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「あっ!陽菜ちゃん?!」
「俺曽野舜太って言います。」
目が合うなり、犬みたいに駆け寄ってきて自己紹介をしてくれた。なんだか憎めない人だなぁ~。
「…犬飼陽菜です、。」
「自己紹介してくれてありがとう。」
手を上げられて、咄嗟に目を瞑れば、ぽんぽんって優しく頭を叩かれた。
「痛くない、。」
「ふふ、そんな酷いことせんよ?」
「そうだよ?人って案外優しいもんよ!」
「…優しい、。」
「柔太朗も優しかったでしょう?」
頷けば、そういうことって優しく笑った。
「陽菜ちゃんっていくつ?」
「…今年の3月ではたちになりました、。」
「てことは、俺と同い年やん!」
「じゃあ学生さん?」
「ぇっと、…通信制の高校に通ってます、。」
その辺に干させてもらった教科書やレポート。雨で濡れてしまったせいで、中身も全てアウトだった。
「これからどうするん?」
「…働き口、探します、。」
「えぇー…働く前に俺たちの現場来てよ?」
「…えぇ、?」
「一応M!LKってグループで活動してるのよ」
俺たち、って吉田さん。てことは舜太くんとか柔太朗さんは吉田さんのメンバーさん、?
「みるく、…。」
「歌ったり踊ったりしてるんやけど…」
見せてあげた方が早いか、って、YouTubeを開いて検索欄に『M!LK』と入力した。
「これとかどう?」
「…この曲、…聴いたことある、…かも、。」
「え、だとしたらやばくね?」
「え?」
「俺ら認識されてないってことだよ?」
「うわ、!」
「…素敵ですね、。」
「ん?何が?」
「…誰かの何かになれるお仕事、。」
「あ、吉田さんの声だ。」
「仁ちゃんの声好きなん?」
「…好きぃ。吉田さんの声が一番すき。」
感情がこもる吉田さんの歌声が好き。
話してるときの声も喋り方も、聞き心地がいいから好き。
声のトーンとか、話すスピードとか、全部全部心地よくて、ずっと聞いていたい。
「じゅーたろーさん、。」
「おぉ、そう!柔!」
「…綺麗な声ですね、。」
透き通るような優しくて甘い歌声。
意味もなく泣きそうになってしまう。
「ライブ来てくれる?」
「俺たち史上初のアリーナなんだけど、」
「…そんなライブ、私なんかが、」
「俺は陽菜に来てほしい。」
「…お邪魔させていただきます、。」
よしっ、メンバーに報告しとくわって、あっさり決まってしまった。本当に良かったの、?
「私、やっぱり場違い、」
「場違いになんないから。大丈夫だって。」