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新しい妹が家にやってきた。
真にぃと万にぃはすぐにエマと仲良くなり私だけが取り残されていた。私もエマと仲良くなりたくて、お喋りがしたくてエマに話しかけるが「にぃじゃなきゃいや!」と言いぐずり出してしまう。その度におじいちゃんや真にぃ、万にぃは困った顔をしていた。私は家族に迷惑をかけたくなくてエマと少し距離を置くことにした。
エマが佐野家に来て数日がたった。私はまだエマには嫌われているみたいだ。でも、それよりも気になることがあった。それはみんなの私にたいする態度だ。エマが来てからみんなエマのことを気にするようになった。おじいちゃんはエマが寂しがっていないか凄く気にしていた。真にぃは私と話をしていてもエマが真にぃのことを呼んだり、泣き出したりするとすぐに『ごめんな』と言ってエマの方に行ってしまう。万にぃはエマが名前のことを気にしているのを知り自分の名前はこれからはマイキーだから。『これからはマイキーと呼べ』と言われた。正直嫌だった。万にぃは万にぃでマイキーじゃないのに、、、それに真にぃも万にぃもエマが来る前は私がご飯を作ったら『今日も美味しかった。ありがとう。』と言ってくれる。家事をすれば『いつも助かってる。ありがとう。』と言ってくれていた。でも、エマが来てからはお礼も言ってくれなくなった。私は全てが嫌になっていく感覚におちいった。エマを気にするおじいちゃん。エマに優しくする真にぃと万にぃ。今までいた私の居場所、全てを取っていったエマ。何より家族にそんな感情を抱いている私自身が嫌いになっていった。
最近エマに少し懐かれるようになった気がする。と言っても真にぃや万にぃほどでは無い。少し話してくれるようになっただけだ。それでも私は嬉しかった。でも、ある日リビングで本を読んでいるとエマが私の頭についているピンが欲しいと言ってきた。他の物ならあげていたかもしれないがこのピンだけはあげられなかった。このピンは昔一緒に暮らしていた兄が私の誕生日にくれた唯一の物だったからだ。
「ごめんね、エマ。このピンだけはあげられないんだ。」
「ヤダヤダヤダ!そのピンが欲しいの!」
エマは駄々をこね始め、次第には泣いてしまった。するとその様子を見ていた万にぃが「エマのお姉ちゃんなんだからピンぐらいあげてやれよ。みっともねぇ。」
そう言ってきた。その瞬間私の中で何かが壊れるような音がした。私はエマのお姉ちゃんだからってエマに大切な物をあげないといけないの?なんで?エマは私に心も開いてくれない。私のことをお姉ちゃんと思っていないのに私はエマのお姉ちゃんだからエマのお願いを聞いてあげなきゃいけないの?私は心の奥から流れ出てきた感情を抑えごめんとだけ伝え部屋にこもった。その日から私と万にぃは気まずくなり私は万にぃを避けるようになった。
それから数年後真にぃが『新しいお兄ちゃんができた。』と言い1人の男の子を連れてくる。そう、私の実のお兄ちゃん。黒川イザナを。「!!イザナにぃ!?」
「カナ!?」
「イザナにぃ、イザナにぃ。」
私は今までのどうしようもない感情とイザナにぃに会えた嬉しさ、沢山の感情が込み上げてきてイザナにぃに抱きつきながら泣いてしまった。イザナにぃはこれから佐野家で一緒に住むらしい。正直凄く嬉しい。どうやらイザナにぃは万にぃのことがあまり好きではないらしい。理由は真にぃを取られるからみたい。それからイザナにぃは私と別れたあとエマの家で一緒に暮らしていたらしい。2人は腹違いの兄妹だそうだ。?ということは私もエマや万にぃ、真にぃ達とは腹違いの兄妹ってこと?、、、あれ?前は3人と本当の兄妹になりたいって思ってたのに。エマは真にぃと万にぃの腹違いの兄妹でいいなって思ってたのに。何故か今は嬉しくない?私、どうしちゃったんだろ、、、
イザナにぃは真にぃとエマのことが大好きだ。本当はエマにお兄ちゃん達を取られて悲しいって相談したかったはずなのに。今はイザナにぃに嫌われるのが怖くて何も言えない。イザナにぃが家に来て最近はあまり感じていなかった複雑な気持ちを感じるようになった。イザナにぃは私のお兄ちゃんなのに。私だけのお兄ちゃんだったのに、今ではエマと真にぃに取られちゃった。エマはまた、私から大切な人も居場所も奪っていく。
やっぱり私は、