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市民の暴走によって町のほとんどが焼けた。血吸蝶に血を吸われ死んでいった者。火事によって死んでいった者。死体の数はヴェリアと変わらない。ここの破滅もすぐそこだった。
パーカーは外壁にの上に登る。一般人は入れないようになっているが、今は兵士が消化活動をしていて見張りがいない。
外壁の上からエボリュの町を見下ろす。赤い炎に包まれた町は、街灯がなくても十分すぎるくらい明るかった。焼ける音と風の音。たまに人の悲鳴が聞こえる。この町が消えたら、次はどこへ逃げようか。
ふと、ティファニの事を思い出した。あの子は無事だろうか。赤い炎の中に呑まれたか。それとも血吸蝶に殺されたか。きっと生きてはいない。この混沌の中、女の子1人が無事に生きているとは思えない。
町を眺めるのに飽き、外壁の外側を眺める事にした。
暗闇の奥に青い炎が見える。確かあそこは青火草が咲いていた場所だ。誰かが火をつけたのか。
「綺麗だ…」
青火草。青く燃えるのが特徴的な花。実際に燃えているところを見るのは、今日が初めてだった。
青い炎は、だんだんと周りの草に広がっていき、赤い炎に変わっていった。
外壁の外も中も炎に包まれ、逃げ場がなくなった。
一羽の蝶が手元に飛んできた。皮膚に針を刺し、血を吸い始める。やがて血を吸い終わった蝶が、町の中に飛んでいった。