コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
第4話:最初の告白:兄さんへの打ち明け
登場人物
オスマン:外交官
ショッピ:新兵
コネシマ:特攻隊長
鬱先生:情報収集担当
本文
訓練場でのひとらんらんの様子を見てから、軍の空気はわずかに張り詰めていた。特にゾムは、ひとらんらんから目を離さず、彼の行動を観察していた。
一方、オスマンは最近、夜になると決まって新兵のショッピの元を訪れていた。ショッピは冷静で感情を表に出さないタイプだが、オスマンにとっては、軍の中で唯一、素の自分を晒せる相手になりつつあった。
その夜、ショッピが自室で武器の手入れをしていると、ノックの音とともにオスマンが入ってきた。
オスマン「ショッピ君、夜分にごめんメウ。ちょっと、話があるんだ」
いつもの陽気な調子ではなく、オスマンの声は重く、表情には疲労が滲んでいた。ショッピは黙って椅子を勧めた。
ショッピ「……オスマンさん。最近、顔色が悪いですよ。W国の件で、総統から何か言われたんですか?」
オスマン「……W国……そうだね。僕の秘密は、全部あの国に繋がってる」
オスマンは、ショッピの目を見て、意を決したように口を開いた。
オスマン「グルッペンは僕を信じてくれている。でも、いつかバレるんだ。僕がこの軍に入った、本当の目的が」
ショッピ「目的?」
オスマン「ショッピ君……僕は、このWrWrd軍で、絶対に守りたい家族がいるんだ。その家族は、今、W国の軍に人質のような形でいる」
ショッピは手を止め、オスマンをじっと見つめた。外交官であるオスマンが、そこまで個人的な事情を抱えていたとは誰も思っていなかっただろう。
オスマン「彼らを守るために、僕はWrWrd軍に協力している。でも、それは同時に、W国からの**ある種の『監視役』**という意味も持っている。僕の行動一つで、家族の命運が決まるんだ」
オスマンの瞳は涙ぐんでいた。彼は、己の命より大切な存在を守るために、**「仲間への裏切り」**という名の綱渡りをしているのだ。
オスマン「グルッペンを裏切る気はない。でも、もしグルッペンが僕の家族を脅かすような行動に出たら……僕には抗う権利も、義務もない。ショッピ君、君には、僕のこの焦燥感を、兄さんとして聞いていて欲しかったメウ」
隠し事④:オスマンが守るべき家族がいる。そしてその家族が、彼を縛る鎖となっていることが、新兵のショッピに打ち明けられた。オスマンの心の中で、グルッペンへの忠誠心と、家族愛が激しく衝突していることが露呈した瞬間だった。
その翌日。
情報管理室では、鬱先生が必死にW国の外交ルートのハッキングを試みていた。グルッペンの指示で、W国の外交官(オスマン)と農夫(ひとらんらん)の周辺を洗い直していたのだ。
鬱先生「チッ、W国のセキュリティは鉄壁やな。流石にグルッペンの読み通り、ただの外交国家ちゃうわ」
その時、データベースの隅に、W国軍からWrWrd国に流出したとされる**「廃棄データ」**の断片を発見した。
それは、W国軍内部での、ある人物の**『経歴抹消報告書』の一部だった。報告書には、過去にW国軍で「対外諜報・特殊工作員」**として活動していた人物のデータが記されており、その人物の持ち物としてリストアップされていたアイテムの中に、WrWrd軍のオスマンが着用しているものと酷似した、異様な紋章の装飾品の記述を見つけた。
鬱先生「え……嘘やろ? これ、オスマン君がいつも付けてるあのブローチと、同じ意匠やんか……?」
その紋章は、W国の軍の機密シンボルとは微妙に異なるが、その意匠はW国軍の歴史と深く結びついていた。
鬱先生「まさか、オスマン君はただの外交官ちゃう……W国の軍関係者やったんか?」
隠し事⑤:オスマンがW国との深い繋がりを持つ。
オスマンの外交官としての正体と、彼の家族の秘密が、鬱先生によって、間接的な証拠と共に暴かれ始めた。五つの隠し事が、すべて揃った瞬間だった。
ここまでの隠し事の状況(4話終了時点)
ひとらんらんが他国語の暗号文書を所持している(トントンが発見)
オスマンの故郷でのトラウマ(コネシマが表情から察知)
ひとらんらんの異常に高い戦闘・医療スキルと、戦場での傷(シャオロン、ゾムが目撃し確信)
オスマンが守るべき家族がいる(W国に人質)(ショッピに告白)
オスマンがW国軍の機密シンボルに関わる装飾品を持つ(鬱先生がデータから発見)