テラーノベル
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何やら目の前が真っ暗でとても温かかった。手で目元を触れると、蒸しタオルが置かれていることに気づいた。俺はそれをとって、辺りを見回した。特に変わらない部屋の様子に、何があったのか記憶を辿る。お隣さんが引っ越してきて、それで…。
「俺は、なんてことを…!?」
たぶんあの人が介抱してくれたのだ。たしか、矢野さんだったか。
大人として有るまじき行為に羞恥心と申し訳なさでいっぱいになり、とりあえず謝ろうと起き上がる。お詫びのものをなにかあげれないかとキッチンへ向かうと、置き手紙とタオルと水が並んでいた。
「勝手に使わさせて頂きました。タオルは洗ったので…って洗ってしかも乾燥までしてくれてるじゃんか」
本当に申し訳なくなってきて、置いてある水と実家から送られてきたレトルト食品を紙袋に詰め込む。そして矢野さんの家のチャイムを鳴らした。
「はーい?」
「矢野さん、椎名です。本当にすみません…お水返します!それと、こんなもので申し訳ないのですが…」
「えぇっ!困ってないですよ〜。それより、体調戻ったようで安心しました!これからもお互い困ったら助け合いましょう!」
「矢野さん…」
久々の優しさに触れて心が沁みる。良い人がお隣さんで良かったと思った。
「アヒャヒャヒャwそれで初対面の人にゲロったって…あんたっ、w」
月曜日、会社に出勤してカミラさんにタクシー代を払うと休日のことを聞かれた。結局二日酔いになって、お隣さんにゲロった。もうカオスでしかないけど、それをカミラさんは凄く楽しそうに、どこか嬉しそうに聞いていた。
「はー、面白い。あんたってホント最高に面白い部下だわ」
「不本意です…」
「まぁでも、これからはただの部下じゃなくて、教育係になるんだけどね」
「…えっ!?」
急な話に耳を疑う。カミラさんはニヤニヤしている。
「24歳の新卒よ〜。ビシバシ鍛えてね!」
「は、はい…」
そういうのはもっと事前に伝えて欲しいと思いつつ、決まったことだから仕方がないと腹を括った。
朝礼の時間になり、課長が全員を集める。すると、若い男性が紹介された。俺だけが見慣れている人だ。
「矢野蛍吾です!よろしくお願いします」
「教育係は、椎名くん。よろしく頼むね」
「は、はい…」
「椎名さん!偶然ですね!」
「そ、そうだね」
「ん?2人は知り合い?」
「マンションの部屋が、隣で…」
「あぁー、近いもんね、ここから。選んじゃうよねー」
課長はのんびりと言いながら、仕事に取り掛かるようみんなを誘導する。俺は矢野くんをデスクに案内して、仕事内容を教えた。
「まず、デスクトップ開いたらこのアプリ開いて。全員の1週間分のノルマが送られてるから、月曜日と金曜日に確認して」
「はい!」
「数週間は俺と一緒にノルマのこなし方を学べばいいから、分からないことがあったら聞いて」
「はい!」
「うちの部署は他企業との連携が大切だから、メールが入ってたらすぐ確認するように。会社に工場の紹介をすることがメインだけど、紹介して終わりじゃない。その関係に責任を持たないといけないから真心込めて紹介してあげてね」
「はい!」
相槌を打って、元気に返事をする。まるで犬みたいな部下ですごく可愛い。こっちまで元気になってくる。
「さてと、じゃあ仕事を始めようか」
「はい!」
そこエビ@ルイスLOVE♡
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#アリス・メルヴィナの肖像画
×ラムネ×
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コメント
1件
読み終えたわ!「偶然」第2話、すごく良かった。 二日酔いでお隣さんに迷惑かけちゃった主人公が、翌日職場でまさかの再会…しかも教育係になるって展開、まさに「偶然」がテーマって感じでタイトル回収にもなってるのがニクいね。矢野くんの「はい!」って元気な返事が犬みたいで可愛いし、カミラさんの「アヒャヒャヒャ」って笑い方もキャラ立ちしてて好き。日常の温かさがじんわり伝わってくる話だったわ。続きも気になる!