テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
リドマレ 地雷注意
あんなに綺麗な人は初めてみた。
黒いけれど少しだけ青緑がかった髪、透き通るように白い肌。羽根を載せられそうなほど長い睫毛、雷を閉じ込めたような黄緑色の瞳。そして何より黒く耀う大きな角。
こんなに綺麗な人は他にいない、妖精だからこその雰囲気もあるのだろう。
初めて見た時、こう思った。ボクは初めて一目惚れというものをした。でも、相手は先輩だし、なんなら一国の次期王だ。まずまず人間相手なんて目もくれてないかもしれない。でも極たまに現す姿を見るたびにその気持ちは膨れ上がっていった。ああこんなに綺麗な人と一生を添い遂げられたらどれだけ幸せか、この人と恋人になる人はさぞ美しく強いのだろうなと。
、、ボクには一生手が届かないであろう場所にいるあの人を見ると胸が張り裂けそうになってしまう、、。あの人は、マレウス先輩はボクのことをどう思っているのか。知りたい、あわよくば、、、なんて淡い期待を抱きながらボクは先輩の頭を追いかけた
◇
愛らしい。可愛らしい。初めて見た時にそう思った。こぼれ落ちそうなほど大きな瞳。見つめていたら吸い込まれてしまいそうだ。咲き誇る薔薇のようにのように真っ赤な髪。きりりと釣り上げている眉毛。きゅっとつぐんだ口。2度目に出会った時はもう寮長になっていた。ちまっとした王冠がよく似合う。可愛らしく、それでいてどこか凛々しい顔。僕はその男の虜になってしまった。いつもきりりと釣り上げている眉の力がふっと抜けて笑っている姿を見た時にはその一日何も考えられないほどに。ああ、自分のものにしたい。僕だけを見ていて欲しい。寮長会議に呼ばれたことを忘れガーゴイルを眺めていたとき、前までは誰も声をかけにはこなかったがその男は違った。僕のことを探し回ったようで僕を見つけた時にはヘトヘトになっていた。馬鹿なことをするものだと思ったが見つけた時の第一声は「先輩といえど、時間を守らないなんて規則違反ですよ!!」だった。驚きと可笑しさで僕は笑ってしまった。赤髪の男は笑われた理由がわからずしばらく困惑していた。その様子がとても可愛らしく。僕はつい口を滑らせてしまった。気付いた時、僕は耳の先まで真っ赤に染めた。その姿を見られたか見られてないかギリギリぐらいで僕は部屋に戻った。その日は日が上るまで胸の音がうるさかった。ローズハート、、、いつか名前で呼べるような、、、いや、なれるわけないか。
◇
「お前は本当に可愛らしいな」
まだボクの頭の中に響いているこの言葉。
この前マレウス先輩がいつものように寮長会議にいなかった。いつもならまた居ないのか、、で済むがその日は違った各寮長が直筆でその場で提出しなければいけない重要な書類があった。だからボクは探しに行き、月が顔を出す時間にやっと見つけた。ボクはいくら好きとはいえ時間を守らないのはいかがなものかと思いはっきりと言った。すると思っていた反応と違った。マレウス先輩は笑った。その笑った顔がとても美しかった。夜に輝く月のようにそれでいて幼い笑い方だった。いきなり笑ったこととその美しさでボクは少しパニックを起こしていた。その時にいきなりマレウス先輩は言った
「お前は本当に可愛らしいな」
とボクはますますパニックになった。けれどマレウス先輩は思い出したかのように耳まで顔を赤らめたかと思えばそれと同時に緑色の光を残して消えてしまった。ボクは署名をもらいに持っていたプリントを握りしめたまま固まっていた。可愛らしい?ボクが?何を言っているんだろうあの人は。可愛らしいのはあなたでしょう?しゃらしゃらと音を立てる鈴のように、幼い少女のように笑う。これを可愛らしいと言わず何と言うか。その笑顔を見るたびボクは胸が締め付けられる。ああこの気持ちを言葉にできたら少しは軽くなるのかな。
◇
その日から何かとローズハートはボクについてきた。僕はとても嬉しくて理解が追いつかなかった。僕が歩くたびにひょこひょこと髪の毛を揺らしながらついてくる。彼は僕への好意を隠す気があるのか。顔に出ている。わかりやすい。僕と話す時だけ目に力が入りいきいきとしている。両思いであろう。なのに何故告白をしてこないのだ。こんなにも隙を見せているのに。転移魔法を使えば一瞬のところをわざわざ歩いて、何度も2人きりになったのに。何故?僕が一国の次期王だから?妖精族だからか?確かに耳が尖っているし、瞳孔だって縦だ。でも、そんなに僕のことが恐ろしいのか。僕は恋をすることさえ難しいのか。僕だってお前の寮生たち、いやそれよりも近い場所で話したい。けれどもそれも叶わないのか。一国の王に、いや妖精族じゃなく普通の、人間として生まれていたら。もっと近い場所で。いっしょにっ僕も同じ目線で話したかった!
視界がぼやけて目から水が溢れた。
「マレウス先輩、、?」
◇
マレウス先輩がいきなり立ち止まった。危うくぶつかりそうになってしまった。先輩はしばらく無言で立ち止まっていた。それと同時に暗雲が立ち込めざあざあと音を立て雨が降ってきた
「マレウス先輩、、?」
思わず声をかけてしまった。マレウス先輩はハッとしたように振り向いた。黄緑色の瞳がとろりと溶け、いつも自信たっぷりに上がっている眉毛も下がっていた。何故泣いているのだろう。ボクが何か気を煩わせることをしたのか。そんな考えが頭を駆け巡るとマレウス先輩はボクに向き直りこう言った
「なぜ、、お前は僕に告白をしない」
、、、え?
◇
なぜ、、お前は僕に告白をしない
「、、、え?」
お前は僕への好意が隠せていると思っていたのか?今だって何故僕が歩いているのか分かっているのか?
ローズハートは訳が分からず、けれども見透かされていたことに驚いたようでこぼれ落ちそうな瞳をさらに見開いていた。一度口に出してしまってはもう止めれはしない。
僕は、お前のことが好きなんだぞ。何故気づかない。今歩いているのだって、いや今だけじゃないいつも僕はお前が近くにいる時は歩いていた。なのに何故僕にお前は告白しない?
僕が、、恐ろしいのか、、?
「そんな訳ないでしょう!?」
◇
そんな訳ないでしょう!?
ボクがどれだけっ、、どれだけ悩んだか、!!
ボクだってあなたのことが、っ、、家族になりたいとも思った、、でも、ボクと貴方では身分も、種族も違う。やっぱり難しいと思ってしまって、、
「難しくなどない、身分がなんだ、種族だって妖精と人間のハーフなぞ今はいくらでもいる。いったいいつの話をしているんだお前は、、、!好きなのなら。はっきりしてくれ、」
ボクはっ。
好きです。好きなんですよ先輩。でも言うとなると違う言葉がいきなり出てこなくなってしまう。怖くて固まってしまうんです。大好きなんですよ。声も、目も、そのツノも。たまに現すその姿、見るだけでも心臓がきゅうっと締め付けられて。苦しかった。でも怖いんです。話しかけるのが。告白するのが。気持ち悪がられたらどうしようって。
なんて頭で言い訳しながらボクは黙ってしまった。するとマレウス先輩はもっと顔を近くに寄せ手を掴んできた。ボクはこのまま溶けてしまうのだろうか。それぐらい顔が熱かった。なぜ言えない。たった2文字、反応が怖い?ボクのことをすきと、言ってくれているんだぞ目の前で。ここで怖気付いてなにが貴方を思っていますだリドル・ローズハート!
ボクは、あなたのことが好きですっ!
、、、言った。言ってしまった。マレウス先輩はどんな反応をしているのだろう。やはり怖い。俯いたまましばらく固まっていた。音もなく静かに、、、静かに?あれ、さっきまでざあざあと音を立てていた雨音が聞こえない。それどころか先ほどより辺りが明るくなったようにも感じる。そんなことを思っていたらいきなりぐいと引き寄せられ力一杯、けれども優しく抱きしめられた。耳元にマレウス先輩の口があるのかふふっという笑い声が聞こえるボクはまた溶けてしまいそうなくらい顔が、いや体全部が熱くなっていた。するとマレウス先輩が体を離し、ボクと同じ位置に顔を持ってきた。その時の顔をボクは一生忘れないだろう。ボクは安心してつい涙を流してしまった。どちらも嬉し泣きをしているので見つめあって。糸が切れたように笑いあった。その日がボクたちの交際記念日。
◆
「、、、なんてこともあったよね、マレウス」
「ああ、懐かしいな。まさか交際記念日が結婚記念日にもなるなんて、、想像できたか?」
「ボクが?出来るわけないよ。あの時は付き合えたってだけで頭がいっぱいいっぱいだったんだから」
「僕もだ。、、リドル」
「どうしたんだい?」
「お前と名前で呼び合えるようになるとは思ってもみなかった。ありがとう」
「!、、なんだいかしこまって」
「別に?いつも思っていることを言ったまでだ。、、ふふっ。それよりお前の顔は真っ赤だがそんなに嬉しかったのか?」
「かっ、揶揄うのはおやめよ、!、、紅茶がなくなってしまった、、新しいものを淹れてくるね、」
照れ隠しで半ば強引に席を外そうとしたリドルをマレウスはじっと見つめていた。愛おしそうに
「どうかした?」
「、、お前は本当に変わってないな。」
「、、なにがだい?」
「分かりやすいところだ。」
「、、、、今の君だって大概分かりやすいよ」
「そうか?お前よりかは分かりにくいと思うが、、。」
「ううん、伝わるよ。君のボクを見る目がそうなんだもの」
「、、何が言いたい」
「ふふっ。ボクのことが大好きだっていう目してる。いっつも」
そういったところでリドルは中身のない紅茶のポットを持って部屋を後にした。
「、、、、、本当にそんな目をしているのか、、??」
マレウスはむぅっと頬を膨らませたがやはり気になるのか手鏡を浮かせ顔をむにむにと揉みながら鏡をじっとみていた。気がつくとリドルがポットをもち、部屋の中に入っていた。マレウスはそれに気づかずそのまま鏡と睨めっこしていた。リドル自分が言った事を確認している番をみてその愛おしさに笑いを堪え切れなかった
「ぷっ、、あははははっ!」
「っ!?リドル、戻ってきてたのか?!?」
「うん、、ふふふふっ、」
「わっ笑うな、!、、最悪だ、、」
「もしかして、、ボクを見る目が大好きだってっていうの。ふふふっ、、確かめてたの?」
「だから笑うなとっ、、!」
「ふふふ、ごめんごめんっ、、!可愛すぎてつい、、、」
「っっ、、!!!!」
あまりの恥ずかしさにマレウスは緑の光を残して消えた
「あ、、怒らせてしまったかな、、」
マレウスは屋根の上に転移し、そのまま座っていた。
「、、、、、可愛らしいだなんて、、何故あいつに言われるのは慣れないんだ、、、、」
マレウスは頬の熱さと、胸の音の熱さにうんざりしながら夕日を眺めていた。