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付き合ってる夜倭綾斗×山田一郎
綾斗さん視点
「あ”ー…つっかれた…。」
炎天下の中自電車は流石に暑すぎて地獄。
今は夏休み期間中で、一郎と遊ぶ約束をしているので金を稼ぐためにバイトを掛け持ちする日々。
明いた時間はほとんど寝るか課題してる。
この前海行きたいって言ってたし、キャンプも行きたい。
別に一郎と行くならどこでも良いんだけど、それにはやっぱり金がいる。
「やっと家…」
汗だくで家のドアを開けると、台所からなにやら物音が聞こえる。
おかしいな、鍵も閉まってたし戸締りはちゃんとしてたはずなんだが…
なんかもう考えるのめんどくさいし風呂入ろ…。
「あっ、綾斗さんおかえりなさいっ!」
?一郎??
なんで一郎が家に?
俺は汗だくの額を汗を服で拭って、うまく回らない頭をフル回転させながら答えを導きだそうとした。
「…なんでいるの?」
「あ、その、ごめんなさい、迷惑でしたか…?」
気のせいか犬耳が垂れてるのが見える。
返事をする気力が無くて黙って立っていたら、
「あ、綾斗さん、?」
と聞いて来たので、一郎が悲しまないように無難な返事をした。
「来てくれてありがとな。なんか、一人で居んの辛かったから嬉しいわ」
「よかったです!!!タオル持ってくので入っててくださいっ!!!!」
想像の5倍くらい喜んできたからちょっと申し訳ない気持ちになりつつも、とりあえず風呂に入る事にした。
服を脱いで洗濯機の中に入れると、丁度一郎がタオルと着替えを持ってきてくれていた。
何で俺の家のタオルの位置知ってるんだろ。
あー、そういえばこの前泊まりに来た時持ってきてもらったんだっけ。
まぁけどよく覚えてたな。
「ぇあ、ごめんなさいっ、あの、着替えてると思わなくて!!!」
「だいじょーぶ。てかもう遅いし、一緒に入る?」
「はぇ、いいんですか?」
「いーよいーよ、先に入ってるからおいで」
それだけ言って扉を閉めて、椅子に座りシャワーでガシガシと頭を洗い始めた。
最初の方が水でめっちゃ冷たかったけど、反応する気力もない。
シャンプーを乱雑につけて適当に洗っていると、下半身にタオルを巻いた一郎が入ってきた。
「綾斗さーんっ、失礼します!」
「んー…」
「あっ、綾斗さんダメですよ!頭皮傷ついちゃいます!!」
「えー、じゃあ一郎洗って~…」
「分かりましたっ!!ガシガシ洗っちゃダメですからね!」
「ありがとー…」
「もー、聞いてないし!」
頬を膨らませながらも、丁寧に俺の髪を洗ってくれた。
優しい手つきで、眠くなってくる。
一郎の手、気持ちいい。
「くぁ…」
「眠いんですか?」
「うん…汗臭いのはやだから一応風呂は入るけど」
「それは偉いです!よしよし、リラックスしてて下さいね」
「ん~…」
後ろにもたれかかると、微かに一郎の体温が伝わってきた。
一郎の鼓動が伝わってきて、なんだか安心する。
「ねーいちろー」
「どうしました?」
「すき」
「うぁえッ?!」
びっくりしたのか一瞬手が止まって、そのまま抱きしめて来た。
おぉ、どうした?
「どした」
「なんでそんな嬉しい事さらっと言っちゃうんですか!!!!!!」
「だって好きだし。俺分かりにくいからちゃんと伝えなきゃって」
「もぉーーーー大好きですが!!!泡流しちゃうんで上向いて目瞑ってて下さいね!!」
「ふぁーい」
その後はとにかく丁寧に洗い流されて、そのままリンスも付けてもらった。
寝そうになったら優しく起こされて、「体洗ってからですよ!」と言われて渋々洗った。
俺が一つ一つなにかするだけで凄い褒めてくる。
赤ちゃんだと思われてるんか???
「俺体洗っちゃうんで湯船浸かってて下さい!」
「んー…」
そっと湯に浸かると、もうこれは暖かい。
余計眠くなる。
一郎の鼻歌が聞こえて来て、ここが幸せ空間。
普通に寝かけた。
「綾斗さんの上失礼しまーっす!」
「ん~、どうぞ~、」
眠いなと思ってると、一郎が膝の上に乗ってきた。
結構体がっしりしてるんだな。
「いちろ、ぎゅってしていい?」
「勿論ですよー!!してください!」
「んん…ありがとぉ、」
お言葉に甘えて抱きしめさせてもらうことにした。
一郎めっちゃドキドキしてる。
かわいい。
「一郎ドキドキしてる?」
「うぇ、あ、いや、最近一緒に居る時間少なかったし、」
「かわいいな」
「かっ、かわいくないですけど?!」
後ろから見ても耳が真っ赤なの。
うちの一郎可愛くない??
「めっちゃ可愛い。世界一可愛いよ俺の一郎は」
「照れます…」
「照れてても可愛い」
「惚れますって!!!!」
「俺ももう一郎に惚れてる」
「そういうのよくないですよ!!」
「好きでしょ?」
「大好きですけど!!!!」
「じゃあいいじゃん。照れちゃうところも好きだよ」
「うぅううぅう…」
悶絶して縮こまっちゃった。
かわいいよねそういうところも。
しばらく抱きしめたまま数十分経過した。
「あの、綾斗さん、そろそろ出ません?俺結構温まったんですけど…」
「ん…じゃあ出る…?」
「そうしましょっか。俺先に出ますね!」
「んー…」
そこから数分湯船に浸かっていると、一郎のドライヤーの音が聞こえて来た。
うっすらと鼻歌が聞こえる。かわいい。
俺もドライヤーしなきゃと思うと物凄くめんどくさい。
眠い目を擦って、自分も体を流した。
ちょっと寝たから大分頭すっきりした気がする。多分。
バシバシと顔を叩くと、だんだん目が冴えて来た。
なんかお腹すいて来たな…
そんなことを考えながら着替え終わりリビングへ向かうと、一郎がドライヤーとヘアブラシを持って待っていた。
「あーやーとさんっ!ここ座って下さいっ!俺が髪乾かしますよ~」
「おお、さすが萬屋」
「ふふふー、出張サービスです!」
「毎日お願いしたいな」
「綾斗さんなら年中無料ですよ!」
「やっさしー」
「ふふん、だって綾斗さんの恋人ですから!」
ドヤ顔の一郎が可愛くて思わず笑ってしまった。
結婚したらこんな感じなんだろうな。
「綾斗さん早く!ここ座って下さい!」
「はーい」
ソファーに腰掛けると、一郎が後ろから髪の毛を梳かしてくれた。
丁寧って言うか、繊細って言うか、そんな一郎の手めっちゃ好きだ。
そのあとなんか良い匂いのやつをつけられて、髪を乾かされた。
自分でドライヤーするのはめんどくさくて嫌いなんだけど、一郎がやってくれるのは好き。
楽なのもあるけど、何より一郎の手が好き。
一郎の手先の器用さに感心していると、ドライヤーの音が止まった。
「終わりましたよー!ご飯の準備してくるんで、ちょっと待ってて下さいね!」
そう言って俺の頭を撫でてくれた。
俺の髪から、一郎の匂いがした。
「うん…あれ?これって…」
「ヘアオイルです!これで俺とお揃いですねっ!」
笑顔でご飯の準備をする一郎が、さすがに嫁すぎた。
台所に向かって、後ろから思いっきり抱きしめた。
「わわっ?!綾斗さん?!」
「嫁すぎたから…俺なんかできることある?」
「あ、じゃあお皿取ってもらえますか?」
「はいよ~」
一郎に皿を渡すと、一瞬でオムライスが乗せられた皿に変わった。
すごい。昔ながらの?くるんって巻いてあるやつ。
ふわとろオムライスとか最近流行ってるけど、流行りに便乗しない我の強い一郎好み過ぎる。
そんな事は多分考えてないだろうけど。
「あともう一個用意してるんです!とりあえずオムライス机に運んじゃってください!」
「はぁーい」
オムライスを机に運ぶと、すぐに一郎がハンバーグの乗った皿を持ってきた。
両方俺の好物。流石にこれは好き。
「めっちゃ美味そう」
「ふふん、今日はとっておきの隠し味があるんですよ!」
「ん?なに?」
「美味しくなる魔法をかけたいと思います!!」
「え、まじ?」
「一緒に唱えて下さいね~?せーの!」
「萌え萌えきゅーんっ!」
「萌え萌えきゅん…???」
「はい今ので美味しくなりましたー!!!」
満面の笑みでそういうと、オムライスにケチャップでハートとネコを書いてくれた。
めっちゃかわいい。
チョイスがネコなのは流石に可愛すぎて優勝。
「可愛いな」
「でしょ!我ながら一発描きでここまで描けるのすごくないですか?」
「凄すぎる。てかめっちゃ美味そうだし」
「えへへー、それじゃいただきましょうか!」
「うぃ」
「いただきます!」
「いただきます。」
一口オムライスを口に運ぶ。
卵の火加減がちょうどよくてめっちゃ美味い。
チキンライスもうま…
「どうですか?あの、美味しい、ですか?」
しみじみ食べてたら、一郎が不安そうな顔してこっちを見ていた。
イマジナリー尻尾と垂れた耳が見えるのは多分幻覚。
「美味すぎ。天才だと思う。毎日作って。なんかもう全てが好みだわ料理上手すぎでしょ。どうやったらここまで俺の好み通りに作れるの?てか」
「褒めすぎ褒めすぎ!!!…けど嬉しいですね、へへ」
さすがに照れてるのが分かりやすくてかわいい。
こうやって向かい合って食べるの、まじで新婚みたい。
「まじでさ…一郎の事好きすぎるわ、俺」
「ふぇ?」
「こうやって美味いご飯作ってくれて髪も乾かしてくれるし、俺の話聞いてくれるしさ。俺のとこ好きなとこも大好きなんだわ。一緒に居てくれてありがとね」
言いながら一郎の存在の大切さを再認識しながら、感謝を伝えた。
多分俺はこれくらいしかできないから。
顔真っ赤にして喋らなくなった一郎を見ながら、ご飯を平らげた。
全部美味かった。まじで。一郎可愛いし。
「ごちそうさまでした。めっちゃ美味しかった。まじで」
「えへへ…照れちゃいますって、そんな褒めないで下さいよぉ、」
かわいい。
この存在を一言で言い表すなら可愛い以外ないと思うよ。
「よしよし、皿洗いするから一郎はソファー座ってテレビでも見てて」
「わわ、すみませんわざわざ!」
「いいのいいの、ご飯作ってくれてありがとう。こんくらいはさせて」
「へへ…じゃあお言葉に甘えて」
「いい子いい子。まってて」
「はいっ!」
皿を重ねてシンクに持っていく。
ちらっとソファーを見ると、一郎がご機嫌でテレビを見ているのが見えた。
かわいい。
あれ、立ち上がった。どこ行くんだ?
あー、歯磨いて来たのかな。偉いな。
結婚ってこういう事だよね。てか俺こんなに幸せで良いのかな。
そんな事を考えながら皿を洗い終わった。
「一郎お待たせ」
「お疲れ様です!」
「ん、ありがと」
「くぁ…なんかテレビとか見ます?」
「んーん。もう寝よっか」
「え、いいんですか?綾斗さんの好きな番組…」
「ね、今日は一緒に寝てくれる?」
「そんなん勿論ですよ!!!」
「ありがと、ごめんなわがまま言って。俺歯磨いてくるから先に寝室で待ってて」
「わかりました!!」
寝室に行く一郎を見送ってから、洗面台に向かった。
あー、やべぇ。歯磨くのですらめんどくさくなってきた。
「めんどくせー、歯磨くのすらだるい。やばすぎ。めんどくさ」
無心でしゃこしゃこ磨いてると、明日のバイトの事が思い浮かんできた。
あーーーーー無理行きたくねー…朝起きたらまず課題しなきゃな。
気合で磨き終わり、ぺたぺたとおぼつかない足取りで寝室へと向かう。
「綾斗さん!隣空いてますよ」
笑顔で布団に入って、隣をぽんぽんと叩く一郎が居た。
色気MAX。
えぐい。
ふらふらと倒れ込むようにベットに入ると、一郎が抱きしめてくれた。
「よしよし、俺の為にバイト頑張ってくれてたんですよね。ありがとうございます」
「いいよお礼しなくて…俺が一郎と遊びたかったからお金貯めてただけだし。ごめんな、最近構えてなくて」
「そんなそんな!全然大丈夫ですよ。綾斗さんが俺の為に頑張ってくれてたの、すっごい嬉しかったです。けど、」
その時ぎゅっと抱き寄せられた。さっきより力強く。
一郎の少し早い鼓動が聞こえる。
あったかい。
「俺はお金なんてなくても、綾斗さんと居られればそれで幸せです」
はぁーーーーーーーー??????????????
なにそれ、百点満点の回答過ぎない????
包容力の塊かて。
数日後海に行きましたとさ(多分続編)