テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
無事に定期健診を終え
経過も順調だった
わざわざ仕事を抜け出し
会いに来てくれたリュカと二人
平日の昼下がり
今日も今日とてファミレスで遅い昼食を摂る
妊娠すると
どうにもお腹が空いて仕方がない
食後のスイーツを注文する私に
釣られてスイーツを注文するリュカ
ドリンクバーを肴に
先日話しきれなかった
相談したかった話題に触れる
平日の
本来は業務時間
こんな時分にまで
社長であるリュカが時間を割いてくれたことに
感謝してもし切れない
その誠実さに想いが伝わる
正直話したいことは山ほどある
怪しいメールのこと
鈴木さんの処遇
不正に絡んだ取引先相手のこと——
リュカは気付いているだろうか
不正に絡んだ取引先相手は
夫純也だと打ち明けるべきかもしれない
未来を見据えるまで至っても尚
次から次へと無限に湧き上がる頭痛の種
目の前に浮かぶ余計なそれら全てを
無視するわけにもいかない
妊娠も日々進行する
時間的猶予もなく
時間的制限に捕らわれる
見据える未来への
その過程が
あまりにも険し過ぎて
あまりにも煩雑過ぎて
話すべき話題が多過ぎて
どこから話せば良いのか迷う
しかし
一番大事なのは
結局のところ
大枠で言えば
これからのこと
見据える未来の到達点から逆算して
これから歩むべき未来への道筋を描く
今
その入口に当たる喫緊の課題は
離婚のこと——
「——で、話したいのはこれからのことだよな」
まるで私の心情を
見透かしたようにリュカが話を振る
「前にも言ったけど、結局のところ瑠奈がどうしたいかだよ」
「したい方向性でどうにかなるよう、いくらでも協力するよ」
どうしたいかと聞かれても
正直回答に困ってしまう
単刀直入に言えば
私は
見据えるリュカとの未来に
今すぐにでも至りたい
「そういうことじゃなくて」
「今、瑠奈は離婚に向けて動き出しただろ?」
「そのフェーズの結末をどう迎えたいのかを聞いてる」
まるで私の心情を
先読みしたようにリュカが答えた
「結末?……結末って?」
「オッケー、じゃあまず現状を整理するね——」
そう言うとリュカは
現状を俯瞰して見えるように
現状を机上に理路整然と並べる
「瑠奈は離婚がしたい」
「夫の意思は不明」
「つまり折り合わない可能性がある」
「夫は浮気をしている」
「相手女性との関係性の深度は不明」
「夫はうちらの関係に勘付いている可能性がある」
「つまりすんなり離婚とはいかないかもしれない」
「最悪拗れる可能性がある」
「その他に追加情報ある?」
矢継ぎ早に話すリュカに気圧され
スイーツを口に運ぶ手が止まる
「食べながらでいいよ」
頼りになる反面
見透かされ過ぎて恥ずかしい
「購買部の不正の件あるでしょ?」
「あの不正に絡んだ相手取引先の担当者、たぶん夫なの」
「なるほど、他にはある?」
かなりの大ごとだと思ったのだが
気付いていたのか
知っていたのか
過度な反応もなく
議論を前へと推進させるリュカ
「ん~……あとは何かあるかな……」
「あ、そうだ!先日相談した怪メール、まだ見せてなかったよね」
先日社長室へ訪問した際
スマホを持ち合わせておらず
口頭のみの説明で見せていなかった
鈴木さんからと思しき
タイトルのない怪メール
鞄からスマホを取り出し
消去せずに残っていた件のメールを
ソートして全てリュカに見せた
「……」
それをリュカは
真剣な眼差しで
スクリーンを見つめ
黙ったまま
高速でスクロールとタップを繰り返した
「……なるほどね」
「これアウトだな」
(アウト?アウトって何だ?)
「後はある?」
「ん~……差し当たり思い当たるのはそれくらいかな」
「オッケー、算段ついた」
「まず理解しておくべきは、これから話す内容は現状未だ机上の空論に過ぎないということ」
「物事を進めながら実際の進展に応じて微調整する必要がある」
「ここまで大丈夫?」
「……う、うん」
どこまで理解できているか分からなかったが
差し当たり相槌を打ち
話を前へと推進させた
そして
聡明なリュカの知恵を借りて
リュカの分析を基に
リュカが導き出す未来への道筋に
私の望む思いを乗せて
これからの筋道を立てる
#恋愛