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「無視してたわけじゃないんだ。ただ……」

「ただ、なんだ?」

「君を傷つけるつもりはなかった。本当にごめんなさい」

親のかたきを見るような目でにらみつけられていたが、謝って頭を下げてもそれは変わらなかった。でもそのとき僕は、美人は怒っても美人なんだなと彼女に知られたら火に油を注ぐようなことを考えていた。

「私は謝れと言ったんじゃない。無視していた理由を答えろと言ってるんだ」

「と、とりあえずそっちに行くね」

離れた場所にいるから大きな声を出されるのかと思って彼女の目の前に移動したが無関係だった。

「それで無視した理由はなんだ? 私は嘘は嫌いだ! 適当に言い逃れしようとは思うなよ!」

目の前に来たのに声量は元のまま。耳を塞ぎたくなるくらい。自分の感情をコントロールできなくなっているようだ。これもメンヘラだからなのだろうか?

「去年の夏頃、先輩たちが君の噂をしていたのを聞いて……」

「噂? どんな?」

メンヘラの君をセフレにして、あわよくば仲間同士で共有のセフレにしようと話していた、なんて本人の前で言えるわけない。

「それはちょっと……」

「言いづらいことなのか? もしかして噂していた先輩というのは今年三年になったカツラギリクか?」

「噂話の中にリクという名前が出てきたから、二人ともリクという人の仲間なのだと思う」

ビッチな彼女とプラトニックな恋愛を(旧タイトル 最強彼女、霊山寺さん)

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