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君に渡したい、好きの形を。

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君に渡したい、好きの形を。

3 - # 0314 . 後編

♥

638

2024年03月14日

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赤 × 桃 : 《 ホワイトデーの思い出 》










俺達は絶対に、今日という日を忘れない。





三月 十三日 14:35 葵 桃



今日は青が俺の家に来る日だ。


青は俺に似合う服がよくわかっていて

青に選んでもらった服を着て仕事行ったら

かなり評判がいいので、

明日の勝負服を選んでもらうことにした。



桃「 候補はこんくらいかな、 」



何着か俺自身が好きな服を出してきて

ベッドの上に並べて眺める。


俺的には本当に決められない。


ピロンッ、と俺のスマホの通知音が

俺以外誰もいない部屋に鳴り響く。


おそらく青からだろうな、と思いながら

スマホの通知画面を確認する。


そしたら、本当に青だった。



青『 駅ついた 』

『 あと十分くらいで家に着くと思う 』



適当に返信をしてスマホを

そこら辺のクッションに雑に投げる。


候補が決まったとはいえ、終わりでは無い。


次は俺の得意分野、メイクだ。


大切な人に今からの人生で

いちばん大切な物を渡すのなら

服の印象だけでなく、顔も大事だ。


雰囲気的なね。


メイク道具を厳選して、チーク類も

何種類もある中からひとつを選び抜く。


そして色々決まったら

試しでササッとメイクする。


もうすぐ、という緊張からか

今日は肌のノリが最高に悪い。


本当にムカつく。



青「 おじゃましま〜す 」



そして合鍵を行使してインターホンも

押さずに入ってくる腐れ縁の青。



桃「 合鍵持ってっから 」

「 めんどいのは痛いほど分かるけどさぁ 」

「 インターホンくらい押せ 」


青「 押したよ 」

「 この部屋にいたら聞こえないでしょ 」


桃「 …そ〜かよ 」


青「 んで、これが候補? 」



そう言って、

ベッドの上に置かれている服を指さす。


そして俺の返事も聞かずに

アイツはクローゼットを漁りだす。


俺のセンスはそんなに悪いのかよ。



桃「 そこに出てる服じゃダメなんか? 」


青「 悪くないけどプロポーズじゃない 」

「 どちらかと言えば…デート服だね 」



確かに よく考えたら

勝負服にこれは少し違うかも、と思えてきた。


いつだって青のセンスは良いし、

着眼点が俺なんかよりも優れている。


でも自分の容姿の良さに気づかずに

人のこと着せ替え人形にするんだけど。



桃「 服の候補決まったら… 」


青「 よし、買いに行こう 」

「 ここにプロポーズに相応しい服が無い 」


桃「 マジかよ 」


青「 メイクするならしていいよ 」

「 メイクと合わせるのも大切だから 」


桃「 ん、分かった 」



俺がメイクをしようと鏡の前に座った時、

青が俺の服をしっかりハンガーにかけて

綺麗にクローゼットにしまうところを

鏡越しに見た。


青は本当に不器用ながら優しい。


その優しさに気づいていながら

見て見ぬふりして赤に惚れた。


もし赤に出会ってなかったら

俺の方は、いつか青を選んでたのかな。


そんな未来でも良かったのかもしれない。


けど今の俺は、赤を選んだ。


そして俺自身に出来ることを精一杯やって

赤の隣にいれる人間になりたい。


赤は人当たりが良くて、対人関係も上手いから

赤と仲良くなった時に、

何度か嫌味を言われてきた。


でも、そんなの気にせずに

頑張って赤を落とした。


そんな俺の頑張りが、

僻むことしか出来ない奴らに

踏み躙られるなんてたまったもんじゃねぇ。



青「 今日、肌のノリ悪いね 」



俺の顔の隣から急に

にゅっ、と出てきて少しびっくりした。


てか、青から見ても分かるくらい

肌のノリ悪いってとんでもねぇな。



桃「 …緊張からかな〜って思ってる 」


青「 頑張ってよね 」



青がニカッと笑って

俺の背中を少しポン、と叩いた。


少しだけ気合いが入って気持ちが引き締まる。


の前に服を選ばなきゃいけないんだけど。



青「 …楽しみ、だね 」

「 僕も応援してるよ 」



少し悲しそうに、少し悔しそうに、

けど沢山の想いが詰まった笑顔だった。


初めて見る顔で、少し戸惑った。



桃「 …お前のこと、振っちまったからな 」



少しのイタズラ心で笑う。


けど青は満足そうな顔をして



青「 本当だよ 」



笑った。


これが本当の青の笑顔なのかもしれない、

なんて思ってしまった。


そんなこと、無いだろうにな。





三月 十四日 18:56 葵 桃



赤との約束の時間まで後四分。


青に励まされたからか、緊張はしていない。


手に持っている袋の中には、

少し苦戦したけど何とか作ったマカロンと

薄紅色に光る指輪と桃色に光る指輪。


青の知り合いに

俺と、赤の名前を掘ってもらった。


一生、傍にいたいから。





三月 十四日 18:46 浅野 赤



桃ちゃんに呼ばれた。


まぁきっとホワイトデーのお返しだ。


桃ちゃんは甘いもの苦手だけど

俺は甘いものの方が好きってこと知ってるから

お返しは毎年甘いものをくれる。


去年はマジで美味いシフォンケーキだった。


桃ちゃんに教えてもらった分量で

生クリームを作った後、いちごとか桃とかを

適当に乗せて食べたら

本当に美味しすぎて吹っ飛ぶかと思った。


あれば本当に何個でも食べれそうなくらい

美味しかった記憶がある。


ヤバい。

考えてたらヨダレが口の中に溢れてきた。


汚ねぇ。


今年のお返しは、何なんだろうなって

考えながら赤信号を待っていたら

急に大きい音が聞こえた。


そして次の瞬間には、

俺の体の至る所から血が流れて

全身が熱くなり、頭が朦朧としていた。


でも確かに見えたのは、

二人でイルミネーション前で撮った

待ち受け画面だった。


俺の顔にはモザイクかかってたけど

桃ちゃんの顔はハートマークで囲んで

分かりやすくしてある。


本当に大好きな、俺の





三月 十四日 19:18 葵 桃



赤が遅すぎて

赤の家までの道を辿ろうとした時、

赤から電話がかかってきて

「 昼寝でもしてたんか 」って

思いながら電話に出た。


そしたら、頭が真っ白になることが

耳から頭に入ってきた。



「 赤さんが事故にあって、 」

「 意識不明の重体となっています 」



《 事故 》《 意識不明の重体 》

なんて聞いたら、普通の人は

頭が真っ白になるか戸惑うの二つだろう。


俺は両方に陥って、

手に持っていた袋を落とした。


そして、一応その袋を拾って、

ここから一番近い病院まで全力で走った。


電話から聞こえてくる声は

耳には入ってくるが、頭に入ってこない。





三月 十四日 19:25 葵 桃



普通なら十五分はかかる道のりを

凡そ十分で走りきった。


そしてカウンターに行き、

カウンターに座っていたお姉さんに訊く。



桃「 あっ、あの…っ゙!! 」

「 浅野、ッ゙…浅野 赤は、ッッ゙!!! 」



訊く、というか怒鳴っている感じだ。


当たり前だけど、カウンターのお姉さんは

少し怖がりながら「 私には分かりません 」と

答えた。


俺は限界以上に走った体が追いつかず、

そこで意識が朦朧として

数分もすれば意識が飛んだ。


意識が飛んだのは、

脳が色々な事に対しての処理が

全く追いついてなかったからだと思う。


けど、薄れゆく意識の中に、

赤がいた気がしたから「 俺、死んだんだ 」

って思ってしまったけど、

次意識が戻った時には病院特有の匂いと

見覚えのない天井が広がっていた。





?月 ??日 10:40 葵 桃



医師「 …! 」



そして俺の顔を覗き込んでいる

知らない人の顔があった。



医師「 葵さん、起きましたか…! 」



白衣を着ているから、

おそらく医師なんだろうけど

なんでそんなに驚いてんだよ。


俺はどこも怪我してなかっただろ。


そりゃいつか起きるだろ。



医師「 葵さん、右手を握ってみてください 」



思うように力が入らなかったけど

一応、右手に力を入れて握ってみた。


けど、本当に何処か体がおかしいのは感じた。



医師「 自分の名前、分かりますか? 」



何言ってんだよ。



桃「 …ぁ゙、お…い… 」



なんでこんなに声が出にくい。


そういえば体が起こせないし

なんとなく息苦しく感じてきた。


何なんだよ。


俺は赤が心配で病院まで来たし

俺に持病なんて無かったはずだ。



医師「 …自分の名前もちゃんと言えてる… 」

「 やっぱりショックだったのか…? 」



医者は何やらブツブツと独り言を吐いている。


でも、それとは別の騒がしさが耳に入ってきて

とてつもない耳障りだ。


方向的に廊下側だろうか。





?月 ??日 10:42 浅野 赤



俺が目を覚ました時に、心電図の音と

俺が呼吸してる音が聞こえてきた。


頭はまだぼんやりしてるけど、けど

桃ちゃんの顔だけはしっかり頭に残ってる。


たぶん事故にあった時、頭は強打した

みたいだけど桃ちゃんは覚えてるし、

俺の名前も思い出せる。


でも、今日は何月何日だ。


ずっと眠っていたのか、

数日とかしか経ってないのか分かんない。


カレンダー…はこの部屋に無いみたい。


あれ、椅子に誰かいる。



黄「 …っ、赤ッ゙!!! 」



相変わらず心配性だなぁ。


俺の体は見るに堪えない物かもしれないけど

俺はちゃんと生きてるし、もはや痛くない。


神経がやられているのか、一時的か、

それとも痛みを逃がす麻酔なのか。


てか何で声出ないんだ。


ずっと眠ってたから声帯が固まった?



赤「 …ぁ゙、あ゙ぁ…ん゙…ん〜゙ 」



声は出るな。


声帯が完全にやられた訳じゃなさそう。


一時的に固まってたけど、

しばらく声出しすれば治る程度か。



黄「 赤、僕のこと…ッ、 」


赤「 わ、かる…よ 」



俺的には微笑んだつもりだけど

ちゃんと表情見えてるかな。


表情を動かす感覚はあったから

皮膚も落ちたりしてない。


でも足の感覚がほとんど無い。


足は神経がやられてんな。


手は…動く。


骨が固まって動きにくいだけで

全然動いてるから俺は下半身がイカれたか。



黄「 …よかっ、たぁ… 」



黄くんはヘナヘナと椅子に座りこんで

頭を抱えた。



赤「 な、か…あっ、たの…? 」


黄「 …葵さん、が… 」

「 …ショックで昏睡状態…って… 」



ショック、って…

俺が事故にあったからだよね。


それで昏睡状態…


ぼんやりとしていた頭が

急にハッキリとしたと思ったら、

急に体が動き出した。


まともに動かない下半身を意地でも動かして

何処にいるのかも分からない桃くんを探す。


黄くんは俺の体を押えながら

「 もうやめて!! 」ってずっと叫んでる。


ほかのお医者さんや、看護師さんにも

止められても俺の動きだした体は

止まることを知らずに、押さえられながら

ジタバタと動いていた。


これはもう、俺の理性で動かしていなくて

俺の心が勝手に体を動かしている。



医師「 …桃さんは、生きていますよ!! 」



一人のお医者さんが、そう俺に言った。


生きてる死んでるは大切だけど、

それはもう二の次で俺は桃くんに会いたい。


けど俺の体は活動限界を迎えてしまったようで

動かなくなって、意識が飛んだ。





?月 ??日 10:45 葵 桃



廊下の騒ぎが大人しくなったところで

俺は眠くなって、そして睡魔に意識を預けた。



ふと見えたカレンダーは五月だった。


五月は、赤の…たんじょう、び…





五月 二十日 11:58 葵 桃



俺が起きた時、隣には見覚えしかない

赤髪の耳が四つ着いた包帯まみれのやつが

すやすやと眠っていた。


俺が頭を撫でると、

ソイツは嬉しそうに笑った。


怪我してても、反応は何も変わんねぇや。


そんな当たり前で大切なことを、

俺は大人になって思い知ったんだ。



桃「 あ〜あ、今年はお返ししそびれた… 」

「 …っ、… 」



俺のベッドの隣にある小さな引き出しの上には

青と俺しか知らない指輪ケースがあった。


中身を開けると、一つ、桃色が無い。


そして赤の左手の薬指を見たら



桃「 付けるんなら、言えよな 」



しっかりと光り輝いた桃色の指輪が

赤の綺麗で細い指にはめられていた。


俺も、薄紅色に光り輝く指輪をつけて

電気に手をかざす。


眩しいくらいに光り輝くその指輪は

明るい未来を照らしてくれるようだった。



赤「 …本当に、綺麗だね 」

「 桃、ちゃん… 」



赤は突然起きたと思ったら、

俺の方を向いて泣いていた。


笑えよな、もうすぐ誕生日なんだから。



桃「 …綺麗だろ 」

「 …こんな形で申し訳ないけどさ… 」


「 …っ、俺と…!! 」


赤「 返事なんて、一つに決まってんじゃん 」



俺の心臓が、強く跳ねているのを感じた。



赤「 俺でよければ、これからも一緒に 」


桃「 いる、絶対に…傍にいる… 」


赤「 …ありがとう 」



赤は、いつの笑顔でニカッと笑いながら

俺に生チョコを渡した。



赤「 誕生日プレゼント 」

「 黄くんに、手伝ってもらった 」



赤は、バレンタインの時と同じように

イジワル顔で笑ってきたけど、

いつもの赤で安心して胸を撫で下ろした。


だから、俺も



桃「 お返ししなきゃな〜 」

「 とびきり甘いの 」



なんて言って笑うんだ。


四日後、誕生日の君に贈る、

誕生日プレゼントも兼ねて。


本当に大好きで、生涯忘れられないような

プロポーズだ。


その時だけは、泣きながらも笑った。





五月 二十日 12:00 藤田 青



青「 おめでとう、二人共 」



とても短いけど、色んな思いを込めた

僕なりの祝いの言葉。


赤くんを轢いたのは、僕の兄だった。


酒に酔った兄は飲酒運転をして

赤くんを轢いて捕まった。


そんな僕が、二人の傍にいたら

きっとダメだからこの言葉だけを置いて

僕は君達からそっと離れる。


青「 お幸せにね 」





たくさんの思いが綴られたような話。


きっとあの二人は、幸せの絶頂の中に

けどあの子は、絶望の底にいる。


それが本当の幸せかどうかも確かめずに。

























支離滅裂で本当に申し訳ないです











この作品はいかがでしたか?

638

コメント

2

ユーザー

良い話すぎて 涙腺崩壊しました😢 赤くんが 轢かれた時は どうなることやら ... 最高の作品 ありがとうございました 。

ユーザー

めちゃくちゃいい話で泣きました😭 本当に2人とも生きててよかった、、😭

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