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ライブ直前、元貴は、手の中に小さなボトルを握っていた。
透明な液体が、光に揺れる。
(……媚薬。今飲んだら、ライブ中俺どうなるのかな)
誰にも言わず、それを一気に喉に流し込んだ。
甘く、苦く、熱を帯びた感覚が、すぐに全身に広がっていく。
⸻
ライブが始まる。
熱狂。音。光。
目の前の観客の歓声が、火をつけるように元貴の神経を逆撫でする。
ギターを弾く滉斗の横顔、
真剣なまなざし、汗に濡れたうなじ――
(やば……これ……頭おかしくなりそう……)
その瞬間、理性がほんの少しずつ、溶けていった。
⸻
ライブは最高だった。
身体は火照り、頭はぼんやりしているのに、
感覚だけが研ぎ澄まされていた。
終演後、楽屋へ戻った元貴は、
滉斗がTシャツを脱ぎながら水を飲む姿に視線を止めた。
「……こっち、来て」
それだけ言って、元貴はトイレへ向かう。
訝しむように滉斗がついてくると、
その手首を引いて個室へ押し込み、カチャンと鍵を閉めた。
「え、ちょ、なに――」
「……我慢できない」
言葉より早く、元貴の唇が滉斗に触れた。
乾いた息がぶつかり合い、濃密なキスに飲み込まれる。
「ちょ、元貴!?ここ、トイレ……!」
「俺……ライブ前に媚薬、飲んだ」
「……はっ?」
「ずっと、ライブ中……お前の顔見るたび、興奮してヤバくて……」
元貴の呼吸は乱れていた。
熱に浮かされたような目で滉斗を見つめ、指で顎を掴む。
「……お前の口で、して?お願い……じゃなくて、命令。舐めて」
そう言った次の瞬間、滉斗の唇に、元貴の熱が押し当てられた。
「っ……ん、んんっ……!」
滉斗の驚きも構わず、ぐっと頭を押さえて腰を動かす。
「くっ……やっべ……入れただけで……イク……っかも……!」
喉奥に突かれながら、滉斗の目が潤む。
口の中を何度も擦られ、息も満足にできない。
「舌……動かして……そう……っ、ああっ……っ」
元貴の声がかすれ始め、身体がピクピクと震える。
絶頂が近づく気配に、滉斗が目を閉じる。
「っ、あ……やばい、もう……っ!
……滉斗、っ……イくっ……!」
元貴はぐっと頭を押さえつけ、
喉奥まで埋めたまま、身体を強く震わせて果てた。
しばらくそのまま、肩で息をしながら、
元貴は滉斗の髪を撫でるようにして、ゆっくり力を緩めた。
「……っ、ごめん、でも……やばかった、ほんと」
滉斗は口元を拭いながら、赤くなった顔で言い返す。
「……こんなとこで、バカかよ……!」
でも、その瞳の奥に、ほんの少しだけ愛しさが滲んでいた。
END