テラーノベル
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「店長、戻りましたー!」
「おかえり」
僕は休憩が終わり、店に帰ってきた。
これからの時間帯は、常連さんがよく来る。
カランカラン
「お久しぶりでーす」
「いらっしゃいませ!」
常連さんだ。僕が働くずっと前から通い続けているらしい。
「陽太ちゃん、今日のおすすめなぁに?」
「えっと、、」
おすすめか…ありすぎて困るな…
「ちょっと、陽太くんが困ってますよ」
店長、そういう訳じゃ…
「あら、ヤダ!ごめんなさいね」
「いえいえ、おすすめがありすぎて困っちゃってただけなので!」
「あら!店長、良かったじゃない!」
この常連さんと店長の絡みは面白い、
なんというか、昔からの仲みたいな、
あ、でも昔からの仲なのか、
「ほら、早く決めてください」
店長は催促する。
「じゃあ、いつもので」
「かしこまりました」
いつものというのはランチタイム限定のセットだ。
ブラックコーヒーとサンドイッチとナッツがセットになっている。
「こちらになります」
「ありがとう!」
「ごゆっくりお過ごし下さい!」
常連さんは席に向かって行った。
「いやぁ、うるさいなぁ」
「でも、店長楽しそうですよ」
「あはは、そうだね」
その頃、唯月は新しい建築物での会議をしていた。
「今回のお客様はこちらの方です。このお客様のお父様はこの会社が有名になる前から、依頼してくださった方です。」
そう部下が言う。
部下の言う通り、このお客様は代々お世話になった方だ。それに今もお世話になっている。
「今回の依頼は和食料理屋の設計です」
俺は部下が提示した土地を見る。
恐らく、部下達も見たのだろう。この場には重い空気が漂っている。
「ん?なんでぇ皆さん、怖い顔してぇ、思い詰めているんですかぁ?」
この空気に水を差したのは新しく入社した、華恋だった。
華恋はいわゆるコネ入社だ。
この分野に関して、全く知識が無い状態だ。
何故、ここに入社したのかはよく分からない。
「この土地に和風建築はできないんだよ」
「なんでですかぁ?」
…はぁ、この喋り方、虫酸が走る。
「火事が広まらないように、木を使用した建築ができないんだよ」
「ん?なんで和風建築じゃなきゃ行けないんですかぁ?」
何にも知らねぇじゃねぇか、
「和風料理屋だから、和風建築の方が良いだろう?」
「なるほど!華恋、バカだから分かんなかった!唯月さんありがとうございます!」
華恋は上目遣いをしながら、唯月にさりげなくボディタッチをする。
華恋は美人だ。
恐らく、部下のような人だったら、華恋に心を奪われていただろう。
だが、唯月は興味を示さなかった。
「華恋さん、やめてくださいますか?」
「唯月さん、華恋の名前覚えていたの?嬉しい!今度、一緒に食事でも?」
俺は深いため息をつく。
「今は仕事中だ。それに今会議をしているだろう。そういうことは慎みなさい」
俺はあえて強い口調で言った。
恐らくこれくらい強く言わないと、効かないだろう。
「はーい、」
会議が終わった。
議題に関しては、和風の色合いで洋風建築をすることになった。
「唯月!」
副社長が呼んでいる。
「どうしましたか?」
「今日も良いアイディアをありがとう」
「いえいえ、」
「なぁ、唯月、俺ら従兄弟なんだし、仕事中も敬語外してよ」
「いや、無理です」
「唯月さぁーん!」
後ろから甘ったるい声が聞こえる。
「呼んでるぞ」
「はぁ、最悪だ」
俺は行きたくは無いが、一応華恋の元へ行く。
「どうしましたか?」
「この後食事とかどうですか?」
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