テラーノベル
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250807
4話!今回はrtttメインです!
🔞は作品を通して少ないと思います!伏字ございません!
色んなものに注意!!
口調の改変がたっぷり!あります!
⚠️ttくんの嘔吐表現あり(全体的に可哀想)
迷走しています。
それではどうぞ!!
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
wn「そくしつ…」
ru「ただ、イッテツは俺の意思で側室になった訳じゃない。言い方は悪いが、あいつは人質みたいなものだから。」
wn「人質…ですか…?」
ru「話せば長くなるけど」
wn「大丈夫です、今日はお酒が入ってるから眠れなさそうなので」
ru「…まあ、たまにはこんな夜もいいか」
…
コツ,コツ,コツ,コツ
廊下に自分の足音だけが響く。
rt「…」
彼と旅した日々をぼんやりと思いだす。
彼は戦の末、自分の国に捨てられた可哀想な人だった。俺たちの暮らす国のすぐ隣、東の国と呼ばれているそこは、長年うちと小規模な戦を繰り返していた。
そして一年前、過去何十年でいちばん大きな戦が起こり、我が国が勝利を収めた。
東の国は負け、領地と莫大な賠償金、それから彼を人質として寄越してきた。実際は人質なんて優しいものではなく、いつ殺されてもおかしくない。そして死んでも祖国は何もしてくれない。
俺は、そんな彼を西の国へ連れ帰ってくるように命じられた。
rt「私、貴方様を我が国へとお連れする役目を承りました。リトと申します。イッテツ様とお呼びしてよろしいでしょうか?」
tt「はい…よろしく、お願い致します…」
初めて見た彼は、黒曜石のような見た目に純白の東式の婚約装束を着て、白いベールを腰の辺りまで垂らしていた。
顔色は装束の色に負けないほど悪く、やつれていた。こちらを力なく見つめる深い紫の瞳は光を宿していなかった。
rt「それでは、行きましょうか。」
手を差し出すと、一瞬戸惑ったけれど、おずおずと手を取られる。
tt「あ…」
手を柔く握られた。帰る場所もなくなった彼が、俺に縋るようなその姿が、どうしようもなく愛おしくて、可哀想だった。
カタカタと馬車が揺れる。
tt「…」
rt「大丈夫ですか?顔色があまりよろしくないですが…」
tt 「ごめんなさい、馬車に酔ってしまったみたいで…」
rt「…もうすぐ休憩ですので、それまで耐えられますか? 」
tt「……」
力無く頷いた。どう見ても持ちそうにない。
rt「吐き気だったり、頭痛がしますか?」
tt「…」コクリ
rt「…一度降りましょうか」
彼を抱き抱えて馬車を降りる。運転していた部下にこの後は徒歩で向かうから先に行って準備を整えるよう伝え、歩き出す。
tt「ごめんなさい…僕のせいで…」
rt「長旅のストレスもあるでしょう。大丈夫です。ゆっくり向かいましょう」
俺の腕の中でグッタリとしているその姿は昔森で見た、弱った兎のようだった。
じわじわと俺の中に良くない考えが浮かんでは消える。
腕の中の体温を感じながら歩いていると、彼に弱々しく服を引っ張られた。
tt「ごめんなさい…降ろして、ください…」
慌てて降ろすと地面にへたりこんで嘔吐してしまった。
tt「うぇ…げほっ…う”…ぐ…」
こちらを涙目で見つめる彼が可哀想で、可愛くて…俺の中の良くない何かが目を覚ました気がした。
rt「っ…大丈夫ですか、お水です」
立てそうにない彼に水を与える。口の端からぼたぼたと水が零れ、美しい花嫁衣装を濡らす。幸いにも吐瀉物は衣装にかかっていなかった。
tt「ごめんなさい…ごめんなさい…」
うわ言のように謝罪を繰り返す彼に胸が詰まった。少なくとも俺の知る王族の人間はこんなふうでは無い。彼は東でどんな扱いを受けていたのか。勝手に思案してしまう。
rt「大丈夫です。息を深く吸って、吐いて、そう、お上手です。」
tt「えぅ…はぁ…ひっ、ぐす」
あぁ、可哀想だ。
吐瀉物の前に座り込んで、飲みきれない水を涎と共にダラダラと垂らしている彼が。こちらに助けを求めるように見つめてくる彼が。
どうしようもなく可哀想だった。
rt「泣かないでください…、化粧も崩れてしまいますよ?ほら、こちらへ」
彼をまた抱き上げて目に溜まった涙を拭ってやる。
tt「ん…ぐす…」
幼子のように俺の胸に顔を押し付けてきて、そのまま死んだように眠ってしまった。
ベールが顔にぺったりと張り付いてしまっているのを軽くずらしてやると、日焼けをしたことのなさそうな病的なまでに白い肌が見える。
rt「綺麗…だなぁ…」
西の国ではこういった人間は好まれる。ロウ…殿下も彼を気に入るだろう。
rt「…」
烏滸がましくも、自分の手元にいる彼を今だけは独り占めしたくて、少しだけゆっくりと歩いた。
果たして俺があの時抱いたのは可哀想な彼を守ってやりたいという庇護欲だったのか。はたまた違う何かだったのか。
寝室として用意された天幕に彼を寝かす。
rt「花嫁衣装で寝かせていいのか…?俺じゃわかんねぇし、誰か」
tt「いかないで…」
rt「はい、ここにいますよ」
思わず返事をしたけれど、どうやら寝言のようだ。寝顔はきりっと整った顔に似合わず赤子のようだった。
rt「…寝言が本音って言うしな」
そういうことならと寝ている彼の横に座る。
決してやましい気持ちはないぞ。
…
…ここ、どこ?
あぁ、そうだ。お城だ。僕の嫌いなお父様の部屋だ。
怖い。足が竦む。ここから逃げたい。
『イッテツ…おいで。』
お父様だ。いつも、あの椅子に座って、膝に上に僕をのせる。
『イッテツ…お前は可愛らしいなぁ、細い腰も、白い肌も、女子のようで…』
「おとうさま…」
『あぁ、お前を東なんぞにやらなければ良かった。私の手元にずっと置いておきたかったのに。かわいい私のイッテツ…』
「やめてください、おとうさま…」
『ああ、イッテツ、イッテツ』
「やめて、こないで…やめて…!」
…
tt「う”…やめ”…」
日が落ちきって、天幕の中が暗くなってきた。彼は悪い夢を見ているのか。呻き声をあげ、汗をかいている。
rt「イッテツ様…?どうなさいましたか?」
tt「っ…は…!あ…ごめんなさい…」
rt「顔色が悪いです。何か食べた方がよろしいかと、フルーツなどはお好きですか?」
tt「はい… 」
rt「では、部下に持ってこさせますので少々お待ち下さい。それと、そちらのお洋服でお眠りすると寝心地も悪いでしょうし、着替えもお持ち致します。」
tt「ありがとうございます…」
rt「いいえ、先程も申し上げたように、貴方は我が国にとって大事な人ですから。」
tt「…」
こんなの口だけだってわかってる。
僕が大切、だなんて。
でも
あっちでは、僕にそんな言葉をかけてくれる人は居なかった。
吐いてしまった僕を蔑まずに、嫌がらずに運んでくれた。
そんな初めての優しさに泣きたくなった。
あの優しい瞳で、逞しい身体で、心地よい声で、僕をちゃんと見てくれている。
苦しい。
あんな眩しい人が僕なんかを、大切だと言ってくれることが。
西に着いたらきっともうこんな風に彼が優しくしてくれないことが。
ああ
なんて_________。
rt「それでは、私は隣の天幕におりますので、何かありましたら外に控えている部下にお申し付け下さい。」
tt「いって、しまうのですか…?」
そんな今にも泣きそうな顔をされてしまったら、 ここを去るなんてことはできないではないか。
rt「ふふ、では、イッテツ様がお眠りになられるまではここにおりますよ。さ、横になって。深く息を吸って…」
tt「…手を…」
rt「手、ですか?俺の手は硬いので握っても心地よくないかと…」
tt「そうですか…ごめんなさい…」
rt「いえ、それでいいならお貸ししますよ」
tt「!」
tt「やっぱり、あったかい…」
俺の汚れた手をまるで宝物のように抱きしめるものだから、なんだか自分までもが綺麗になったのかと錯覚する。
そんな訳はないのだが。
別に俺は軍人として、この国で生きる道を選んだことを後悔してはいない。
でもこんな綺麗なものに己が大切に扱われる日が来るとは思わなかったから。
…
彼が何も知らなくてよかった。と心の奥底で呟いた。
「いやぁ、久々の長旅で鈍った身体が悲鳴をあげてるよ。やっぱり深夜はきついな。」
「だな、…にしても東の国もひでぇもんだ、いくら本妻腹じゃないからって侍従も護衛も付けずにうちに寄越してきて…あの方も可哀想だよな。」
「それでいえば、東の王は男色家で、中でも少女みたいに可愛らしい男が好みらしいぜ。だからイッテツ様は王が可愛がってるってのが東じゃ有名なんだと。だから正室が嫉妬してイッテツ様を西に送ったって話も…」
rt「護衛中に雑談とはいいご身分だな?」
「はっ、し、失礼しました!」
rt「身体鈍ってんだろ?この辺走ってきたら少しは感覚が戻るんじゃねぇか?」
「え、ええっと…」
rt「ん?」
「そ、そうですね!行ってきます!!」
rt「…」
そういった噂は西でもよく聞いた。別に噂するのは自由だが、それを国に仕える人間が不特定多数に聞かれる可能性がある場で話すのは、軍人としての自覚がない。
rt「西に戻ったらきちんと言い聞かせねぇとなぁ…。」
天幕の中を覗くと、先程のようにうなされることもなくすやすやと眠っていた。
聞いていなくてよかった。彼はそんなこと知らなくていい。どうか、西では辛い目に遭わず穏やかに過ごして欲しい。不器用で弱い彼を見るとそう願わずには居られなかった。
…
rt「時の流れは早いものですね…。明日には都に着きますよ。初めの頃は酔っていたのに段々慣れてきてよかったです。」
tt「ふふ、やめてよ!僕馬車なんて乗ったこと無かったらしょうがないでしょ?」
イッテツ様は天幕で手を握ったあとから心を許してくれたのか、かなりくだけて話しかけてくれるようになった。
tt「あっという間だったなぁ。僕結構楽しんでたから寂しいよ。」
rt「そうですか、きっと西に行ったら目新しいものがたくさんあって毎日が旅のようですよ。」
tt「ほんと?それはいいねぇ!」
tt「…ねぇ…僕の、旦那様ってどんな方なの?」
rt「殿下はとてもお強くて優しい方ですよ。貴方様のことを大切にして下さいます。」
tt「それはさ…貴方よりも?」
rt「…は?」
tt「貴方も強くて優しいし、偽りでも僕のことを大切にしてくれているでしょ?」
rt「…えぇ。俺なんかよりもずっとずっと大切にしてくださいますよ。」
tt「…そう」
どうしてそんな悲しそうな顔をするのか。まるで、俺の方が貴方を大切にできる、そう言って欲しいと懇願するような、潤んだ瞳で見つめられた。
rt「貴方は私にとっても、殿下にとっても、国にとっても大切な方です。俺一人の気持ちだけでは…」
tt「貴方一人が、僕を大切って言ってくれれば、それでいいのに…」
tt「だめ…?」
rt「っ…俺だって…」
貴方を愛してしまっている。
でもこの恋は叶わない、それはきっと彼も分かっている。
tt「…だめ、だよね」
rt「…俺は、貴方に別れの挨拶を残すことしかできません。」
tt「そっか。ううん、いいの。期待してた僕が悪いから。」
rt「…こちらを向いてください」
tt「なぁに、ん…」
rt「俺は貴方にこれしか残せない。どうか俺のことは忘れてください。殿下もいい奴です。だから」
tt「足りない」
rt「は」
tt「僕は別れの挨拶、忘れたくないから、もっと刻んで。いやでも忘れられないくらいに。」
rt「っ…!」
唇と唇が重なった。
外界から隔てられたこの小さな馬車が、僕たち二人のお城になった。
僕と貴方は、互いに一生忘れられない記憶を深く刻み込んだ。
叶うはずもないのに。
〜〜〜〜〜〜〜〜終〜〜〜〜〜〜〜〜
おかえりなさい。もはや癖を隠す素振りもなくなってまいりました。
まぁ自己満で書いてるだけなので!いいですよね!!
だいぶお待たせして申し訳ないです💦
夏休み入ったので更新頻度おそらく高くなります…!!
長くなりましたが、閲覧ありがとうございました🙏✨
それではまた👋
コメント
4件
楽しみ過ぎる!!
コメント失礼します! 本当にお話が素敵すぎてやばいですぅ😭♥これからも愛読させていただきます!!