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日が暮れかけて、川の水面にオレンジ色の光が反射してきらめいてた。


ロボロは静かに立ち尽くしてた。


ゾムは、すぐ隣で何も言わずに寄り添ってた。


「……ここ、夢で見たんや。たぶん……昔、ゾムと一緒におったん、ここや」


ロボロのその言葉に、ゾムはほんの少し息を飲んだ。


「やっと、ここまで来たんやな……」って思った。


「……なぁ、もうちょいだけ寄ってかへん?アルバム見せたいねん。……ロボロに」


ロボロは一瞬だけ迷った顔をしたけど、ゆっくり頷いた。




ゾムの部屋は少し肌寒くて、エアコンの音だけがかすかに聞こえた。


リビングのテーブルに、ゾムが古いアルバムを持ってくる。


黄ばんだ表紙、少しめくれかけた角。


それをロボロの前にそっと置く。


「なぁ、覚えてへんかもしれんけど……これ、俺とお前、よう一緒に写っとんねん」


ロボロは黙ってページを開いた。


遊園地で笑ってる自分、 泥だらけでバケツをかぶってるゾム、 秘密基地の中で真剣な顔して何か作ってるふたり。


一枚一枚、見るたびに

ロボロの表情が少しずつ、柔らかくなっていく。


「あ……これ……俺、やんな……? ……でも、なんでやろ……心臓が……変な音鳴ってるみたいや」


ゾムは微笑みながら答える。


「それはな、思い出しかけてんねん。そんで、ちゃんと“心”は覚えとるってことや」


ページの隅に、子どもっぽい文字でこう書いてあった。


『Zくんへ またあしたもあそぼな Rより』


ロボロはその文字をじっと見つめたあと、目を伏せて、ぽつりとつぶやいた。


「……これ、やっぱり、俺が書いてたんか……俺んちにこんなようなのがあってん。」


しばらく沈黙が続いた。


ロボロが言う。


「ゾム……お前、ずっと……俺のこと、待っててくれたんやな」


ゾムは一瞬だけ何も言えなかった。


でも、少しだけ震えた声で返した。


「待ってたっていうよりな、まぁ、待ってはいたけど。忘れられても……お前と一緒にまた笑いたかっただけや。でも正直、昔ロボロとよく一緒で仲も良いのにその事は俺しか知らないって悲しいやん、、なんか俺とロボロが一緒にいた事実が消えてくみたいで、、。」


ロボロは、小さく「そっか……」と呟いて、アルバムを閉じた。


その音がやけに静かに響いた。


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