テラーノベル
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────俺の名前は、”カルド・リナンセ”。 悪魔だ。それに、俺は悪魔の中でも金持ち、まあ貴族の家系の長男だ。長男と言っても、俺には上に2人の姉がいる。双子の姉で2人ともとても美形。
それに伴い俺も、イケメンだ。
イケメンだし、金持ちだし、実力だってある。
そんなのモテない訳がない。
俺は小学校時代からずっとモテてきた。
中学もそうだった。
そして、俺は高校生になった。
1年目は何も無く過ごし、2年生へと上がった。
俺の人生が狂い始めたのはこの時からだった。
2年生の後半。生徒会選挙があった。
生徒会長になったのは他クラスのやつだった。
生徒会長なんて面倒臭い仕事、誰もやりたがらず、選挙という名のただの理想を語るだけの演説だった。
それから数週間後、突然授業中に放送がなった。
「ぁ‐…これ、聞こえてんの?まあいいや。俺の名前は”フィアー・ローレン・ディケンズ”。新しい生徒会長様だ。俺はこれからこの学校を変える。この学校のトップは、校長でも理事長でもない。この俺だ。全ては俺によって支配される。ぁ?なんだてめえら…゛~」
その後の放送は何を言ってるいるか分からなかった。だが、先生らしき人の叫び声と共に放送は終わった。
教室は騒然としていた。授業をしていた先生は黒板に自習と書き残し、どこかへと行ってしまった。
“フィアー・ローレン・ディケンズ”
有名な人物だ。いい意味でも悪い意味でも。
関わりは全くない。クラスも一緒になったことはないし、話すことも無かった。そもそも、男にあんまり興味が無かった。
だが、少しくらいなら俺と話す権利をやってもいいかもしれない。
…
その日の放課後。俺は生徒会室に向かった。
そこにはソファに横たわる1人の男がいた。黒にほんのりと赤の混ざったような髪の毛。その男はゆっくりと体を起こすとこちらを見た。
その瞳は臙脂色をしていて、女のような長いまつ毛だった。俺と同じような瞳の色だった。
「誰だ?お前。」
「俺の名前は、カルド。知らないのか?」
「は?知らねえよ。」
「なッ…ま、まあいい!要件を話そう」
「なんだよ…寝み…」
「お前、俺の下僕にしてやってもいいぞ? 」
「は?」
「いや、弱いやつは守ってやんねえとなって思ってさ?」
「へぇ、いいぜ。やってやる。だが、お前が負けたら?」
「なーんでも言うこと聞いてやる」
「よし、決まりだ。」
…2時間後。
俺は見事に惨敗した。学生の魔力量じゃない…
いや、魔力量だけじゃない技術もそれを考える知能も…
初めての負けだった。今まで誰にも負けたことの無い俺にとっては屈辱でしかない。
フィアーは、傷1つすらなく服に着いた埃を払った。
「さて、負けたら何でも言う事聞いてくれるんだろ?」
「…ああ、聞いてやるよ。嘘はつかない。」
「なら、副生徒会長になる気はないか?」
「は?」
「ん?」
「だ、誰がそんな面倒臭そうなのを…」
「俺は今後、もっともっと学校の校則を面白いものにする。例えば…そうだな、俺の首を取ったやつが次のトップ…とか?お前は、俺には勝てないが相当な実力はある。だから、お前は俺を守れ。俺の右腕にしてやる。」
少しカチンと来るようなこともあったが、話を聞く限り面白そうだし、何しろこいつについて行って間違いはなさそうだ…
「…分かった。副生徒会長になってやる。」
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