姉が死んだ。
自分でも理解出来なかった。いや、理解しようとしなかったのかもしれない。
姉は何でも出来た。勉強、運動、友達付き合いだって、、 でも私はいつも姉と比較されて生きてきた。両親は表では
「渚が生きててくれて良かった」
なんて言葉をただ口にしているだけで、裏ではなぜ死ぬのが渚じゃなかったのだろうと思っているに違いない。いつしかそう思うようになってしまった。
別に姉を嫌っていたわけではない。逆に家族以上の感情を抱いてしまった。姉はいつも私に優しくしてくれた。両親が姉と私を比較した時も怒ってくれていた。そんなところが好きになってしまった。この感情は心に留めようと誓ったのに、姉の顔を見るたびに伝えたいという思うが募っていった。
「死んじゃったら、思いどころかもう話すこともできなくなっちゃうじゃん、、」
今日もなんとなく学校に行く。教室に着くと幼馴染である鈴鹿がこっちへかけてきた。
「おはよう!渚!昨日さ〜」
そんな会話から一日が始まる。鈴鹿といると少しは気持ちが軽くなる。でももう耐えきれないや。鈴鹿の話を聞きながらそんなことを思う。そしていつもと同じように朝のホームルームが始まる。同じような授業を受けて、同じように鈴鹿とお弁当を食べる、そんな何一つ変わらない日々だったはずなのに、、
「瑠衣先輩って妹さん庇って死んじゃったんだよね?かわいそー」
聞きたくない会話が聞こえた。最悪だ。私だって、、私だって死んで欲しくなかった!自分が死んじゃえばよかったなんていくらでも思った。なのに、、もう止まらなかった。体が勝手に屋上のほうへ歩いて行く。屋上で眺める景色は綺麗だったはずなのに今は違う。もう全部投げ出しちゃってもいいや、
「今まで結構アプローチしたんだよ?どこまで鈍感なんだようちのバカ姉は、、でも、それでも大好きだよ。お姉ちゃん」
最後の言葉を残して飛び降りようとしたんだ、、
「誰がバカ姉だよ。いつから口が悪い子になったのかなぁ?」
「は?」
そこには死んだはずの姉がいた。
「久しぶり。渚」