テラーノベル
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🦈「……恋って難しいね」
そう言った瞬間、自分でもびっくりした。
なんで言っちゃったんだろ。
隣を見るのが怖くて、こさめは前を向いたまま歩く。
夕方の駅前。
車の音。
人の話し声。
なのに隣の沈黙だけ、やけに大きく感じた。
🍵「……こさめちゃん」
すっちーが静かに名前を呼ぶ。
🦈「なに」
🍵「恋してるの?」
どくん。
心臓が変な音を立てた。
やばい。
無理。
今の質問ずるい。
🦈「……っ、してないし」
反射で否定してしまう。
するとすっちーは少し困ったみたいに笑った。
🍵「そっかぁ」
その声が優しくて、胸がぎゅっとなる。
なんでそんな顔するの。
期待しちゃうじゃん。
でも。
違うんだよね。
すっちーが優しいのは、こさめだからじゃない。
もともと優しい人だから。
🦈「……すっちーは」
気づけば口が動いていた。
🦈「恋してるの?」
聞いた瞬間、後悔した。
聞かなくても分かってるのに。
でも知りたかった。
ちゃんと本人の口から。
すっちーは少しだけ目を丸くして、それからふっと笑った。
🍵「してるよ」
やっぱり。
胸が痛い。
🦈「……そっか」
笑えてるかな。
変な顔してないかな。
分からない。
🦈「どんな人?」
聞かなきゃよかったのに。
止まれなかった。
すっちーは少しだけ考えるみたいに空を見上げた。
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🍵「優しくて」
その声が柔らかい。
🍵「一緒にいると安心して」
歩幅が少しゆっくりになる。
🍵「頑張り屋で」
夕焼けの光が横顔を染める。
🍵「笑うとかわいい人」
――あぁ。
みこちゃんだ。
全部。
全部みこちゃん。
苦しい。
🦈「……すっちー、ほんと好きなんだね」
無理やり笑いながら言う。
するとすっちーは少しだけ寂しそうに笑った。
🦈「うん、好き」
その顔があまりにも本気で。
こさめは胸の奥がじわっと熱くなるのを感じた。
負けた、とかじゃない。
最初から勝負ですらない。
だってすっちーは、こんな顔でみこちゃんを好きなんだから。
🦈「……いいなぁ」
ぽつりと呟く。
🍵「え?」
🦈「すっちーにそんなに好きになってもらえる人」
本心だった。
羨ましい。
ほんとに。
するとすっちーが少しだけ目を伏せた。
🍵「……恋って、楽しいだけじゃないよ」
その声は思ったより静かだった。
こさめは隣を見る。
すっちーは笑っていた。
でもその笑顔は、少し苦しそうで。
――あ。
そっか。
すっちーもきっと片想いなんだ。
当たり前なのに、今さら気づいた。
好きな人に好きな人がいる苦しさ。
それを、すっちーも知ってる。
じゃあ、みこちゃんの好きな人って誰なんだろ。
🦈「……そだね」
こさめは小さく笑った。
夕焼けの道を、二人で歩く。
隣にいるのに。
好きな人は、別の誰かを見てる。
コメント
1件
うわあああ第16話読み終えたよ…!😭💔 こさめもすっちーも、お互いに好きな人が別にいるって分かってるのに聞いちゃう会話、胸が痛すぎる…「恋してるの?」の問いかけから「いいなぁ」ってこさめが呟く流れがもうエモすぎて呼吸しづらかったw 「隣にいるのに」ってタイトルもズルいよ~!藍翠さん、繊細な心情描写が本当に上手すぎます…続きが気になりすぎるけど、この切なさも作品の魅力だと思います🍀