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再愛

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66

第66話凌太side<別れ3>

2023年12月13日

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今までこんなに緊張したことは無かった。

心臓が持たないと思いながら部屋に戻ると瞳はしっかりと布団の上で眠っていた。


瞳の行動にいつも不意を突かれて戸惑ってしまう、それでも今俺が一番安心できる人で大切な人だ。


起こさないようにゆっくりと布団の中に入れて自分も隣に入る。

セミダブル用だからゆったりとはいかなくてもぴったりとくっついれば二人が十分に眠ることができる。

瞳の規則的な寝息を聞きながらいつの間にか俺も眠りに落ちた。


暖かいな



ふとそんなことを思って目を開けると目の前が暗い。

早く寝すぎてまだ夜が明ける前に目が覚めてしまったのかと思ったら瞳に抱きしめられていた。

抱き枕にされているのかと思ったが、髪をなでられていることに気がついてそのまま目を瞑るとかすかに「何があったのかいつかは話してね」というつぶやきが聞こえた。


あいつらのことを言葉にするのが嫌で、普通にしていたはずなのに気づいてほしいという気持ちもあったのかもしれない。


だから泊まってくれたんだと思うと冷えていた心が暖かくなった。


瞳がほしい


でも傷つけたくない


つい手に力が入り瞳を抱きしめる形になった。


「ごめん、起こしちゃった?しがみついて寝てるのが可愛くて頭をナデナデしちゃった」


俺から抱きついていたのか・・・

「いや、気持ちがいいから」


瞳に抱きしめられているような体勢から瞳を抱きしめる形に入れ替わると今度は俺が瞳の髪を撫でる。


「本当だ、気持ちがいい」

瞳はおもむろに起き上がると床に置いてあるペットボトルのお茶を飲む姿が、とてもうまそうに見えて「俺も」と言って瞳からペットボトルを受け取るとごくごくと飲んだ。


「寝起きの水分って沁みるよね」

そう言って微笑む瞳の唇に軽いキスを落とす。

それが徐々に深くなっていくと唇から漏れる吐息にゾクりとする。

首筋から耳元に唇を這わせていくと鼻にかかった声でかすかに俺の名前を呼ぶ声に震える。


「瞳がほしい」


俺の問いに小さく頷いたあと「こういうの初めてでどうしたらいいのかわからない」と答えた瞳が可愛すぎてどうにかなってしまいそうだった。


「大丈夫、なるべく無理させない」


「無理なことするんだ」


「少しね」と言ってスウェットを脱がせると形の良い乳房が露になる。

ひと眠りしたとはいえ、外はまだ薄暗く早朝特有の澄んだ空気の中、二人の息遣いだけが部屋の中を占領する。


愛おしくてゆっくりとたっぷりと愛した。


気が付くと外はすっかり明るくなって一日が動き出したとわかる空気に変わっていた。


今まで快楽のためにしていたことと同じ行為なのに、好きな人とではこんなにも心が満たされるのだとわかった。


腕のなかで身じろぎした瞳に「大丈夫?」と声をかけると少しかすれた声で「大丈夫」と返事が返ってきてそれがすごくセクシーだ。


「って、言いたいけど・・・ちょっと体がキツイかも」


「無理しなくていいよ。コンビニでサンドイッチかおにぎりでも買ってくるよ。何がいい?」


「一緒に行く」と言って起き上がり脱ぎ捨てたスウェットに腕を通すと布団に目線が行った時、真っ赤になりながら「ごめんなさい、新品の布団なのに」と言って初めての跡を手で隠している姿にまた気持ちが一杯になった。


「瞳とこの部屋でのことがすべて二人にとって初めてなのは嬉しいよ」


「でも後でちゃんと染み抜きする」


「なんでそんなに可愛いコンボをするかな」

布団の上に押し倒して無防備な太ももに手を這わせたところで思い切り胸を押される。


「今日は家電とか届くんでしょ、おなかが減ったし支度しよ」


全身を真っ赤に染めて話す姿に、俺まで気恥ずかしくなり照れ隠しに「そうだった。この部屋を瞳と一緒に作っていきたいので、これからもよろしく」と、おどけて言うと「了解です」と軽く敬礼のポーズを取ってからスウェットの上だけを着た姿で昨日干した下着を取りに行った。


「反則だ」思わずつぶやいてから支度を始めるとスマホが震えている。

通知を見ると親父からだった。

幸せだった気分に水を差されため息をついた。


「電話にでないの?」


「ああ、これはいいんだ。女じゃないからな」

マオのこともあるので、表示画面を瞳に見せると「大丈夫、信じてるから」と微笑まれたがむしろ”信じられない”と言われたほうが怖くないと思ってしまった。

もちろん、瞳を裏切ることは無い。


早い時間に家電が届いたから大型の家具量販店に行きテーブルやラグ、クッションなどを見に行った。

後でいいかと思っていたベッドも二人で見ていると新婚と勘違いされその気になってふざけながらも収納ボックス付きの黒のベッドを購入し、ベッド以外のものは持ち帰って早速配置すると、昨日までは生活感のないただの箱だった部屋がすっかり暖かい空間になった。


「さて、もう今日は家まで送っていく」


「疲れているでしょ。電車だから平気だよ」


「俺よりも瞳のほうが色々と疲れているだろ、それに車を返しに行かないといけないからそのついで」

「私の家が遠くて全然ついでじゃないけど、お願いします」


「あとこれ」と言って合鍵を瞳に手渡すと、驚いた表情を見せる。


「俺になにかあったらよろしく」


「そういうことなら」

瞳は笑いながら受け取った鍵をバッグから取り出した自分の家のカギと一緒にキーホルダーにつけた。


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