こんにちは、まつりさんです
もうすぐでタヨキミが終わってしまうよ定期
寂しいよ定期
最近、更新頻度終わってるの許してくださ。ゲームで忙しい。
いやなんと、自創作LOVEすぎてどうしようもないまつりさんが、FAを量産したくなっちゃうほどハマってるゲームがあってですね。こんな珍しいことありませんよ、あの二次創作を諦めたまつりさんが!
ハルイヌが誕生して以来ぐっとくる推しcpがなかったのですが、これが、どうも尊いところを見つけてしまって。沼まっしぐらです。
実にどうでもいいね。
知識も下調べも全くないと言って良いほど理解のない人間が書いてます。
瀬々イヌイの時より現実っぽいです。ご注意を。
行ってらっしゃい
───珍しいものは、高く売れる。
「60万円」………熊みたいな面したオッサンから始まり、目の前にいる大人たちが、数字を言いながら手を挙げていく。
100万、500万、1000万、1500万………その額はどんどん上がっていった。
カナタたちには、価値がある。
自己肯定感が高いわけでも、何か素晴らしい才能があるわけでもない。でも、胸を張って言える。
両親の顔なんて、覚えてない。
ただわかるのは、両親にとって、カナタたちは価値のある存在だったこと。
直接的な価値はなくとも、売れば多額の金になる。時計も車も家も、そして人間も。
カナタたちの両親は幸運だ。だって、カナタたちの両親になれたんだもの。
そして、カナタたちの両親は不運だ。だって、カナタたちの本当の価値に気づけなかったんだもの。
素っ裸で大勢の前に立つのもこれで何回目か。舐め回すような視線にも、もう慣れた。
今日こそは………売れるといいな、カナタたち。
「20億」
信じられない数字が聞こえて、あたりがざわつく。
(あ……たぶん、売れるな)
直感がそう言った。
隣で寝ていたハルカも起きて、その大きな目をぱちくりさせる。
声の主は、小柄で汚そうなオバサンだった。
「20億………20億…………もういませんか」
誰一人、声をあげなかった。
「それでは………『我孫子兄弟』、20億円で落札です」
オバサンは笑うことなく、カナタとハルカの腕を掴んだ。
とてもじゃないけど、20億を払えるような見た目ではない……自分で言うのもなんだが、借金抱えてまで、『ただそっくり』ってだけの双子を買うのか。
オバサンの家に行く途中、ハルカがカナタの腕を爪でつねり始めたタイミングで、オバサンは振り返る。
「お前たちは………捧げられるために産まれた『生け贄』だ」
なんか楽しそうに言ってるけど、正直どうでもいい。カナタはオバサンを無視して、さっきからつねってくるハルカの頭にげんこつをくらわせた。
オバサンが連れてきてくれた家は、なんかすごく大きかった。
あ。これは家じゃなくて、教会か。
教会の入り口には、手を取り合う双子の神様の石像があった。
一体の左腕、そしてもう一体の右足には大きな傷があって、少し気持ち悪い感じ。
教会に入ったとたん、耳を刺すような拍手がカナタたちを襲った。
みんな入り口の石像みたいな顔をして、ずっと手を叩く。
称賛でもない、かといって祝福でもない、不思議な雰囲気だった。
弱かったカナタは、それに呑まれそうになった。喉がグッとして、心臓がドクドクと耳元で鳴った。
ハルカは混乱することもなく、ニコニコ不思議そうな顔をしながら周りに合わせて手を叩く。たまに知らないオッサンの足を意図的に踏んだり、スキップとももあげの間くらいの変なステップで反対方向に行こうとしたりして、その度にオバサンに止められて───通常運転だ。
羨ましく思いながらも、カナタは抵抗するハルカを掴んで、オバサンについていった。
その神は、名を”参零”と”零捌”。やっぱり双子だそうで、合わせて”参零捌”と書くらしい。難しい漢字。なんて読むか、カナタは知らない。
双子の神には双子を捧げる………似てれば似てるほど効果があるんだって、よくわかんないけど。
オバサンが無理してまでカナタたちを買ったのも、神様のため。人間ってバカだな、つくづく思う。
ハルカのことは、嫌いだ。だって気持ち悪いもん。
見た目はそっくりなのに、ハルカはいつも、得体の知れない他のなにかみたい。嫌悪感がする。
カナタは、ハルカにとって、一番の理解者でなくてはならない。双子だもん──でもわからなくて、その度に、どこか虚しい気持ちになる。だから嫌い。
ハルカはカナタの思いも知らず、今日も呑気に人形をかじってる訳だけど。あーあ、気持ち悪い。
イヌイ。ハルカが大事にしてる、藁人形の名前だ。
カナタたちは教会に監禁されていたが、逆に教会の中だったら一日中自由に動き回れた。
ハルカは朝起きたら、いつもその『イヌイ』を持って神の前に座る。そして「神様も、イヌイ食べる?」と訊きながら、藁を一本抜いて口のなかに入れる。かなりホラーな行動だ。
その『イヌイ』、見た目がめっちゃ怖い。藁人形にしては少し大きいし。
カナタは一回、「なんでイヌイっていうの」と質問したことがある。ハルカは「藁人形って乾いてるから」と、イヌイにほっぺをすりすりしながら答えた。
10になる頃、身体に刺青を入れられた。ハルカは左腕に、カナタは右足に。ローマ数字の『2』みたいな、英語のアイを2つくっつけたみたいな、変な記号だった。
生け贄として捧げられるのは、12になる年。カナタは死にたくないので、教会から脱出しようと思った。
カナタたちは生まれつき、強い。腰の曲がったオッサンとオバサンしかいないようなところから逃げ出すなんて、蟻を潰すより簡単だ。
カナタより頭がいいハルカに相談すると、「今逃げたらいずれ捕まって、結局殺されるから」とぶっきらぼうに言われた。言い換えると、「殺される少し前に出ろ」ってことだ、たぶん。
「カナタ、逃げちゃうの?ハルカはここ、好きだけどなぁ」
「別に、カナタも好きだよ、この場所は。でも、死にたくないんだよね………せっかく生まれてきたのにさ。お爺ちゃんになるまで生きたい。ハルカは、死にたいの?」
「うーん、別にどうでもいいかな。今が楽しければ、いつ死んでも同じだよ」
そういうものなのか。納得はできなかったけど、理解はできた。
カナタたちには今、所謂『生きがい』というものがない。その理由は間違いなく、教会に何もないから。
例えば、今話題の漫画でも買ってくれたら、毎話の更新が楽しみになる。
未来に楽しみな何かがないと、人生ってつまらない。死んでも変わらないかも。
「でも、カナタはこの教会から出て………自由になるのが楽しみだ。だから生きる」
「あーそ。好きにすれば」
「え、ハルカも一緒に逃げるでしょ?」
「ん~、動くのめんどくさい。でも悔しいけど、ハルカって、カナタと一緒にいないと価値が付かないんだよね」
「あーね、たしかに。じゃあ一緒に行くんだな、約束だ………指切りげんまん!」
「嘘ついたら藁人形飲~ます♪」
「怖いんだけど」
カナタがツッコむと、ハルカは楽しそうに「あははっ」と笑った。
あ、カナタ──このハルカの笑顔、好きだ。そう思った。
だから、これからも一緒にいる。逃げるときも、逃げたあとも。
カナタはそう、本気で信じてた。
「………なんだ、カナタか」
キビアイの隊服に身を包んだいつも通りのハルカが、カナタとリオを振り返る。
「ハルカ………」
「なぁにカナタ、泣いてるの?おいで、お兄ちゃんがよしよししてあげる」
「………そういうのいらない。キモいから」
カナタは少し吹っ切れた様子で、ハルカを一瞥する。
「てか、ここで何してたの?女装までして、そんなにタヨキミが怖い?」
「………おいのり。イヌイが見つかりますようにって、神様に。カナタ以外雑魚だから怖くないけど、ほら、見つかったら都合悪いし」
ハルカの回答に、カナタはどや顔をした。
「はっ、当たり前。カナタが世界一に決まってるっしょ」
「このハルカさんの弟なんだから、強いに決まってる。まあ、ハルカのほうが強いけど」
その言葉を聞いて、カナタは少し微笑んだ。
「………否定しないよ。ハルカは、カナタより強い」
「!」
まさか肯定されるとは思わず、ハルカは驚いたような顔をする。
「………ハルカは、カナタの理想の兄貴だ。今まで意地張ってたけど、正直、カナタより強いかもしれない。カナタは、ハルカに勝てる自信がない………ハルカを、傷つけたくないから」
そこまで言って、カナタは深呼吸する。
そして強い口調で、ハルカに訊いた。
「なんであの日、ハルカはカナタを裏切った?……答えろ」
カナタの表情とは対照的に、ハルカはにっこり笑う。
「カナタのことが、大嫌いだから」
あの日。12歳の、12月24日の夜。
───カナタたちが、教会から脱走した日。
「ごめんね、カナタ。これ以上………一緒にはいられない」
「待って、ハルカ──」
知らない街に、止まない雨。
なんで。さっきまで、一緒に逃げてたじゃない。
ハルカは、話しかけてきた背の高い男といっしょに、どっか行った。
その時は、なにもわからなかった。
ハルカを連れていったのは誰なのか、なんでハルカはついて行ったのか。
カナタはそのあと、路上で死にかけていたところをアキトに拾われた。
「あに………いえ、友人が、黒い服の奴に連れていかれました」
「そっか………それたぶん、キビアイの仕業だな」
アキトの説明を聞いて、カナタはなんとなく決心した。ハルカを救おう、って。
正直なことを言うと、突然目の前から消えたハルカが、少し嫌いになっていた。
でも、ハルカが隣にいない生活は、どうも満たされない。つまらない。
悔しい。カナタにとって、アイツが必要だっていう事実が。
ハルカのことを求めてる自分が気持ち悪くて、この気持ちは、ハルカを救うことでしか晴れないと思った。
だから────
「カナタはハルカを諦めないし、ハルカに諦めてほしくない。知ってるよ、キビアイが危険だってわかってて、カナタのこと守ってくれたんでしょ?カナタのこと殺すためにキビアイに入ったって言ってたけど、嘘だ。だって今、カナタはこうして生きてるもん」
「………………」
「ほら、反論できない。殺してみなよ。どうせ無理だ。だってハルカは、カナタのことが大好きだから」
「……調子、乗るな。ハルカはイヌイのことが好きなの、お前なんてどうでもいい」
「そっか、どうでもいいか。殺したい訳じゃないんだね、認めた認めた~」
黙るハルカを無視し、カナタは続ける。
「………戻ってこいよ、ハルカ。そしていっしょにイヌイ、探そう」
「………せぇ、よ………うるせぇよ!!」
「!」
急に叫びだしたハルカに、カナタは驚いた。
「目障りなんだよ!どいつもこいつも、ハルカのこと侮辱して………死ね!消えろ!!」
高い声で、ギャンギャン喚く姿………久しぶりな気がする。
もっとも、カナタはハルカのことを侮辱してない。被害妄想がすごいのは昔からだ。
考えるカナタに、黙っていたリオが話しかけた。
「………カナタ先輩。二人の間に何があったのか、僕は知りませんが……あいつは恐らく、カナタ先輩の兄としての「我孫子ハルカ」とは、別人です」
「リオ………うん、カナタも、わかってる。そこらの言葉で救えるほど、今のハルカは軽くない」
「辛ければ、僕がやります。敵う相手でなくても、カナタ先輩のためなら、覚悟はできていますので」
「あはっ、カナタと違って、リオはかっこいいね………でも大丈夫、カナタ、やれる。ここまで来たんだ」
その表情からは、カナタの決意が見えた。
「先輩なら、そう言うと思ってました」
リオは模倣剣を出し、少しだけ口角をあげる。
「カナタ先輩の意思ならば………ハルカを救うべく、全力でサポートします」
「おう!ありがとう、リオ」
二人の会話を聞いていたハルカは、どこからかナイフを浮かせる。
「………勝てるとでも、思ってるの?愚かだね、カナタはいつもそうだ」
「勝てる……?はっ、根本から違うから。タヨキミのこと、なんもわかってないのな」
カナタは剣を構えると、ニヤリと笑った。
「勝つためじゃない…………救うために戦ってんだよ、タヨキミは。ナメんな!」
続く
短くてごめんなさい!!字数的にもギリギリ許せるラインなんだ、、、
本当はもう1場面入ると思ってたんだけど、、、無理でした😇
我孫子を紐解くにあたり、一番重要な話です。
本当はいうべきじゃないんだけど、言うね。
カナタたちが最初にいた『大勢の人がいて、金額がどんどん上がっていく市場』とは何なのか。
教会の入り口にあった、傷付いた双子の像。あれはなんなのか。
カナタたちが教会に入った途端、拍手が沸き起こった。拍手してる人たちは誰なのか、その拍手の意図はなんなのか。
神の名前、参零と零捌。二人合わせて参零捌。一体なんでこんな名前?双子の神だが、どちらが兄?
カナタたちに施された、タトゥーの意味は?アイを2つくっつけたような記号って、なんのことだ?
ハルカのお気に入り、藁人形のイヌイ。ハルカはイヌイの藁を一本ずつ食べる。
瀬々イヌイの名前の由来がこの人形だとしたら、ハルカはなんで瀬々に”イヌイ”と名付けた?
藁人形にとっての、『藁』、、、人間にしたら、どの部位になるか?
それを一本ずつ食べるハルカ。ハルカが瀬々イヌイに向けていたのは、本当に『愛情』?
『あの日』、12/24。
ハルカをキビアイに連れていったのは、誰?
「黒い服の人に連れていかれた」。本当にキビアイ?黒い服なんていっぱいいるのに?
真実は闇の中、、、
考察待ってます(圧)
リオちゃんかっこよすぎるだろ(粉みかん)
また来週!!
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