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花崎乙葉 ↻
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コメント
1件
うわ、2話目…空気が一気に重くなったな。璃隠の「触らないで!!」のシーン、マジで心臓に来たわ。あの拒絶、絶対何か隠してるし、左手のささくれとか気になる要素しかないじゃん。主人公の「嫌われたんだろうか」って不安も伝わってきて切なかった。遊園地の約束でちょっと希望が見えたけど、まだ全然もやもやが取れない…続きが待ち遠しい🔥
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今日は、璃隠が学校を休んだ。 体調不良だそうだ。
昨日、咳をよくしていたのも、きっとそれのせいだろう。
今日は符皇確認日。現在、符皇がいない状態が一週間続いている。
現 符皇がいなくなれば、不定期とはいえども
右手にうまれる 符 は、一週間も経てば次の人へうまれるはずなのだ。
つまり、隠している。ということになる。
だから、乳幼児から老人まで、全員もれなく右手を確認するのだ。
水に浸したり、赤くなるまで叩いたりして確認する。
絵の具などで隠す人がいるから、学校や会社では二人一組で痛みなど関係なく探されるのだ。
璃隠は、体調が回復次第、先生と一緒に行うことになっている。
可哀想に、先生は痛みなど考えないのだから。
放課後、先生から受け取ったプリントを届けに行くことになった。
ほぼ家は隣なので、届けるついでに家から璃隠が好きなお菓子を取って届けに行った。
外から見える璃隠の部屋はカーテンで閉められていた。
インターホンを鳴らすと、璃隠の母さんの声がしたかと思えば、ドタドタと足音が聞こえる。
「く、くらちゃんっ、な、どうしたのっ」
「なにって、これプリント。あと、ついでに見舞い。」
「この菓子好きだったよな?体調良くなったら食べて。」
頬は赤く、いつもよりボサボサな髪の毛。
もう分厚い長袖のパジャマを着ている。
「というか、お前体調悪いなら無理してでなくてよかったのに」
「ううん、ただの花粉と低気圧だよ。熱も重なっただけ。」
「そりゃひどいな。」
マスクの裏で、少し浅い呼吸をしているのがみてとれる。
でも、変わらず優しい目をしている。
「そういえば、今日符皇確認日でさ。璃隠は先生とするってよ。」
「あ…そうなんだ。ありがとう。 」
「…、くらちゃん、符皇じゃないよね?」
不安そうな声で問う。
もし符皇だったら、バレて速攻東京行きだよ。と伝えた。
璃隠はそれを聞くと、安心したような、焦りのような表情で息を吐いた。
菓子とプリントを優しく抱える璃隠の左手の指先を見ると、ささくれで血がでていた。
「あ、璃隠、左手に血が…」
手に触れようとしたその瞬間
「触らないで!!」
はらはらとプリントが数枚落ちた。
こんなに大きな声を聞いたのは、初めてだった。
璃隠も、自分の声に驚いたようで。顔の血の気が引くのが分かった。
「あ、あ、ごめ、…」
「いや、俺も、ごめん。」
プリントを拾い、渡す時、いつもより距離があるのを感じた。
受け取ると、そそくさと家へ入っていった。
その背中は、震えるこいぬのよう。
すぐ近くの家に帰るのも、いつもより長い時間が過ぎる。
払われた右手が妙に痛くて、胸の動悸が止まらなかった。
次の日も璃隠は来なかった。
胸騒ぎと止まない右手の痛みが、頭を掻き回す。
“ 璃隠に嫌われたんじゃないか “
” 俺は符皇なんじゃないか “
何度も何度もこの考えが脳裏をよぎる。
怖くて右手をみることができない。
久しぶりにパーカーをひっぱりだして着たくらいだ。
友達によると、心配するほど眉間にシワが寄っていたらしい。
昼休みは久しぶりに1人で昼食を取った。
誰かといても話す気が起きなかったからだ。
ぐるぐると駆け巡るこのノイズを打ち消すためにヘッドホンをつけた。
『Rionオススメセレクト』
このアルバムを開いた。
ロック、ジャズ、K-POP、種類はまとまっていなかった。
不思議と、心地は悪くなかった。
璃隠も、この6曲の内どれかを聴いているだろうか。
そんなこと考えていると、ノイズはどこかへ消えていった。
今日は、誰かにノート見せてもらわなきゃな。
授業もろくに聞けていなかったのだから。
昼食を取り終わり、さらにベンチにもたれた。
深呼吸を3回行った。
右手の痛みは、もうない。
俺は右手の甲を確認した。
帰り道、璃隠からの連絡が来ていた。
『今週の土曜日、空いてる?』
遊びに誘っているのだろうか。テスト前だと言うのに。
微笑みを零しながら、空いてるよ、と送信する。
手には、脱いだパーカーと携帯。
今、横に璃隠がいたら 歩きスマホなんて、悪い子だぁ とからかわれるのだろう。
『じゃあ、一緒に遊園地行かない?この前チケットもらったんだ』
『お前の体調によるけど、行くよ。』
ゆるいうさぎのスタンプが送られた。
文面上は、いつもの璃隠でしかない。
でも、急にどうしてなのだろうか。
まだ、璃隠の部屋はカーテンが閉まっており、若干の気まずさを感じた。
ただ土曜日への楽しみだけが、残り4日を流していった。