千冬視点
中学を卒業して高校生になったばかりの時期だった。
中学までのリーゼント登校とはおさらばして、セットなしでの高校生活を決意。そんな青春の第1歩だった。
高校生になって早2日目。学校に行く最中にそれは起きた。
同中だった不良仲間が俺に喧嘩をしかけてきやがった。
人数は、俺1人対相手7人と言う人数ではもう負けていた。
けど、ボロボロにはなったけど一応勝った。
こっちは素手だったという事にも関わらず相手らは鉄パイプやバッドを持って居た。
(それなのに負けた相手らは相当弱い。というか俺が強い✨)
そろそろ学校に着く頃になってそいつは現れた。
武道))ジッ)……
千冬))あ゛ぁ゛?何見てんだてめぇヤんのか??
その青年は、少し髪の伸びた普通の一般人だった。
だけど、少しピリついていた俺はそんな一般人にまで声を荒げてしまった。
ハッとし、我に返る。
ソイツはキョトンとしていて、まるでビビっていなかった。
ただの一般人が何年もの不良相手にビビらないわけが無いのに。
そんなやつ、今まで1度も見た事はない。
武道))……えと、怪我…、保健室、血が……
カタコトの言葉に俺は違和感を覚えた。
やはりビビったのだろうか。
と、ソイツはポケットからハンカチを取り出して俺のデコにその真っ白なハンカチを当てる。
『汚れるぞ、』
だけど、そいつは俺の言葉を無視して俺の手を引く。
武道))先生居ない…、
千冬))……、
ソイツは勝手に色々と探り始めた。
すると、そこに保健の先生がやって来た。
先生))あら、あなた達どうしたの?どこか怪我して……ちょっ!あなた怪我!って、花垣くん、手当しようとしてくれてたのね…。君もごめんね〜、先生ちょっと会議してて、
千冬))……いえ、
先生が来てもソイツは………花垣って奴は漁るのを辞めなかった。
先生は花垣の肩を軽く叩く。
花垣が振り返ると少しびっくりしたようにビクついた。
武道))せ、先生、すみません勝手に……でも、この人が、
一言そう言うと、先生はタブレットタイプのホワイトボードを手に取って何やら書き出した。
先生))✍️)『ありがと。わかってるから大丈夫。あとは任せて。』
武道))は、はい。
少しほっとした表情が浮き出る。
俺は違和感しか無かった。口で話せばいいのに何故わざわざ……。
先生))……あら、もしかして知らない?この子の事。
千冬))……?
先生))あぁ、そっか。この子確か昨日休んでたわね。この子、生れつき耳が聞こえないの。
あぁ。そうか。
納得がいった。声を荒げてしまったのにビビってない理由も先生の変な行動も。
先生))補聴器つけてると思うけどやっぱ聞こえないみたいでね。不意に聞こえることがあるみたいだけれど99パー聞こえないみたいなの。
千冬))……。
先生))よし。血が滲んできたらまた取り替えましょう。その時はまた来てね。
千冬))ッス。
先生))じゃぁそろそろホームルーム始まるから教室もどんなさい。
俺は花垣の手を引いて教室まで一緒に行った。
教室に着くや否や、花垣は一言。
『ありがとう』……そう口にした。
この台詞はこっちのモノなのに。
それから約1ヶ月かけて手話というものを勉強した。
学校の勉強より、手話の勉強を何より勉強した。
なぜ俺がそこまで花垣に構うのかと言うと簡単。
そう。可愛いのだ。なんか、守ってあげたくなるような……母性が芽生える、的な。よく分からんが猫みたく可愛い。いやコレはもう天使みたいなもんだ。
ただただ可愛くて仕方がない。
ほんとに。
うん。
可愛い…。
高校生活2ヶ月がすぎた頃。
俺はさらに衝撃を受けることになる。
俺、松野千冬は【東京卍會】と言う不良グループに所属している。
まぁそこそこ不良界では名の知れたグループだった。
ある日の集会の日だった。
万次郎))はい、たけみっち、たい焼きやる。
武道))え?くれるの??やったぁ!ありがとう
堅))ナデ))髪伸びたなぁ。
千冬))……た……たけ、……たけみち……?!
万次郎))お、千冬だ。場地は〜?
千冬))………………な、なんでおま、
堅))あ?お前何、え?今知った感じ?
場地))マイキー、悪ぃ少し遅くなったわ。
万次郎))い〜よ。まだ時間あるし。ってか場地、千冬に武道の事話したんだろ?
場地))おう、2回…3回は話したと思うぜ?
千冬))……(いや、うんなんか聞いた……聞いたけど俺には関係ないって…ウソ、めちゃくちゃ関係あったんだけど、は?、え、なんでこいつ……不良とか無縁なんじゃ、いや、うわ、はぁ……え?)
武道))あ、千冬だ〜!約5時間ぶり〜!
万次郎))フキフキッ)たけみっちあんこ付いてる。
武道))んっ、ぇへへ、ありがとうマイキー君
理解に追いつくのに一日はかかってしまった。
初めは少し否定した。もしもの事があったらとか、色々考えすぎたからだ。
だけど、東卍のモブも、幹部もみんなマイキー君の命令からなのか、接し方も優しい。
何より、今まで東卍の情報や、他の不良族から武道の情報は全くない事から、まぁ……安全地にはいることが分かる。
一般人と不良が共にいる時点で安全は可笑しいとは思うが、花垣武道は、ただの一般人では無いということだけはわかった。
マイキー君やドラケン君は不良界で名の知れた大物だと言うのに武道はそんな2人とニコニコ笑い話してる。
訳分からんが、まぁ、武道が幸せそうならいいや……
(これに尽きた。)
あとから聞くと、武道がこの場に来るのはすでに8回目くらいなのだと言う。
千冬))(そんなこともあったな……)
武道))……千冬?早くコンビニ行こうよ
千冬))おう。
武道))あ、そういえば千冬、今日も集会行く!マイキーくんが迎えきてくれるって!
千冬))👍
武道))……なぁ千冬、
千冬))ん〜?
武道))俺、大抵の言葉は手話しなくても分かるって話したじゃん?
千冬))コクッ)おう。
武道))……なのに、なんで全部手話してくれてるのかな〜って……思ったりしちゃって…
千冬))……
千冬は足を止める。
それに気づいた武道も足を止め、振り返って千冬を見つめる。
千冬))ん〜…………
武道))……?
千冬))手話)内緒話できるしいいじゃん?
武道))……内緒話?
千冬))まぁそうだな、うん。
手話)内緒話以外は口で話すよ。
武道))……うん、(内緒話とは…??ハッ!さては、、)テストの解答、
千冬))それは無し。
武道))(꒪꒫꒪”)ガーン……
千冬))クハッ…まぁ、いいんだよ別に。気にすんな。
武道))…ま、いいけど。
俺とたけみっちだけがわかる言葉があるなら、俺はそれだけで幸せなんだ。
今回はここまででありッス!
又ね✋🙂
コメント
1件
もう最っ高!!!