部屋番号0 「the Real」<現実世界>
『きらめくのは、希望ではありませんでした。』
走ってまで行ったスーパーマーケットが休みで肩を落とす。
まあどちらにしろ営業時間外だから仕方がない。
同じような思考で来ただろう烏と人間、それからドラゴンが私を追い越し帰っていった。
さっきのドラゴンが炎属性だったのか、地面が少し焦げて暖かくなっている。
おー怖。火事とか絶対ごめんだから。
烏の羽も落ちてる、汚いなあ。
…はあ。
こんなん普段は気にならないのにさあ。
ああ本当、スーパーくらい日が昇る前に買いに行きたかったのに。
え?
いや、何も言い間違えてはいない。
「明るくなれば店は閉まる」し、「夜に営業してるところがほとんど」。
常識だろ?
夜のほうが活動できる怪異やモンスターが多いんだから。
私も本当は夜に活動するタイプなんだけどね。
ゾンビってたまに日に当たると燃える個体がいるのよ、最近はそういう打たれ弱いやつがほとんどなわけ。
…もういいや、私もコンビニよって帰ろう。
あーあ、コンビニは高いんだよなあ。
エナドリはまあ仕方ないとしても牛乳くらいはスーパーで買いたかった、悔しい。
とても悔しい。
てか、早く生活保護支援金の幅広がってほしいな…
それよりも前提的にゾンビにも生命保険に入る権利をくれよ、まだ生きてるんですけどぉ!
なんでこうも世界は厳しいのかね。
昔は義務化されてたのになあ…
義務すら分け与えてくれないなんて。
ついでにゾンビにも人権適用してもらえると助かりまーす…
と、いうことで。
帰ってきましたよ、我が家という名のボロマンションへ。
もうほんとに、風呂場とキッチンになめくじが出るから嫌い。
虫には人権いらないよねってことで踏み潰しちゃうんだけどさ。
適当な壁によっかかってパソコンを開く。
そういえば前、新しいゲームが噂になってたな。
脱出ゲームだっけ。
最近の層ってそういうの好きなの?
いまいちつかめねー奴ら。
名前は、えーっと…
「おーとろっくざ…」
「何やってんの?見せて見せて!」
リングが割り込んできた。
私がつけたんだから仕方ないとは思うけれど、やっぱり顔がいつでも紙袋+落書きスマイルなのは威圧感がある…気がする。
「ん、最近流行りのゲーム。一緒にやるか?」
そう聞くと、リングがうんうんと大降りに頷く。
そのたびに紙袋ががさがさと紙特有の音を立てて揺れた。
「やるー!」
ゲームはみんな大好きst〇amに配信されていた。
名前は、さっき言いかけてたけど…そうだそうだ、「AUTOLOCKTHESPACE」だ。
画面にぐいぐいと顔を近づけてくるリングを腕で除け、Yo〇Tubeの再生ボタンみたいな開始ボタンを押して、ゲーム本編を開く。
先ほど言った「AUTOLOCKTHESPACE」という文字が黒い外面に白文字で浮き上がる。
シンプルだ。
多分、ものすっごくめんどくさい系のゲームだろうなと経験と勘だけで悟る。
どのゲームとも変わらず選択肢が現れ、難易度調整の表示が出る。
勿論「難易度3 階層1」を選択した。
途端、首に何か重いものが覆いかぶさる。
リングだ。
呼吸が荒いわけでも体温が高いわけでもないため、病とかそういう心配事ではないだろう。
なら、寝たか?
それも十分すぎるほどあり得ないがとりあえずそうだと仮定する。
はて、そんなに眠そうには見えなかったけどなあ。
なんだか私も眠くなってきたし、寝…
検索欄にカーソルが合わさっている。
残念ながらシカバネはキーボードの上で寝落ちしたらしい。
今も「ghgyjugjbjhbjjmhbjgyjygjbhmhbnftujugbkjbjhbhjgyugjvbjgbjhgyiukjhhgjmbjnhjbygjhbj」…と、無限に打ち続けられていた。
しかし、これもじきに止まるだろう。
だって、
現実世界の体は、このまま消しても問題ないでしょう?
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