ピンポーン
部屋中にチャイムの音が響き渡る。
青「母さん来たみたい」
青「ちょっと行ってくるね」
しゃるの母さんと会うのは中学ぶりで、緊張している。
変な格好をしていないだろうか。
少し背筋を伸ばして座っていると
「お久しぶりね〜!」
「そんなに緊張しなくていいのよ〜!!」
青「ちょっと母さんw」
青「うるみや困ってるからw」
「あら〜ごめんなさいね〜」
しゃるん家のノリがわからなくてついていけないが、こういう温かい家庭の雰囲気が俺は大好きだ。
もう自分は味わうことのできないこの温かみに触れることができて、水の中にオレンジの絵の具を落としたかのような温かさが広がった。
橙「そういえば話って…」
「そうね」
「じゃあ、しゃるろとうるみやくんが1歳くらいの時の話をしようかな」
その日はうるママに話があるからって言われて、うちにきてもらっていたの。
「しゃるろくんお久しぶり〜!」
「うるみやくんもだね〜」
「うるみやくんもう歩けるようになったのね!」
「子供の成長なんて一瞬よ」
「きっとしゃるろくんもすぐ歩きはじめるんやからw」
「改めて3ヶ月の差って大きいって感じるわ〜」
そんな感じでちょっと談笑していたんだけど、途中でうるママが真剣な顔をして
「折り入って話があるんやけど」
って言ったの。
うるママがそんな顔してるのを見るのは
中学からの付き合いだったけど、お産のとき以外では初めて見たわ。
「私達に何かあったらうるみやにこの通帳を渡してほしいんやけど…」
うるママから渡された通帳には500万円の預金があったの。
「どうして…こんなこと…」
信じられなかったのよw
いくら親友だとしても、こんな大金持ち出す可能性だって全然あったのに…w
そしたらうるママはね、
「あんたが1番信用できんねん」
「もしかしたら明日死ぬかもしれんし、いつ別れが来るかわからんから」
「もし私達がうるみやが大人になるのを見届けてあげられたら」
「大学の学費とか、結婚式の資金とか、いろいろなことに使えるし!」
「わかった」
「大切に、お預かりするわね」
「ありがとうwあんたならそう言ってくれると思ったわ!」
知らなかった。
母さんと父さんがそんなことまでしてくれていたなんて。
「で、それがこの通帳よ」
しゃるのお母さんから渡された通帳にはきちんと500万、それ以上のお金が入っていた。
橙「これって…」
「あっちからの慰謝料と預金の利息よ」
そもそも、俺も知らなかったこの大金を渡さずに使っても誰も気づかないはず。
それなのにしゃるのお母さんは全く手を付けずに大事に守ってきてくれた。
両親の優しさとしゃるのお母さんの優しさによってこれからの俺の未来は守られていく。
橙「ありがとうッ…ございます……」
えもいわれぬ温かさが飽和して、思わず涙を零してしまった。
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