# 2 過去のユニット
「この学校に入ったの、るかがいるって知ってたからなんだ」
もえの声は淡々としていた。るかは返す言葉を見つけられず、ただ風の音を聞いていた。
「私ね、あの頃が一番楽しかった。二人で歌って、踊って。みんなに愛を振りまいて、なのに、るかは全部忘れたみたいな顔して、まるで最初から“姫乃るか”だったみたいな、アイドルの過去が無かったみたいな、アイドルの私たちの思い出ぜーんぶ無かったみたい」
「……違うよ。忘れてなんか……ない」
るかの声は、かすれた。思い出したくないはずの記憶。だけど、忘れられるわけがなかった。
二人で夢を見た、ステージの上。もえが突然、何も言わずにいなくなった日。心に開いた穴は、いまも塞がっていない。
「じゃあ、なんであの時……私を置いて、続けたの?」
責めるような瞳が、突き刺さる。
「あたしは……そうするしか、なかったんだよ…ッ、」
るかの声は震えていた。
「じゃあ、今はどうなの? 『姫乃るか』でいるの、楽しい?」
——答えられなかった。
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コメント
2件
もう既に泣きそう… 😭 続きも楽しみだよー!
やばい、 …切ない っ😭😭 問いかけに答えられなかったってことは、それだけ自分を偽ってるのが苦しいってことかな …😭😭😭😭 続きも待ってゆ😽