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[赤葦編]
「ただいま戻りました」
仕事を終え、帰ってきた赤葦が玄関に入ると
ふわりといい匂いが鼻をくすぐる。
「……これは、カレーっ!」
声をかけて急足でキッチンを覗くと、
エプロン姿の🌸がこちらを振り向いた。
「おかえり、けいちゃん!あとちょっとでできるよ」
笑顔で迎えられて、
赤葦の肩から一気に疲れが抜ける。
「今日、遅くなるって言ってたのに…
作っててくれたんですか?」
🌸「うん。頑張ってるけいちゃんに食べてほしくて」
赤葦はゆっくり歩いて近づき、
背中からそっと抱きしめる。
「……そう言うところですよ。
僕を甘やかしてくるのは」
声は穏やかなのに、
腕だけは離す気がない。
🌸「迷惑…だった?」
「まさか。
迷惑どころか、惚れ直しました」
ちゅ、と首筋に控えめなキス。
「僕のために、ですもんね。
最高」
少し照れたように笑いながら
頬を撫でる指はとても優しい。
夕飯を一緒に食べて、
片付けまでふたりで済ませて。
ソファに座ると
赤葦がそっと彼女の頭を肩に乗せる。
「……疲れてませんか?待たせました」
🌸「待ったけど、全然疲れてないよ」
「強がり」
耳元で低く囁き、髪にキスを落とす。
「待たせるだけ待たせておいて
何もしないなんて、僕には無理です」
腕で包み込み、
額に落とすキスは少し長め。
「大好きだよ、🌸」
沈着冷静な男の、
まっすぐな言葉は破壊力が違う。
「ご飯、美味しかった。
僕を待っててくれてありがとう。
……これからも、待っててくれますか?」
真面目すぎる告白に
胸が温かくなる。
🌸「もちろん。いつでも」
赤葦はほんのり目を細めて――
「じゃあ、今度は僕が甘やかす番ですね」
そっと顎を引いて唇を重ねる。
静かで、深くて、
息を奪われるキス。
「本当に愛してます」
その声は
カレーよりも、とびきりあったかかった。