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第3話:隠されたスキル:不慣れな包帯
登場人物
シャオロン:煽り担当、突撃隊員
ひとらんらん:一般兵、農業担当
ゾム:暗殺者
本文
その日、訓練場では、WrWrd軍恒例の熾烈な模擬戦が行われていた。シャオロンとコネシマのチームと、ゾムとロボロのチームが激しくぶつかり合っていた。
シャオロン「コネシマ! 左に回れ! ゾムの射線が来るぞ!」
コネシマ「うるっさいわ! そんなもん言われんでも分かっとるわ!」
しかし、一瞬の隙を突かれ、シャオロンはゾムの放ったゴム弾を受け、腹部を抑えて倒れ込んだ。すぐに駆けつけたひとらんらんが、いつものように冷静に応急処置を施す。
ひとらんらん「シャオちゃん、大丈夫? ちょっと弾が掠っただけだね。大したことないよ」
ひとらんらんはテキパキと消毒を施し、包帯を取り出した。その手つきは、優しく、そして異常なほど正確だった。彼の指が皮膚に触れる角度、包帯の巻き始めと終わりの位置、そして結び目の固さ。
シャオロン「いてて……サンキュー、ひとらん。お前、ほんと手当てだけはプロ並みだよな。農作業の怪我でそんなに鍛えられたんか?」
ひとらんらんは一瞬、手の動きを止めた。
ひとらんらん「……え? ああ、うん。昔、動物の治療で慣れたからかな。農場じゃ怪我は日常茶飯事だからね」
彼はそう答えたが、シャオロンは違和感を拭えなかった。いくら動物相手とはいえ、包帯を巻くそのスピードと、患部を圧迫して止血する力加減は、プロの衛生兵か、それこそ特殊な戦闘訓練を受けた人間にしか出せない域だった。
シャオロン「(なんだ、今の? 動物相手の処置じゃ、あんなに迷いなく、人体の急所を避けて巻くなんて無理だろ)」
シャオロンは、ひとらんらんの包帯の巻き方が、彼の正体と過去の経歴を裏付ける、あまりにも完璧な証拠だと感じていた。
その頃、訓練を終えたゾムが、シャオロンの傍らにやってきた。
ゾム「シャオロン、雑魚すぎるぞ。ひとらん、そいつにそんな丁寧な手当ていらんやろ」
ひとらんらん「ゾム、そういうこと言うなよ。シャオちゃんが痛がってるんだから」
ひとらんらんが笑いかけたとき、ゾムの鋭い目が、彼の手首の古い傷跡に釘付けになった。それは、剣やナイフで深くえぐられたような、訓練では絶対に付かない、致命的な傷の痕だった。
ゾム「……ひとらん。お前、その傷、いつの間に付けたん?」
ゾムの冷たい声に、シャオロンもひとらんらんの手首を見た。確かに、袖の下に隠れていたその傷跡は、何年も前の、戦場での激しい攻防を物語っていた。
ひとらんらんは、慌てて袖を引き下げた。
ひとらんらん「これ? ああ、これは昔、畑で作業中に引っかいたんだよ。結構ひどい傷になったんだ」
ゾム「嘘つけ。そんな傷、ただの農作業でつくかよ。それは、人を殺す道具からついた傷だ」
ゾムは暗殺者としての嗅覚で、ひとらんらんの経歴に致命的な矛盾があることを確信した。ひとらんらんの顔から完全に笑顔が消え、硬直する。
隠し事③:ひとらんらんの異常に高い戦闘・医療スキルが、シャオロンとゾムの前に晒された瞬間だった。彼の包帯術と、隠された古い傷跡が、彼の**「一般兵」**という設定を根底から崩し始めた。
ここまでの隠し事の状況(3話終了時点)
ひとらんらんが他国語の暗号文書を所持している(トントンが発見)
オスマンの故郷でのトラウマ(コネシマが表情から察知)
ひとらんらんの異常に高い戦闘・医療スキルと、戦場での傷(シャオロン、ゾムが目撃し確信)