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「は、はい! 私の方こそ、どうぞよろしくお願いしますね」
その優雅にも感じられる立ち居振る舞いに、ソファーから思わず立ち上がり頭を下げた後に、
「……あの、ドSって本当なんですか?」
見た目とはまるで違う”ドSメガネ”なんていうキャラ付けに、つい確かめてみずにはいられなくなった。
「ええ、そうですね」と、三日月が臆面もなく頷いて、
「私がドSなのは、あながち嘘ではありません」
本気とも冗談ともつかないような言い方をすると、スクエア型のレンズの奥にある目をスッと細めて見せた。
「……ああそれと、銀河から渡されているカードキーを、私にお貸しいただけますか? お客様専用のIDをナンバリングして、指紋認証をできるようさせていただきますので」
「あっ、はい」と、カードキーを手渡す。そつなく話題を替えられたような気もしたけれど、「専用のIDって、何ですか?」と、そっちの方が気になって、そう問いかけた。
「こちらのカードキーは、一度いらしていただいた後には、IDで管理をしてお客様専用のものになります。もし他の方が使おうとしても、あなたご自身の認証データと一致しなければ、解錠はできない仕様になりますので」
「そうなんですね……」
やけに徹底しているんだなぁーと感じていると、
「それが、自薦を受け付けてはいない、オンリーワンの当ホストクラブのシステムですので」
三日月がそう話して、ふっと柔らかに微笑んで、掛けている眼鏡のブリッジを長くしなやかな指先でツイと押し上げた。