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「でも、思うんですが。
我々が百鬼夜行になっちゃってるんで、完成しても、特に殺されたりしないんじゃないですかね?」
などと言っている間に、壱花たちは水に引きずり込もうとする手長ババアに会ったり。
水がなくて、手長ババアが困ったり。
反応しにくかったのか、なかなか点灯しないので、倫太郎が、がしゃ髑髏を追いかけ回したりしているうちに、ついに最後のあやかしにたどり着いていた。
石仏や石塔が所狭しと並ぶ賽の河原のような場所にそのあやかしは居た。
密集している石仏の上に浮いている十二単の美しい女性なのだが。
九つの尾と狐の耳が見えていた。
「我が名は……」
と高らかにその神々しいようなあやかしが名乗りを上げようとしたとき、倫太郎が地図をあやかしの衣の裾にパサッと触れさせた。
「やったあっ。
全クリ……ッ」
と言い終わる前に壱花たちは飛んでいた。
「待ちやっ」
と九尾の狐らしき怨霊が叫ぶ声が最後に聞こえた。
気がつくと、壱花たちは駄菓子屋に居た。
「クリアした途端、エンディングも見ずに飛ばされるとか、あのババア」
どんだけ俺たちを働かせたいんだ、と呟く倫太郎に、冨樫が、
「これ、エンディングってあるんですか?」
と訊いている。
いや、現代のゲームじゃないんで……と思う壱花に、
「ほら」
と倫太郎が煌めく玉のようなものを渡してきた。
「クリアの賞品じゃないか?」
地図が消えて、これが手の中に現れた、と言う。
中に金粉のようなものが入って揺れているその透明な玉を見ながら壱花は言った。
「スーパーボールですかね?」
「……宝珠だろうよ」
そのとき、
「ほら」
とそのありがたい宝珠の上に、いい感じに香ばしく焼けた太いカニの脚が乗った。
「来てたんですね、班目さん」
と壱花は苦笑いして、班目を見上げる。
その頃、九尾の狐は名乗りもあげられないまま、石仏に囲まれ、突っ立っていた。
騒動の一部始終を見ていた者が九尾の狐に言う。
「買ってきな」
化野念仏寺の境内の隅に店を出していた駄菓子屋のオーナーだ。
「あんた、せっかく出てきたんだから買ってきな。
金はたんと持ってるだろ、男に貢がせて」
とかつて妲己だったり、玉藻前だったりした九尾の狐に言う。