赤・赤母「「いただきます 」」
久しぶりに食べる母さんのシチューはパンと絡んで、暖かくて、そして優しい味がする。
赤母「京治明日何食べたい?」
パンをちぎる手がとまる、きっと明日は最後の晩餐ってやつだ、何がいいか…
今まで何度かそういう話をしたけどノリがあったからその時食べたかったものを言っていた、でも本当に最後なんだ、なら
赤「…菜の花のからし和え、母さんが作ってくれるやつ。」
赤母「それでいいの?」
赤「うん、それがいい 」
赤母「じゃあ主菜に鮭でも焼こうか。 」
赤「うんありgピロン
スマホの画面が光る、目をやると留守電のマークが出ていた。
宛名は木兎光太郎、 嫌な汗が額を走る。
赤「ごめん母さん、シチューは後で食べるよ」
赤母「ちょっと京治!?」
ごめんなさい、でも今行かないとダメなんだよ。
もしかしたら
玄関で靴を履きながら木兎さんに電話をかける。
1コール
2コール
…いつもなら2コールもすれば出るのに。
3コールピッ
兎「もしもし?」
赤「よかった!木兎さん今どこですか!?」
兎「…内緒」
赤「え?」
内緒?いやなんですかほんとに、今じゃないでしょ。
赤「冗談辞めてください!」
兎「言えない…やっぱダメだよ、心中とか、あかーしはこれからまだ、
赤「まだなんですか!俺はッ別に死にたい訳でも心中したい訳でもない!ただあんたといたい、あんたのいないこれからなんていらないんです!いいから場所教えて下さいッ!」
兎「…春高のとこ」
赤「分かりました今すぐ行きます。」
頭に血が昇ったな、やっぱダメだな…でも反省は今じゃない。
電話を切って自転車に飛び乗る。
桜新町駅まで行って電車に乗れば早いはず、だから何も起こらないで、お願いします、置いていかないで下さい。
マフラーを忘れた、2月の風はとてつもなく冷たい。
それがどうした。
ペダルが縁石にぶつかって音を立てる、足の
小指が冷たい。
だからどうした。
自転車から飛び降りた勢いでよろける。
ならなんだ、速く立て
ホームを駆ける、息が冷たい、吸う度肺が凍りそうになる…
そんなの知るか、行かなくちゃ早く早く早く!
帰宅ラッシュでも下り線の車内は空いていて席も座れた、けど座らない1秒でも早くあなたに逢いたい。
あと少し、10分程度。
大丈夫
大丈夫
大丈夫…ふとスマホに目をやる。
残り16時間48分
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