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『死にたい』
そう思い始めたのは、いつからだっただろう。
高校時代、執拗ないじめに晒されていた頃からか。
それとも、「うつ病」と診断されたあの日からか。
もう、思い出せない。
――ピピピピピ……
目覚ましの電子音が、静かな部屋に響いた。
「……う〜ん、朝か。起きないと……」
百鬼学園の教師、安倍晴明は、重たい身体を引きずるようにして上体を起こした。
「あー……今日も学校か。正直、行きたくないなぁ……」
小さく零した弱音を振り払うように、彼は支度を始める。
行かなければならない。それが“大人”で、“教師”である自分の役目だから。
「よし、準備完了。……行くか」
職員寮の扉を開け、晴明はいつものように声を張った。
「おはようございます!」
笑顔。
それは、誰にも心配をかけないための仮面だった。
――もっとも、こんな自分を本気で心配してくれる人など、いないのだろうけれど。
「晴明くん、助けて!」
突然背後から声をかけられ、晴明は振り返った。
「わっ、何? なんかやらかした?」
声の主は、神酒凛太郎。
端正な顔立ちで普段は冷静沈着だが、酒が入ると性格が豹変し、手が付けられなくなる男だ。
晴明にとっては、大切な親友の一人だった。
「ちゃうわ! 実はな、飯綱くんが奥さんからもろたマグカップ割ってしもうて……機嫌なおしてくれへんねん」
「……💢」
険しい表情で腕を組んでいるのは、秦中飯綱。
厳格で真面目な外見とは裏腹に、元不良という過去を持ちながら、誰よりも家族思いで優しい男だ。
彼もまた、晴明の親友だった。
「素直に謝ればいいじゃん」
「それはそうなんやけど……プライドが許さんくてなぁ……」
「はぁ……そんなもん捨てて、ちゃんと謝ってきなよ」
「は〜い……」
その後、二人は無事に仲直りしたらしい。
晴明は小さくため息をついた。
――本当に、世話の焼ける人たちだ。
昼休み。
晴明は一人、屋上で弁当を広げていた。
「はぁ……今日も散々だったな……」
階段から落ちたこと。
柳田の薬品実験の暴走で教室が爆発したこと。
「……ついてないにも程があるよ」
そう呟いたとき、不意に背後から話し声が聞こえてきた。
「正直さ、俺、安倍先生嫌いなんだよな」
「え、マジ? 俺もなんだけどw」
「だよなw」
「変態だし、退魔の力持ってるしさ。そんな奴、好きになるやついるわけねぇだろw」
「それなw」
――胸の奥が、ひどく冷えた。
(……そうだよね。こんな僕を、好きになってくれる人なんて……)
晴明は何も言わず、静かに屋上を後にした。
「はーい、みんな席について。授業始めるよー」
いつもと変わらない声を出す。
「……せーめー、なんか元気ないぞ。どうした?」
秋雨の問いに、狸塚も続く。
「僕もそう思うよ。何か嫌なことでもあったの?」
――さすが、動物妖怪。勘が鋭い。
「えー? そうかな? いつも通り元気だよ〜」
「ならいいけど……」
午後の授業が終わり、晴明は再び屋上へ向かった。
「……やっぱり、気づかれちゃうなぁ。気をつけなきゃ」
そして、昼に聞いた言葉が脳裏に蘇る。
「……やっぱり、誰も……僕のことなんて……」
気づけば、晴明は無意識のまま柵を越え、その外側に腰を下ろしていた。
「……ここから落ちたら、死ねるのかな……」
その瞬間。
「晴明ッ!!」
「晴明くん!!」
切羽詰まった声が、同時に響いた。
「……? なんでそんなに焦ってるの?」
「そんなことどうでもいい! 今すぐこっち来い!!」
「……わかった」
晴明は柵を戻り、二人のもとへ駆け寄った。
「で、何の用?」
「何の用、じゃねぇ!!💢
お前、自分が何しようとしてたか分かってんのか!?」
「……?」
「晴明くん。悩みあるなら言うてええんやで。親友やろ?」
その一言で、堰を切ったように涙が溢れた。
「……っ、うぅ……」
「よしよし……辛かったな。少しでええから、教えてくれへん?」
晴明は、すべてを話した。
いじめのこと。
うつ病のこと。
今日、聞いてしまった言葉のこと。
「……そうか。辛かったな」
「……あいつら……殴るだけじゃ済まへんな」
「だ、駄目だよ!? そんなことしたら!」
「……ちぇ。分かったで」
「でもな、この件は学園長と参組に報告する」
「え!? なんで!?」
「当たり前だろ」
「えっ、ちょっと待って!!言わないで!!」
晴明の願いも虚しく、すべては知られてしまった。
それ以来、周囲は以前にも増して過保護になった。
「晴明くん、仕事手伝うで」
「いいよ、別に……」
「遠慮するな」
「晴明! 次の授業、自習にしとけ。寝ろ」
「……佐野くんまで……」
「晴明」
「晴明くん」
「晴明」
「……もう……」
――過保護すぎ!!
ここまで見てくれてありがとうございます。
この小説実はAIちゃんと協力して書いてるんですよ。なので意味がもしかしたら違うところがあるかもしれません。ご了承くださいm(_ _)m
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