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夕方。オレンジ色に染まった教室の隅で、すちはひとり膝を抱えていた。

静かすぎる。世界の音が全部、遠くに押しやられたみたいだった。


「……そっか」


みことが好きな人に告白して、笑顔で報告してきた直後だった。


“聞いてよ、すち。俺、やっと言えたんよ……!”

“ありがとう。背中押してくれて……”


その笑顔を見た瞬間──胸の奥がずるりと音を立てて崩れた。


応援したかったわけじゃない。

背中を押したかったわけじゃない。

本当は自分の方を向いてほしかった。


「俺……何やってんの」


笑えない笑いが喉の奥でひどく乾いた。


机の影に落ちるすちの表情は、夕陽が届かない分だけ濃く沈む。

感情はあるのに、表面に出てこない。

代わりに、じわじわと黒いものだけが浮かび上がっていく。


羨ましい。

妬ましい。

壊したい。

奪いたい。


「……全部、俺の中で勝手に燃えてるだけか」


指先が震える。

その震えを押さえ込むように、すちは胸元をぎゅっと掴んだ。


“好きでいてくれるわけじゃないのに、勘違いしてたのは俺の方か。”


気づきたくなかった現実が、薄い膜を破るみたいに突き刺さる。


すちはゆっくり顔を上げた。

まるで別人みたいに、目の奥の色が暗く深く沈んでいる。


「俺……」


誰もいない空間に向かって呟く。


「奪えるもんなら、奪ってでも……欲しかったよ」


その声は温度を持っていなかった。

穏やかで優しい彼の声じゃない。

静かすぎて、冷たすぎて、底に何が沈んでいるのか誰にも掬えない。


夕陽が完全に落ちる頃、

すちは立ち上がった。


影がひとつ、夜の廊下へと溶けていく。


──その背中はもう、以前のようにに柔らかくなかった。






NEXT♡250





君が堕ちるまで 🍵×👑

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