部屋に流れていたのは、元貴のソロ曲。
音量は抑えめに。
まるでこの空間に流れる鼓動や吐息の邪魔をしないように調整されていた。
「いい声だよな、やっぱり…」
涼架が呟いた。
目を閉じ、ソファに身を沈めるその横顔は、どこか無防備で、いつもより少し色っぽかった。
その隣で元貴は黙って涼架を見つめていた。
耳にきらめく小さなピアスが、今夜はなぜかやけに目に入る。
「そのピアス…今日もつけてくれてるんだ」
「うん。元貴がくれたやつだし」
微笑む涼架に、ぐっと気持ちが高ぶった。
次の瞬間、元貴は体を寄せて、そっと涼架の髪をかき上げた。
あらわになったその耳元に、迷いなく唇を近づける。
「ここ…俺の、だよね?」
そして、ピアスのすぐ下の柔らかい耳たぶに、そっとキス。
続けて、甘く噛んだ。
優しく、でも離さない。まるで所有を確かめるように。
「んっ…! 元貴…」
「…涼ちゃん…好き…」
その一言が、耳元で甘く囁かれた瞬間、涼架の身体がビクリと揺れた。
元貴の吐息が、まるで熱を持って耳の奥にまで染みこんでくる。
「耳、真っ赤になってるよ。自分でわかる? …ゾクゾクしてるでしょ」
「っ…言わないで…」
「でもね、俺、全部見てたい。涼ちゃんが、俺の声と、言葉だけで…気持ちよくなってくの」
ピアスを指先で軽く弾いてから、また耳たぶを唇で挟み、ちゅ…っと音を立てて吸う。
そして舌を這わせて、唾液で濡れたそこを何度も味わうように吸った。
その間も、服越しに指先が下腹部をなぞっていた。
「ここ、もう限界なんじゃない? さっきより…硬くなってる」
「や、やめて…言葉で…そんな…」
「涼ちゃん、かわいい声出すから、もっと言いたくなる…」
元貴の囁きは、もはや愛撫そのものだった。
一語一語が涼架の身体を直接撫でてくるような、甘い痺れ。
「ダメ…耳は…弱いから…っ …もう、無理。変になる…っ」
そう漏らす涼架の声は、震えて、熱を含んでいた。
「こんなに反応するの…耳だけで、感じちゃってんじゃん」
「や、やめっ…んっ…あ…」
涼架の声が喉奥から洩れた。
もう、触れられているだけで、理性が溶けてしまいそうだった。
元貴は指先でやさしく、でも確実にそこを刺激していく。
「ねぇ…今どんな気持ち?」
「…言えない…っ」
「言ってよ。俺の声だけで…どうなってるの?」
「…感じて…気持ちよくて、変になりそうで…でも…嬉しい…」
「よく言えたね。…じゃあ、ご褒美あげる」
そう言って、耳の裏を舌でねっとり舐めあげ、
そのまま耳の穴のすぐ近くまで口を寄せる。
「涼ちゃん、イっていいよ。俺の声で、俺の言葉で…感じて、全部出して?」
「っ……あ、ん、も…だめっ……っイく…っ…あああ…!」
声と指先と、そしてひたすら囁かれる愛の言葉だけで、
涼架の身体は震えて果てた。
その余韻の中で、元貴がもう一度、優しく囁く。
「涼ちゃん、好きだよ…全部が、俺の宝物」
涼架は涙ぐんだ目で微笑むと、そっと元貴に身を預けた。
――耳に、声に、愛に、支配されたまま。
END
コメント
2件
好き過ぎます😭