テラーノベル
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重低音が響いた曲が流れるイヤホンを外し、縁が太い伊達メガネをかける。
今日からはまた新たな一年が始まろうとしていた。
昇降口にはクラス表を見るために人が集まっている。
喜んだり、落ち込んだりしている人を視界の端に入れながら、小さい背を少しでも伸ばすためにつま先を立てて、自分のクラスを探した。
【⋯⋯⋯⋯音河奏】
「あ、あった」
奏はなんとか自分の名前を探しあてることに成功した。
自分のクラスをしっかりと確認し、その教室のロッカーへと向かう。
履きなれた靴を脱ぎ、ロッカーに入れる。
袋から上履きを出し、足を滑り込ませた。
洗ったばかりで少し動きにくい。
そう思いながら教室への階段へ行き、一段、また一段とゆっくり教室に向かった。
なんだか教室の前が異様に騒がしい。
そう思いながら、教室の外に張り出されている座席表を見る。
一番右の列の前から三番目
その席を頭に刻みながら、教室へ足を踏み入れた。
「まじでイケメン……」
「え、どうする、話しかける…?」
教室からはそんな声が聞こえてくる。
奏はその声の正体の彼女たちが向いている方向を見た。
それを見た奏はひとりで納得する。
騒がれている正体は奏の席の近くで女子生徒に囲まれている3人だ。
3人の存在は奏でも知っていた。
無造作な髪が評判の沼らせ男子桐生千景
少し長い髪を束ねているダンス部の白石透真
そして奏の席に体重を預けている正統派イケメン観月響
3人は校内で『歩く恋愛災害』略して『あるさい』と呼ばれている。
この絶妙にダサいグロープ名もものにしてしまう程に魅力的らしい。
そんな3人が今から座ろうとした席の近くにいる。
観月に至っては自分の席に面しているのだ。
(新学期そうそう…)
奏はそう思いながら、集まっている人をかき分け、自分の席に座ろうとした。
「すみません……」
なるべく目立たぬよう、メガネを奥までしっかりかけ、そう言う。
でもこの3人に近付くということは確実に目立ってしまう好意だ。
しかし、それまでも気にしてしまったら終わりだ。
幸い彼女たちの視線の先はあるさい。
腕を魚のヒレのように振ることで席までの道は少し空く。
そのタイミングを狙い、奏は静かに自分の席に座った。
「……ふぅ」
奏は一息つきながら、周りを確認する。
(うわぁ、すごい人だ。あるさいは大変だなぁ)
奏は呑気にそう思いながらペットボトルホルダーが付いたスクールバッグから荷物を取り出す。
それを見ていた人物が一人いた。
その人物は「………やっぱり」と自分だけが聞こえる声量で呟いていた。
#創作BL
灯依
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コメント
3件
おお、新学期スタート!「あるさい」って呼ばれてる3人のイケメンは確かに目立つけど、それ以上に奏くんの「なるべく目立たないように」って空気感がすごくリアルだったわ。最後の「やっぱり」って呟きが気になる…なんか秘密ありそうだな🔥 続き楽しみ!