…今考えてみれば、めちゃくちゃ恥ずかしいとこ見られた(っていうか聞かれた?)よなボク。
執務室の椅子に座り、割と冷静に思考を巡らせる。いくら考えたって保科が自分を好きになる理由など分からないし、行動も意味不明で全く理解できんが。
自分はどうだ?
保科のことが好き、なのか。今まで顔を合わせればくだらない言い合いしかしなかったし、毛嫌いしていたはずだった。
…はず、だった、?なんで過去形なんだ。
自分でも分からなくなってきて、机に突っ伏す。
「はぁ…」
てかそもそも、なんでこんなに悩んでるんだ。「付き合ってほしい」だとか明確に言われた訳じゃないし…。
…あれ。そういえば、「好き」すら言われてなくないか…?
そうだ、言われたことがない。「自分を好きになるまで諦めない」、「身体だけの関係で終わる気はない」。言われたのはこれらだけで、ボクが好きとは言われてない。
それらしいことを言われただけ。そう気付いてしまったら、なぜだか漠然とした不安に襲われた。
本当は自分のことが好きではないのではないか、ただほんの気まぐれだとか、遊びとかじゃないだろうか。
グルグル考え出してしまって止まらない。ここでウジウジ考えていても埒が明かない。
「…電話、かけてみる、か…?」
いやでも、こっちからかけるのは何か…。ボクのプライドが許さないというか…。
「…チッ」
…これじゃまるで恋する乙女じゃないか。別にこの程度、ボクにとっては造作もないことだ。たかが電話。
📞プルルルル…
『はい』
「…保科」
『どないしたんです鳴海隊長、電話かけてくださったの初めてですよね?』
「あぁ」
「…なぁ保科」
「…今日の夜、会えるか」
『え』
「別に深い意味はないからな!断じて誘ってるとかじゃないぞ!!」
『はいはい笑』
『ほな8時くらいにそちらにお伺いしますね』
「あぁ、それじゃ」
『ほな』
通話終了ボタンを押し、ホッと一息つく。
そこでやっと、自分が緊張していたことに気づいた。
「あ”ー…ほんと何なんだよクソ…」
だが、ほんの少しの待ち遠しさも感じていることに、まだ鳴海は気が付いていなかった。
コメント
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やばいもう1時なのに…手が続きをみるをタップしてる…
続き気になるー