
「アレクが意味もなく人を傷つける訳がない…そんなふうに育てた覚えはない…何かある…」
モニターには膝を抱えて泣いているアレクが映っていた。
するとピンポン、とベルが鳴りあなた涙を拭って画面を見る。
「…コナンくん?」
赤井もすぐ画面を見た。コナンと、灰原と……あれはクラスメイトのーー
ふたりは玄関を開ける。
「夜分に申し訳ありません…鈴木歩実の母です…」
すると歩実が突然わっと泣き出してあなたに抱きついてきた。
あなたびっくりして赤井を見る。
「ごめんなさい…!歩実が…歩実がいけないの…!アレクくんは何も悪くないの…!」
「歩実ちゃん!」
2階からアレクが急いでおりてきて歩実を抱き締めて泣き出した。
「I’m so sorry…!」
守れなくてごめんねーー!と泣くアレクに灰原が話し出す。
「…今日、身体測定があったの。鈴木さん…わたしが保健室を出たら……」
アレクは灰原を見て首を振るが、灰原も首を振った。
「…真実を隠していちばん辛いのは鈴木さんよ、アレク」
アレク静かに離れて俯いていた。
「鈴木さん、身長のことを男子にからかわれていたわ。それで…」
コナンが肩をすくめた。
「…アレクが止めに入ったんだ」
「!」
「だけど…だけど男の子たちが…今度アレクくんをからかいだしたの…」
歩実わっと顔を覆って泣き出す。
日本人じゃないくせにーー
「…それで。小林先生が見ていた光景になった。小林先生は英語だったからわかってないと思うけど…」
母さんをバカにするんじゃない!
「アレク…」
あなた思わず口を押さえる。
「だからわたしが小林先生を引き留めて言おうとしたわ。でもアレクは必死に首を振った」
「Don’t!(言ったら駄目だ)」
「Why?(どうしてよ)」
アレクは腕を引かれながら泣きそうに言った。
「She hurts again…!Never…!」
彼女がまた傷つく!絶対に駄目だ!
あなたもう口を押さえて泣き出してしまう。
「…アレクは…灰原が歩実がからかわれていた理由を話したら…また…歩実が傷つくと思ったんだ」
「アレクくん…ごめんね…歩実…怖くてあれから何も言えなかったの…アレクくんは歩実のヒーローだよ…お礼を言うのが遅れてごめんね…」
アレクは首を振った。
「いいんだよ…もっと早く気付いてあげられてたら…」
「Alx」
その言葉にアレクは灰原を見る。
「…You are 100%Japanese. I Proud of you…」
ちら、と灰原はあなたを見上げた。
「…そこまで相手を思いやるのは、なかなかできることじゃねぇよ」
コナンは赤井を見上げた。
「…これが真実だよ。アレクは何も悪くない」
「アレクくん…」
歩実の母がアレクの頭を撫でる。
「ごめんなさいね…歩実を守ってくれてありがとう…」
ありがとうございます…と歩実の母はふたりに頭を下げた。
「お相手への謝罪へは、わたしも同行しますので…」
「そんな!」
「よくわかった」
ふーっ、と赤井は息をつく。
「謝罪へは行かない」
えっ?とあなたと歩実の母声が揃う。赤井きょとんとしたまま手を広げた。
「謝ってもらう。何か問題あるか?」
ふっ、とコナンは笑って俯いた。
「明日…ちゃんと小林先生に話に行こう!アレクくん!」
「でもーー」
「いいのよ、アレク」
灰原歩実の隣に立つ。
「私【達】も行くわ」
「コナンくん…」
「早く痣治るといいな」
コナンは頭の後ろに手をやって笑ったまま、玄関を後にした。灰原も微笑んでコナンに続く。
「また明日…学校でね!アレクくん!」
アレクは呆然としていたが、笑顔で手を振った。
男ふたりはまたアレクの部屋にいた。
赤井またしゃがみこむ。
「…何故正直に話さなかったのかはわかった。お前はあの女も…母さんも守ったんだな…父親として誇りに思う」
アレク泣き出して頷いた。
「…だがこれからは絶対に誰にも手を上げるな。どんなに相手が間違っていても、それをした瞬間責任は全てこちらに回ってきてしまうから」
赤井アレクの痣にそっと手をやる。
「だが…」
赤井カメラに見えないよう、アレクの耳元で呟く。
「…Well done…(よくやった)」
アレク大爆笑して天井を仰いだ。
「いいか…?」
赤井もちょっと笑ってしまうが、下であなたが見ているので、これ以上笑ったら駄目だと口を1度押さえる。
アレクもによによしだす。
「…とにかく手は上げるな。もし上げたくなったら、それだけの価値があるやつなのか考えろ。そんなやつはいないはずだから。わかったな…」
「はい…」
男ふたりは手を合わせてぐっと握る。
「飯食うぞ」
「うん!」
赤井は息子を抱き上げて階段をおりてくる。
「アレク…」
あなた息子の頬を包んで、その痣にキスした。
「あなたがしたことは全てが正しかった訳じゃないけど…正しかった。そういうときは、後悔しないで。正しいことをしたのだから」
「うん!」
「ママも守ってくれたのね…ありがとう…自慢の息子よ、アレクサンダー」
その後【告発】された男子の親は謝罪には来なかったものの、謝罪を求めることもなかった。アレクは何故かまた友達が増えたと、嬉しそうに語っていた。それを見ていた人間は、コナン達だけではなかったのだ。
「よかった…」
全面戦争にならなくて…とがくりと安堵するあなたでした。
「なんだ」
「いいえ、ふふっ…独り言です♡」
焦ったあ。
降谷ver
「え?」
降谷電話を受けて眉をひそめる。
「…それで?あぁ…わかったよ…とりあえずもう帰るから…」
スマホを見る降谷に風見すぐ尋ねる。
「何か?」
「いや…なんか息子がやらかしたみたいでさ…学校から連絡来たって」
「…大丈夫そうですか?」
「ちょっと聞いてみないとだわ。とりあえず風見…」
降谷が自宅に戻ると、玄関先でジェーンの両親と妻と息子が話していた。
降谷が降りるとすぐにジェーンが降谷に飛び付いてくる。
ふと見た息子は顔中絆創膏だらけで、ぼろぼろで顔をしかめていた。
すぐにアメリカ人のジェーンの父に降谷は抱き締められる。
「What’s happen…?」
すぐにジェーンの父は話し出した。
息子は授業が終わり、ジェーンに会いに行った。ジェーンは男子たちに見下ろされるようになっていて、その男子の顔とジェーンの明らかな嫌悪の顔に息子はすぐ走った。
やがてジェーンが男子にぶっ!と唾を吐くと、男子はジェーンの髪を引っ張り出したので息子はすぐに間に入ってやめさせた。
「Stop it!」
男子たちは英語で息子の発音を馬鹿にしたように笑っていた。
「ジェーンになんて言ったんだ!謝れ!」
ジェーンはまだ息子の腕を掴んで何か言っていたが、息子にはそれがわからない。
急にまたジェーンに手を出そうとしてきた男子を押していき、そこは一気に火がついた。出てきた児童たちに囲まれて息子たちは取っ組み合いになった。
「Oh my gad!」
先生がそれを慌ててやめさせたとき、息子は拳を上げたままだったから。先生は下にいた男子の言うことを信じた。
こいつがいきなり殴ってきたんだーー
「…」
降谷はすぐに息子を見た。段々震えだして大粒の涙をこぼす息子に、ジェーンは飛び付いた。
ヘイ、とジェーンの父に言われ、降谷はまた顔を合わせた。
続きがあるんだーー
放課後になると、息子はなんとクラス全員を連れて廊下をやってきた。
当然向こうも廊下をぞろぞろ出てきて、せせら笑っていた。先生たちはすぐに息子を掴んだが息子は激しく抵抗して叫んだ。
「Bite me…!」
殴ってみろ
すると後ろのクラスメイトたちがすっ、と段ボールや画用紙を高らかに上げた。
We are Japaneseーー
We don’t hurt anyone.
We are unbreakable!
私達は日本人だ
誰も傷つけない
誰にも傷つけられないーー!
わぁー!と声を出して息子の後ろは跳び跳ねて誰かが叫びだす。
「Do it!」
やってみろーー!さあ!
ジェーンはすぐに息子に走りだし、息子の後ろに回った。強く頷いて。
息子は顔中の絆創膏やガーゼを外す。
「ここは日本だーー僕もみんなも英語がわからなくても、そんなのは関係ない!誰かが困った人間に必ず手を差し述べる国だ!誰も置いていかない!」
息子の隣に出てきた英語を話す子がそれを叫ぶ。
やがて向こう側も頷き出して、段々とこちら側にやってくる。
「僕の父は警察官だ!暴力では何も解決しないことを知っている!だから僕は…和を重んじるやり方でやり返す!僕はその日本人の息子だからだ!」
イエス!と皆は力強く叫び、やがて気付けば、ジェーンをいじめた人間の後ろには誰もいなくなっていた。
いつの間にか先生も唖然としていて動かなくなっていた。
息子はつかつかと彼らに近づいていく。
彼らは少し身を引いた。
息子は中心にいる彼を抱き締めた。
「!」
「…Forgive you.」
許す
「…殴りたいなら殴れ。でも僕はやり返さない。それを僕がしたらーー」
ちら、と息子はジェーンを肩越しに見てから言った。
「…悲しむ人がいるから。僕はいくら殴られても、暴力ではやり返さない!誓っても…!」
やがて息子の後ろ側からはブーイングと罵声が激しく聞えだし、誰かが叫んだ。
彼は悪くないーー!
僕らは日本人だ!
「何をしているの!来なさい!」
息子とその子らは手を教師に引かれていったが、階段の下では皆が力強く叫び、人種など関係なくその小さなデモはいつまでも続いた。
「…ごめんなさい。降谷さん…元は…ジェーンがいけないの」
ジェーンが口をへの字にして泣く。
「…髪のことをからかわれて…黙っていたけど…」
ジェーンの母が頭を下げた。
どうせ【戦争】に負けた国のやつなんか、弱いに決まってるーー
降谷は複雑な顔でジェーンの父を見た。同じ顔をしていた。
「そう言われて…相手に唾を吐いたから…本当にごめんなさい…」
あなたも複雑そうに降谷を見つめる。
父親は降谷に話しかけ続けた。
我々はその昔、この国にとんでもないことをしてしまった。
降谷勢いよく首を振り父親の腕を掴む。
こちらも真珠湾を攻撃した。その悲しみは比べられるものではない。
本当に、あの彼のような人物と同じ国の生まれなのを恥ずかしく思う。
私はだから軍人になった。全ての国の人の権利を、今ならアメリカ人も日本人もどちらの人間も守る為です。
降谷頷いていると、父に手を差し出された。
あなたの息子はすでに立派な警察官だ。自ら楯となり娘が娘である権利を守り、暴力ではなく、その緊張を説く為に和を正しいことの為に使った。
それはあなたがすることが、常に正しいと彼が信じているからだ。同じ父親として、素晴らしいとあなたを尊敬します。
「そんな…」
降谷は父親同士で握手を交わしたあとまた互いを抱き締めた。
「…あの後、職員室に全員が押しかけて…彼を非難するな!と…事情を詳しく聞けば…」
ジェーンの母親は泣いていた。あなたも泣いていた。
「…彼は…」
と息子を見る。
「…振り上げた拳を下ろすことはなかったと…掴みかかったのは彼ではないと」
「!」
「…本当に素晴らしい息子さんです…強く、この年で怒りに支配されないしなやかな精神を持つなんて…」
ジェーンの母はあなたを抱き締める。
「わたしも同じ母親として…ジェーンにはきちんと注意します…」
降谷はすぐジェーンの前にしゃがみこんだ。
「パパ」
降谷は笑みを浮かべて息子に首を振る。
「…Hi, Jane」
「…」
「Are you okay?」
ジェーンは青い瞳からぼろぼろ涙をこぼして頷く。
降谷はその巻いた毛先を取り、笑った。
「…You are so beauty. Without a doubt.」
きみは美しいよ、疑わないで
ジェーンは降谷に飛び付いた。降谷も声を上げて笑う。
「Stand by him.」
いつでも彼がいるよ
降谷は息子の手を引き、ジェーンの手を握らせて自分も握る。
「Don’t have to fight.」
戦う必要はないからーー
「…僕が君を守るよ、ジェーン。いつだって…」
「お母さん…ジェーンが唾を吐いたのはきっと息子をーー日本人を守ろうとしたんです…あまり叱らないでください…」
「ありがとう…」
そのとき急に車が停まり、全員はそれを見た。半狂乱で出てくる女性がジェーンを指差して叫んだ。
「Stoobitch! How dare you!」
「…あいつだよ、パパ」
ジェーンを息子は後ろにやり、微妙な顔でゆっくり降りてきた彼を顎でやる。
「Bitch…? Say again?」
ジェーンの父が出て行きそこは一色触発の雰囲気になってしまう。
「あなたーー!」
とあなたジェーンの母親を背にやる。
はあ、と降谷そいつの前にしゃがみこむ。
「…Can I ask a question?(聞いてもいい?)」
「…」
罵声をあげていた母親が止まる。
「You are wrong. What do you think?(君は間違ってるよ。どう思う?)」
何も言わない俯くそいつの肩を持ち、母親は降谷に叫び出して来たので面倒くさそうに降谷は手を出して止める。
「I’m a police officer.」
その言葉に母親は口を開けた。降谷はにっこりして肩をすくめる。
「See you in the court, right?」
法廷でお会いしましょうかーーね?
ジェーンたち大爆笑する。やがてわなわなしていた母親だったがだっと車に戻ると、金切り声のようにタイヤを鳴らして去っていった。
降谷にジェーン一家は飛び付いてきた。
「ふう…どの国も女は怖いねえ」と玄関に入ると降谷ため息をついた。
「何?」とあなた眉をひそめる。
「…」
未だに靴を脱がないで腰かけている息子に、降谷はしゃがみこむ。
「…なに浮かない顔してんの」
「パパ…悔しい」
息子はぼろぼろと泣き出す。あなたは降谷を見つめた。
「…殴りたかった…だってジェーンは傷ついたんだ…僕は本当に戦えたの…?ジェーンを守れたの…?」
降谷は息子の両手を握る。
「…お前のその想いは、多くの人間の心を動かした。たったひとりでも人間の心ってのは動かすのは容易なことじゃないんだよ」
息子は降谷と同じ色の瞳をあげた。
「…ジェーンはお前を守った。だがお前はその相手に制裁は加えなかった。それが正解だ。自分の正義を疑うな。それは法の仕事になる。…パパの仕事だ。お前が手を下してはいけないことなんだ。これからも」
「うん…」
「だから…」
と降谷は大きく苦笑いしてあなたを見上げた。
「晩飯出来てる?」
ふたりとも大笑いした。
「もちろんよ」
「あーうちのヒーローの座は持ってかれたなァ…お前まじカッケーわ」
降谷は息子を抱き上げて、3人は笑いながらリビングに向かった。
風見ver
「実はね…」
とあなた静かに話し出す。ソファから風見振り向いた。
「ナナちゃんてわかる?同じ組の子なんだけど…」
あなたキッチンから夕飯を用意しながら言う。
「知らないわよね」
ふう、とあなた肩をすくめる。
「その子がどうしたんだ」
「…まぁ、単刀直入に…【馬】が合わないのよ…」
風見小さくため息をつく。幼稚園児で女ってのはそうなるのかと。
「ただ今日迎えに行ったときね…先生に言われたのよ」
風見また後ろを向く。
「名前ちゃんとナナちゃんがブランコの取り合いになって…名前ちゃんが譲らないので、隣の子が譲ってくれたんです…でもナナちゃんも名前ちゃんの隣なんて嫌だとちょっとしたことですが…言い合ってしまって…」
風見またため息が出た。
「…あいつは口は達者だからな…」
「それから気も強いでしょ…だから仲良くしなさいって言いたいんだけど…でも仲良くないなら別に離れていればいいかとも思うのよ。これから彼女が社会に出るにあたって…私達にだって苦手な人間のひとりやふたり職場にいるじゃない」
「それはそうだが…」
「わたしもなんて言おうかと…口も利かないみたいで…名前~ごはんよ~」
風見とあなたも席につく。名前がやって来て疲れたように椅子についた。
3人で手を合わせて食べ始める。
「はぁ…ママ、今日も給食にほうれん草が出たの。食べなくていい?」
「ダメ。ちゃんとバランスよく食べて」
「…イヤになっちゃう」
風見ちらと娘を見て尋ねる。
「母さんから聞いたぞ。ブランコを取り合ったと」
娘眉をひそめて風見を見る。
「だって私が先に乗ってたのよ。まだ乗ったばっかりだったのに…我が儘なのはあっちの方じゃない。私が悪いって言える?」
「あぁ」
と言う風見にあなたも娘も箸を止める。
「お前だけのものじゃないなら、相手にも使用権利はあるだろ。時間を正確に伝えたらよかったじゃないか。あと5分で譲る、10分で譲ると」
「パパにはわかんないのよ」
名前一気に不機嫌になる。
「顔を見るのも嫌なくらいキライなの。だからそう言ってやったわ、どっか行きなさいって」
あなたも一気に眉をひそめる。
「本当に?本当にそうナナちゃんに言ったの?」
「言わなきゃわかんないならそうするしかないじゃない」
「名前」
と風見は箸を置いて腕を組んだ。
「人の気持ちを考えたことはあるか?」
「パパはあるの?よかったわね」
名前はまったく気にするようすもなく、ほうれん草を避けて食べ続ける。
風見ふとあなたを見てから、名前のプレートを持ち上げて床に置いた。
ふたりともきょとんとする。
「どうした?食べろ」
「パパ」
名前は風見を睨みつける。
「わたし犬じゃないんだけど。戻して」
「嫌だと言ったら?」
「…」
「わたしが先に椅子についていたから、お前は椅子に座らなくてもいいだろ?」
あなた何か言いたかったが口を開けても言葉にならない。
「…ならいらないわよ、こんな美味しくもないご飯なんか」
「名前」
名前は苛立ってプレートを取り上げると、ゴミ箱にがさん!と捨ててプレートをシンクに投げた。
「ちゃんと食べてほしいならハンバーグくらい出せば?」
「なら明日からの夕飯はお前が自分で作ればいいな。パパはちなみにハンバーグは好きじゃないから、エビフライで頼んだぞ。でもそれじゃあ栄養が偏るから、きちんと野菜も蒸して出してくれ」
風見再び食事し始めて、あなた不穏な空気に娘と父親を交互に見る。
「…」
「なんだ。ほうれん草食べないんだろ?ママがお前の為に栄養が偏らないように作る食事に文句があるなら、わたしも言っていいんだよな?」
しん、となるリビングで、名前は泣きそうになりながら言った。
「パパなんていらない!」
風見ごくんと食事を飲み込むと、にっこりして言った。
「お前に言わなかったことがある」
パパはお前なんか大嫌いだ
「あなた!」
「顔を見るのも嫌だから、あっち行ってくれないか?なあ、名前。今どんな気分だ?教えてくれよ。わたしには人の気持ちがわからないから」
「わたしだってパパなんか大嫌いよ!2度と話さないから!」
名前は大泣きして廊下を走って行った。あなた思わず立ち上がりそうになる。
「あなた…いくらなんでも…」
ふう、と風見は魚の身をほぐし始める。
「…戦争を始めたな、わたしは」
「…その通りよ」
あなたも肩を落としたまま味噌汁に口をつけた。
翌日も翌日も、名前は風見とは本当に一切口を利かなかった。
その日の夜ーーあなたは風見と名前を隣同士に立たせた。
「ママ、お腹すいたんだけど」
「じゃあこれからママの言うことに全部答えてくれたら」
あなたメモを見る。
「毎朝、朝御飯が用意されていて食べることができる人は1歩前へ」
名前は1歩進み、風見が動かないのを眉をひそめて見上げたがすぐふんと横を向いた。
「毎日、綺麗な文房具が鞄に入っている人は?」
名前はまた1歩進む。
「毎日自分のしたいことが出来て、好きなように言葉を言える人」
名前はまた進むが、ちら、と風見を明らかに気にした。父親は1歩も動かない。
「夜は暖かく眠れるベッドがあって、その値段も気にせず気に入ったものに囲まれていられる人」
「…」
名前はまた1歩出るが、段々とその瞳には涙が浮かび出した。
「ではこれが最後の質問です」
名前はもう泣き出していた。
「…毎朝ご飯を食べる暇もなく、自分はぼろぼろになった万年筆を使い、そのお金で私達家族を幸せにする為にものを買い、嫌な仕事も何も言わずに…耐えて毎日いる人…」
娘は振り向いた。ようやく父親が1歩出たからだ。
「パパーー!!」
風見は笑いながら娘を抱き上げた。娘はしがみついて泣いた。
「…ごめんなさい!パパ…ごめんなさい!!」
あなたも少し涙を拭う。
「パパ大好きだよ!!ごめんなさい…ごめんなさい……許してください…!」
「許すさ」
名前はぐちゃぐちゃになった顔で父を見た。
「…パパはお前を愛しているから」
「本当に?どこにも行かない?ずっとママと…わたしと3人でいてくれる?」
風見微笑んで頷く。
「もちろんだ」
「名前。自分の気持ちはわかるけど、人の気持ちは、もし自分がそうだったら…って考える必要があるのよ。時には相手がどう感じているか…聞くこともとても大事なことなの」
「そしてその気持ちが違っても、集団の場では尊重しなければならない。そうしていかないと、いずれひとりぼっちになるから。そんなお前をパパは見たくない。だから、それをパパはお前に覚えてほしい」
名前は嗚咽しながら頷いて、また肩に顔をやって泣きわめいた。
あなたと風見は仕方なさそうな顔を合わせていた。
数日後、あなたが先生から聞かされたのはこうだ。
「あれから名前ちゃんとナナちゃん、とても仲良くなって…もう親友です。それはよかったんですが今度はふたりで一緒になって…男子が貸してと来ても…今は女子の時間よ!って口揃えるようになっちゃいました…」
あなたは大きくため息をついた。
まぁ…よかった、のかな…?
「…今度は男女平等を教えろってのか…」
テーブルで頭を抱えている風見に、あなたはキッチンでくすくすしていた。
高木ver
「んえ?どういうこと?」
高木は玄関先で靴も脱がないまま、静かにあなたから耳打ちされたことに眉をひそめた。
リビングから名前の歌う声がしてくる。
「恐らくですが…まだバスに慣れてないんだと思います。今まではご両親が送り迎えしていましたし、それは仕方ないと思うのですが…バスや電車は公共交通機関になります。多少の会話程度ならまだしも、黙ってそこに座っていられない、というのは問題になってしまうんです…この間は名前ちゃんライブになってしまって…みんな立ったり跳び跳ねたりするようになってしまって…」
あちゃっ、と高木は額に手をやった。
「確かに今までは自家用車だったから…何やっててもよかったからね…ただ、今私達も忙しいじゃない?バスに乗らせてもらえないのは困るわ…」
「とりあえずわかったよ。ちょっと話させて…」
高木寝室に入ると着替えた。すぐリビングで積み木を積みながら歌っている名前を、後ろから引っ張って抱き締める。
名前笑いながら積み木を倒した。
「パパ!」
思い切り頬擦りされて高木もへにゃへにゃになる。
「おかえり~」
きゃっきゃっとするふたりに、あなたキッチンから困った顔で腕を組み見つめる。
あ、はいはい…と高木。名前を振り向かせる。
「ねぇ?バスで幼稚園に行くのはもう慣れた?」
「ううん。誰も何も喋らなくて挨拶だけ。つまんない。なんで同じ車なのにバスでは黙ってじっとしていなきゃいけないの?」
「…バスってそういう乗り物なんだよ。これから君が大人になったとき、ちゃんと乗れるようになる練習なの」
「わたし聞いちゃったの」
名前はあなたの前までやってくる。
「先生たちが、わたしのことバスに乗れないようにするつもりだって言ってた」
あなた少し息をつき、名前の前にしゃがむ。
「どうしてわたしを仲間外れにするの?」
「…名前。パパの言った通りなの。幼稚園バスは知ってる子しかいないけど、普通のバスはね、知らない人がたくさん一緒に乗るの」
「そうだよ」
高木もやってきて上から言う。
「ふうん…」
と名前は不思議そうにした。
「わたし明日バス乗れるの?」
あなたは首を振る。すると名前は笑って言った。
「じゃあ明日はまたママとパパがわたしを送り迎えしなくちゃね」
あなたが口を開こうとした瞬間、高木が手を出して止めて首を振った。
「えー…皆さん初めまして。こんにちは…ちゃんと映ってる?よく見えづらかったらすみません」
「始まりましたよ!」
と言う野口に所轄勢集まって、スマホに映る制服の高木を見下ろす。
「こちら妻のインスタグラムのアカウントです。わたしは警察官で、今運転中ですので、撮影は隣の同僚に任せています……何故それを借りてライブ配信をしているかと言うとーー」
高木はスマホを前に向けるよう指差す。
そこには、黄色い帽子をかぶって鞄を下げ、黙々と歩く名前がいた。
「先日、うちの娘が幼稚園バスの中でじっとしていられず、迷惑行為として乗車禁止になりました。ですが問題はそこではありません」
千葉が高木にカメラを戻す。
「昨夜それを娘に注意した際、娘は、なら明日はパパかママがわたしを送らないとね。と答えたんです」
千葉は前にカメラを戻す。
「…わたしの子供は、大人がやってくれることを当たり前の権利だと勘違いしているのだと気が付きました。なので娘をこうしてパトカーで追っているところです…後ろには「お先にどうぞ」と張り紙をして配慮したつもりです」
千葉は速度計をうつす。20キロも出ていない。本当にカタツムリのような速度しか出ていない。
「娘はまだ3歳です。娘の足で歩いたら、恐らく30分以上は幼稚園までかかります。現在の気温は約8度。賛否両論あるかと思います。3歳ならまだじっとしているのも難しいと、親であるわたしも理解しているつもりですし…誰も傷つけたりはしていませんし、正直そこまでの迷惑行為でもなかったと思います。ですが…」
ふう、とちまちま歩く姿に高木のため息が聞こえる。
「誰かに迷惑をかける、というのはこういうことです。それが例え親だからいいという訳ではありません。多少は許されるでしょうが、わたしは娘を、娘の前にひとりの人間として躾たいのです。ですので、わたしたち両親は自分で歩いて行かせることを選びました。権利を主張するならば義務を果たさなければならないことを、身を持ってわかってほしいからですーー」
「すごい視聴率…」
佐藤は首を振る。海外からもたくさんのコメントが雪崩のように来ている。
「高木刑事の奥さん向こうの大学出てますからね。向こうからもすごいっす…」
え…厳しすぎない?
いや、あえてそれを選んだご両親を尊敬する。
うん。普通ならそこまでの考えにこちらも至らない。私はならなかった。
本当に娘を大事にしてるからこそだと思うなーー
でもさすがに寒すぎるよ…虐待にならないの?
立派な躾だと思う。ご両親だって辛いだろうよ…
「これからカメラを固定にします。どうか無事に、娘がきちんと理解してくれること。安全に幼稚園に辿りつけるよう見守ってくれると嬉しいです」
佐藤は腕を組んだまま首を振った。
「高木くん、しっかり父親ね。わたしも彼らの決断は正しいと思うわ」
「わっ。もうXのトレンドに入ってる」
「一瞬で日本の裏側まで巡った…ネットってすごいすね」
日本人の思いやりの裏側には、こうした配慮を覚えて育った時期があるんだな
でもアメリカではこんなことはできません。治安が悪すぎるので…
すごいの一言。こんな小さな子がひとりで歩ける日本って本当にすごいわ
わたしは母ですが、息子の躾を改めようと思いました。応援するわ
これだって上司の許可がなきゃできないでしょ?理解があってうらやましいよ
今は理解できなくても、きっと娘さんは素晴らしい両親の元育ったのだと気づくと思うよ…
同じ父親として拍手するよ、ブラザー
「名前は?」
高木は帰宅するなり、あなたが指すリビングのソファで寝ていた娘にすぐ近寄った。
「…お疲れ様でした」
すっ、と敬礼する高木にあなたは笑みを浮かべる。
「…幼稚園から連絡が来たわ。まさかここまでするとは思わなかった。明日からまた送り迎えしてくれるって」
「…幼稚園叩かれないかなぁ」
「それは大丈夫よ。幼稚園がウェブに声明を出してるからね…」
とあなたはスマホを見せた。
「わたしもコメントを上げたから。幼稚園にはなんの過失もないってね…どれだけの世界中の人が名前の登園を見守ってくれたと思う?ほとんどが私達と同じ気持ちでいてくれたのよ…」
「世界は優しいね」
高木もにっこりして、娘の頭を撫でた。
「いつかきみが大人になったとき。その子まで…僕らの想いが伝わっていきますように…」
あなたはどのパパの対応がよかったと思いますか?
おまけ
「あ?」
と大和スマホを見てしばらく出ない。
「どうしたの?」
「高明。お前の嫁から鳴ってんだが…」
諸伏首を傾げる。自分のスマホにはなんの連絡はない。
大和スピーカーにした。
「大和」
「ーー勘助おじさん」
皆で顔を上げる。その声は諸伏の息子からだった。
「おう。かけ間違ってんのか?」
「違うよ。今すぐにパトカーで来て。事件が起きたんだ」
大和ちらと諸伏を見る。
「…母ちゃん無事か?」
「お風呂入ってる」
上原ほっとした。
「もうすぐ父ちゃんが帰るだろ?なんで俺が行くんだよ?」
「いいから来て!ちゃんとパトカーで来てよ!いい!パパじゃ駄目なんだ!」
諸伏きょとんとする。
「んあ…わあった。行ってやるよ…」
「大事件だからね!手錠持ってきて!」
今度は大和きょとんとする。通話が切れて3人はクエスチョンだらけだった。
「…何故自分の家にパトカーで帰宅しなければ…」
上原後ろからくすくすした。
3人で諸伏の自宅に入ると、あなたまだ濡れた髪でいたが「ごめんなさい!」と皆に頭を下げる。
「お風呂入っちゃおうと思って…入ってたらこの子電話しちゃったみたいなの!」
「何かあったんですか?」
あなた首を傾げてから振る。
大和頬を膨らます息子にしゃがみこんだ。
「よお。【小】高明」
諸伏大和の後頭部を見下ろす。
「大事件ってなんなんだ?」
息子腕を組み、片手であなたを指す。
「ママが僕のチョコレート食べたんだ!!」
その場にいた全員があなた含め思い切り吹き出した。
「刑務所に送って!!上原のお姉ちゃん!!」
諸伏もうカウンターに手をついて笑いが止まらない。
「パパはママと共犯になるから役に立たない!!」
上原も顔を覆ってしまう。大和も下を向いて震えた。
あなた恥ずかしくなりクッションに埋まる。
「おーおー…そら大事件だなァwww」
くくっ…とする大和に上原もしゃがむ。
「わかったわ…じゃあ、刑務所に送る代わりに…」
上原も笑いながら言う。
「新しいチョコレートを…買ってもらうのはどう?箱で…」
息子また腕を組み険しい表情。
「パパ」
「はい…」
諸伏もひくつきながら戻ってくる。
「…示談にするの?」
「それを…夫としてわたしも望みます…妻を失いたくありません…」
ハハハ…と大和もう天井を仰いでしまう。
「本っっ当にごめんなさい!!」
あなた真っ赤で顔を覆ったまま。だが笑っている。もうなんか色んな意味で顔が上げられない。
「…じゃあ…アイスクリームも買ってくれるよね?クッキーもグミも!」
ぶはっ…とまた上原後ろを向く。
「…示談成立としましょう。大変申し訳ありませんでした…www」
諸伏と息子握手する。
ハハハ…と上原もまた離れたところで突っ伏していた。
「勘助おじさん、上原のお姉ちゃん」
ふたりは顔を向ける。
「きちんと保護観察してよ!」
大和もう顔を上げられない。
「わあった…わあったよ……www」
「きちんと見張るわwww」
「パパもだよ!警察官ならきちんと【容疑者】の社会復帰まで気にして仕事にあたりなさい!いいですね!」
「肝に命じます…」
諸伏妻と頭を震えながら大和と上原に下げた。
「では諸君!持ち場に戻りたまえ!」
息子笑顔で敬礼するので、皆もうぐちゃぐちゃのままなんとか敬礼したのでした☆
コメント
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いやもう、めっちゃ泣いたし笑った……!どのパパも全然違うアプローチで、それぞれの家族の形があってめちゃくちゃ良かったです。赤井パパの「よくやった」、降谷パパの法廷の話、風見パパの“戦争”、高木パパのライブ配信、全部刺さりました。最後の大和パパのオチでほっこり……。子供たちみんな良い子に育ってるのが伝わってきて、心が温かくなりました。緑茶は飲めないが紅茶は飲めるさん、素敵な話をありがとうございます!